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ファミレスで10年働いて気づいた、「ちょっと先を読む」仕事


〜サービス業が好きな私の小さなこだわり〜

ちょっぴり高級と言われるファミレスで
私は10年以上ウェイトレスをやっていた。
まだピンポンで呼ばれる前の時代の話。

その店では、お客様から目を離さず、呼ばれる前におうかがいするのが当たり前だった。

ご案内と同時にメニューをお渡しする。
お客様が選んでいる間に、お冷とおしぼりを持っていく。

そして、ここからが大事。

メニューが決まるまで、見ているのがバレないように見続ける👀

お客様がふと顔を上げた瞬間

「今だ!」

目が合うと、小さく頷いてくれる方もいる。
その合図を見逃さず、さっと近づく。

言葉にしなくても、なんとなく伝わってくる。



料理を置くとき
私は小指を先にテーブルにつける。
そうすると、音を立てずにそっと置ける。

サービスの世界に入ったときに教わった
ささやかなコツ。
こういうのって案外大事だと思う。
気づけばそれが私のクセになっていた。


お客様は、実はとてもわかりやすい。

食後にこちらを見る人は
だいたいメニューが欲しい。
「呼ぼうかな」と思っている顔をしている。

顔を上げた瞬間にメニューを持っていくと
少し驚かれる。
その反応が、ちょっと嬉しい。

そしてもう一つ。
通ってくださるうちに自然と「顔なじみ」になる
お客様もいる。

飲食店あるあるだけど、常連さんにはいつの間にかあだ名がつく。

ジャワカレーしか頼まない男性が来ると
「来た来た、ジャワボーイ🍛」

同じ席にしか座らないお客様が来ると
「46番、来たよ〜」
なんて卓番で呼ぶこともある🤭

もちろん表では絶対に呼ばないけれど
スタッフ同士ではそれで通じてしまう。

そうやって覚えていると
その人が来店しただけで「今日はこれかな」と
なんとなくわかる。

仲良くなるうちに
「うちで働きませんか?」と声をかけられたこともある。
それくらい、人と距離が近くなる場所でもあった。

気づいたら、関係ができている。
ああいう距離感が、けっこう好きだった。


私が一番好きだったのは、グラタンやドリアを頼むお客様。
料理を出したあと、すぐに呼ばれることがある。

そんなときは、ポケットにタバスコを忍ばせて向かう。
何も知らない顔で「何かご用でしょうか?」と声をかけると
「タバスコを」と言われる。

その瞬間、さっと差し出す。

「なんでわかったの?」という顔をされると
嬉しくて心の中で小さくガッツポーズ。


フォークやスプーンを落とした音。
「あっ」と何かをこぼした瞬間の
ザワッとした空気の揺れ。

そういうものを、聞き逃さないようにしていた。


そのうちにピンポンで呼ぶのが普通になった。
けれど私はピンポンに頼らず、自分の感覚で仕事をしてきた。

ファミレスは、料理を運ぶ仕事だと思われがちだけど
実は、「ちょっと先を読む」仕事だった。

大げさなことじゃない。
でも、そういう小さな積み重ねで、場の空気は少しだけやわらぐ。

10年やってきて、私の中に残っているのは
そういう感覚だった。


またレストランで働きたいなぁ。


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