Gene Ammons - Jug Sessions (1947&1949)
ジャズテナーの表のトップはコルトレーン、ロリンズ、ゲッツ…候補はたくさんいます。でも裏のトップはジャグことジーンアモンズ一択でしょう。本作は彼がエマーシーに残した録音をまとめたものです。40年代後半というスウィングからビバップの過渡期でスウィング、ビバップ、ストライド、ブギウギ、ジャンプとジャズやその周辺ジャンルが混ざり合い主流派では感じられない雑味が旨みとなっています。
1947シカゴ
ジーンアモンズ:テナーサックス
ゲイルブロックマン:トランペット
ジェームズクレイグ:ピアノ
ジーンライト:ベース
チャックウィリアムス:ドラム
DiscogsだとB面とC面の曲目がレコードのジャケット、ライナー、ディスクに書かれたものと逆になっています。おそらくレコードのほうが正しいため今回はその曲目で紹介しています
Concetration
Flyin' Home的な盛り上げやジャンプを彷彿とさせる太い音色のソロなどビバップ前夜の一曲。アモンズより先にソロをとるゲイルブロックマンはビリーエクスタインの楽団に在籍していたそうです。
Red Top
アモンズ最大のヒット。キャッチーなテーマのブルースでまったりとしたアドリブが時代を感じます。
Red Top
ジーンの発表後プレスティッジよりキングプレジャーがボーカルを付けてリリースしたところこれもヒット。なのでエマーシーが慌ててボーカルをオーバーダブをしてリリースしたのがこちら。ボーカルグループがボーカルを付けたそうですがなかなかやけっぱちな歌い方で本当?という感じもします。
Idaho
ビバップですがまったりとしたリフやメロディアスなアドリブなどビバップになりきってはいません。ライナーによるとジーンはユーモレスクという曲のフレーズを引用しています。
1947シカゴ-2
アルバートアモンズ:ピアノ
ジーンアモンズ:テナーサックス
マーヴィンランドルフ:トランペット
アイクパーキンス:ギター
イスラエルクロスビー:ベース
アルバローズ:ドラム
St. Louis Blues
かなり時代を逆行した演奏です。それはアルバートアモンズのピアノによるもの。力強いリズムとブギウギピアノが楽しいです。アモンズもレスターヤングっぽい太いトーンです。
Shufflin' The Boogie
アルバート、後にアーマッドジャマルのところへいくイスラエルクロスビー、アールハインズ楽団でバンドを派手にスウィングさせていたというアルバローズの三人の力強いリズムをバックにジーンが派手にスクリームします。ギターソロもなかなかの荒っぽさ。
S.P Blues
この曲も三人の派手なリズムが聴きものです。とくにアルバローズの派手にスウィングするシンバルが最高!後半には爆撃のごときドラムロールまで放り込んできます。ライナーによるとこれとShufflin' The Boogieのタイトルが入れ違えられた可能性があるそうです
Hiroshima
アルバートアモンズが36年に発表したNagasakiの改題。なぜ日本の都市名をつけたのか不思議なくらい普通のストライドです。
47シカゴ-3
ジーンアモンズ:テナーサックス
アーネストマクドナルド:バリトンサックス、アルトサックス
ゲイルブロックマン:トランペット
ジュニアマンス:ピアノ
ジーンライト:ベース
エリスバーティー:ドラム
McDougal's Sprout
ここからまたビバップへ戻ります。タイトルはアーネストマクドナルドの子供にちなんでいるそうです。
Hold That Money
ここではアールコールマンという歌手がビリーエクスタインにちょっとジョーウィリアムスを混ぜたような喉を披露します。彼はパーカーのダイヤルセッションにも顔を出していたそうです。岩浪洋三さんが初期のビバップは歌を入れたりしてスウィングの娯楽を忘れていなかったのにモンクが辞めてからはみんな娯楽を切り離してしまったからモンクには少し文句だというようなことを書いていましたが、確かにこれはビバップ的でありながら娯楽的でもあります。
Shermanski
かなりモダンなビバップ。3管フロントによるテーマもいままでのようなスウィング時代にホーンセクションがやっていたテーマをそのまま人数減らしてやりました感がなく、少人数で様になるよう工夫されているように感じます。ピアノのジュニアマンスはこのセッションが初録音でこの曲がおそらく初アドリブです
Harold The Fox
これもこの時代らしいビバップです。ジュニアマンスも前の曲ではソロやってみましたくらいですがこっちでは短いですがちゃんとソロをとっています。
Jeet Jet
ここからは録音が別日のためレコードでは別グループに分けられていますがメンバーが一緒なのでここではまとめてしまいます。アップテンポの息のあったテーマ、ガンガン派手にスウィングするドラミングとなかなか荒っぽいです。
Odd-En-Dow
ファンキーなリフを持ったビバップ。後のジーンアモンズを知っていると純粋なビバップよりこういう曲のほうがアモンズ向きかなと思ってしまいます。でもこの時期は最先端を行くビバッパーだったので息抜きくらいの一曲でしょう。
Going For The Okey Doak
これは当時お蔵入りになってこのLPで初めて世にでたもの。アーシーなテーマでアモンズもゆったりとしたソロを取っています。そんなところがボツ理由かもしれませんが、むしろこれこそアモンズらしいと思います。
EAAK Blues
息のあったフロントによるキャッチーなテーマが楽しい一曲。
Blowing The Family Jewels
ここからも録音が別日のためレコードでは別グループに分けられていますがメンバーは一緒なのでここではまとめてしまいます。インディアナという曲のコードに従って演奏されているそうです。
Sugar Corted
シャキッとしたリフがファンキーなかっこいい一曲。
Dues In Blues
後のファンキージャズにも通ずる大らかなリフの一曲。ホーキンスというよりベンウェブスターっぽい演奏です
Jay Jay
未発表曲。ボツ理由がわからないくらい普通にいいビバップです
1949シカゴ
ジーンアモンズ:テナーサックス
アーネストマクドナルド:バリトンサックス、アルトサックス
ジェスミラー:トランペット
ジュニアマンス:ピアノ
レオブレヴィンス:ギター
リロイジャクソン:ベース
ウェスランダース:ドラム
Dassy Sause'S Airlines
1年ぶりのエマーシーでの録音。ビバップ演奏も板についた感もありますがメンバーがあまり変わってないのと元からクオリティが高かったのでそこまで大きな違いは感じられません・
Little Irv
パーティドという曲を元にした曲でギターソロ入りです。のちにギターを入れた作品をたくさん作りジョージフリーマンを可愛がるわけですがその萌芽がここにあります
Abdullah's Fiesta
ラテンジャズのようなタイトルですが演奏もアーシーなスキャット入りで土臭いです。お世辞にもうまくはないスキャットですがとても楽しいです。
Brother Jug Sermon
こちらはタイトルからしてアーシーです。演奏もFlyin'Homeっぽいし手拍子やガヤ入りで賑やかに盛り上げるしで最高にソウルフル!
Everything Depend On You
ゆっくりムーディなバラード。当時基準でも古風な演奏だったのではないかと思いますがこういったほうがアモンズらしさが良く出ているように思います
Hot Spring
アドリブはビバップですがテーマはファンキー。アドリブでもFlyin'Homeっぽいのをやりかけてやめたりとビバップも慣れてきていろいろ挑戦できるようになったのかもしれません
When You're Gone
これもバラードでアモンズの丸く穏やかなテナーが染みます。
Little Slum
キングポーターストンプのビバップ版でエルモアジェイムズのギターのようなイントロで始まります。バリバリモリモリとしたアドリブも相まって特段アーシーというわけではないけどコッテコテです。
