【#ギーンおのみは調査する】子ども・若者の“性の悩み” 安心して相談できる環境はある?【世田谷区調査 中間報告】
こんにちは、世田谷区議会議員のおのみずき、a.k.a. ギーンおのみです。紫陽花の花が鮮やかに咲く季節となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
さて、世田谷区議会は先週より絶賛【令和8年第2回定例会】が開会中です。わたしは今回も一般質問に立ち、「性と生殖に関する健康と権利」(SRHR: Sexual and reproductive health and rights)(※)を保障するまちづくりに向けて、区の姿勢を問い質し、様々な政策提案を行いました。
※SRHRってなあに?という方は、ジョイセフさんの以下ページが分かりやすいので、チェックしてみてね🔍
わたしの質問の中で、登壇に先立ち、『子ども・若者が利用し得る区の相談窓口や支援機関等を対象に、性に関する悩みや性被害等の実態と支援上の課題を把握するための独自調査を行った』こと、そしてその結果から得られた示唆について何度か言及しました。
壇上でも少しだけ資料を投影しましたが、『あの調査って一体何だったの?』という方もおられるかもと思いまして、非常に簡単ではありますが、本記事にて当該調査のご報告をできれば…!
調査実施概要
調査名
「こども・若者が利用し得る相談窓口等における性に関する相談・性被害等の実態把握調査」目的
こども・若者が安心して自分のからだ、性、関係性、被害、健康上の不安等について相談し、必要な支援や医療、学びにつながることができる体制の現状を把握するため、庁内の相談窓口・支援機関・関連施設等における相談実態等を確認する。調査対象
こども・若者本人、保護者、家族、支援者その他関係者から相談が寄せられる可能性のある、世田谷区の相談窓口・支援機関・関連施設等(※)
※「せたがや便利帳2025」、「Cheer!~わかものライフガイド~」、せたがやこころのSOSナビ(小学生・中学生・若者向け「世田谷区こころの相談案内」)で案内されているものを中心に、22種の相談窓口・支援機関等を調査対象として選定した。調査方法
世田谷区議会事務局調査係を通じてアンケート式の調査票を庁内各課へ送付した。調査票の設計及び集計・分析作業は調査実施者(おのみずき)が行った。実施時期
2026年5月20日~(1次回答〆切:5/27)回答状況
2026年6月5日時点で、37の相談窓口・支援機関等から回答を得た。
その他、調査対象とした児童館、区立保育園、養護教諭、スクールカウンセラーは業務負担に鑑み、回答期限を長めに設定している。本調査報告を読む際の留意事項
・上述の通り、調査対象は一部であり、全体統計ではありません。
・区としての公式見解というよりも、支援現場が把握している実態や感覚をつかむことを第一の目的としているため、厳密な統計調査として設計をしていない点にご留意ください。
調査結果の概観
ここからは、一次集計結果の分析を通して見えてきたことをご報告します!
なお、相談内容に関してはかなり詳細な内容を含むため、相談者のプライバシー配慮の観点から、本記事では概要のみに留めます。ご容赦ください。
▼中間報告まとめはこちら
(1) 過去1年間の、性に関する悩み・性被害等に関する相談の有無
過去1年間の、性に関する悩み・性被害等に関する相談の有無について、「ある」「記録上不明だが、職員認識としてはある」と回答した相談窓口・支援機関等は30にのぼり、8割以上を占めました。相談実績の概数は「1~4件」が最も多く6割弱を占めた一方、「20件以上」との回答も複数ありました。


また、相談実績ありと回答した30機関のうち、約半数で障害のあるこども・若者に関する相談/関連が疑われる事案が把握されていました。その件数はあくまで概数ですが、計53件にのぼりました。

(2) 主な相談者の属性
主な相談者は「本人」が最も多く、次いで「保護者・家族」からの相談が多いことが分かりました。
相談が多い対象年齢層としては、「18~24歳」が最も多く、今回の調査対象機関の中では、各総合支所の子ども家庭支援センターやこころの健康相談に加え、青少年交流センターなどの施設や若者のための居場所が主な受け皿となっていました。次いで多い「中学生」は、子ども家庭支援センターに加え、せたがやホッと子どもサポート(せたホッと)や教育総合センターの不登校支援窓口・教育相談室などにも相談が寄せられている様子が窺われました。

(3) 相談内容の傾向
過去1年間に受けた相談内容(複数選択可)の回答を見ると、A)からだ・思春期・月経等、B)人間関係・性自認・性的指向、C)健康・医療・妊娠等、D)被害・トラブルの各テーマにわたって幅広い相談が寄せられており、あくまで概数ですが、把握できているだけで累計368件にのぼりました。なかでも、突出して多かったのが「対人距離、境界線、同意の理解に関する困りごと」と「恋愛、交際、パートナーとの関係」に関するものでした。
また、これらに次いで、「家庭内・親族等からの不適切接触・性的被害」「性的ないやがらせ・ハラスメント・いじめ」が多かった点、数は少ないものの「学校・施設・支援・介助・送迎等の場面等での不適切接触・性的被害」も一定数あった点は、到底看過できるものではありません。
障害のあるこども・若者に関して、特に見られた内容(複数選択可)に関して、最も多かったのは「対人距離・接触行動」と「家族の不安・対応困難」でした。それと同時に、「月経管理・月経理解」「身体境界・プライベートゾーンの理解」「同意・断り方・助けの求め方」から、「SNS・画像被害」「性被害・不適切接触」という実際の被害に至るまで、切実な相談が現場で把握されていることが分かりました。
(4) 性に関する相談に対する対応
該当相談に対する窓口での主な対応としては、「傾聴・相談対応」と「情報提供」が最も多かったです。しかし、性に関する相談に対応する際の標準的な対応フロー、マニュアル、参考資料等の有無に関して、「ある」「一部ある」と回答した機関は約半数にとどまり、性に関する相談について明確な対応指針がないまま、対応が個人に依存している実態も浮き彫りとなりました。

(5) 連携先・つなぎ先の現状と課題
主な連携先・紹介先として挙げられた機関のうち、「医療機関」は4割にとどまった一方、つなぎ先として不足・不十分と感じるものとして「若者が行きやすい医療機関」が最も多い結果となりました。

(6) 性に関する相談対応において不足していると感じるもの
性に関する相談対応において不足していると感じるもの(複数選択可)に関しては、半数以上の相談窓口・支援機関等が「幼少期からの継続的な包括的性教育の機会」と「こども・若者がアクセスしやすい対面相談の拠点」を挙げました。次いで多かったのは、「障害のあるこども・若者に対応した教材・相談支援」で、日々相談支援にあたる現場の切実さが窺われます。
そのほか、回答が多い順に「性暴力被害への初期対応知識」、「保護者向け情報提供や啓発」「教職員・支援者向け研修」「医療につながる導線」が挙げられました。

(7) その他、自由記述回答より
自由記述欄にも多くの声が寄せられました。例えば、以下のような課題はどの自治体においても共通する課題ではないでしょうか。
『性に関する相談が主訴ではないが、相談を伺う中で、過去の性暴力や月経に関する困難、性自認等について語られる時があります。相談の目的は別の内容でも、性に関する負の経験が影響していると感じます。』
『障害の有無にかかわらず、男児を育てる母親が子どもの性教育をすることも難しさを感じているケースに何度か出会ったことがあり、ご紹介できるような資料があればいいと感じた。』
『性自認や性的指向に揺れがある方がアクセスできる場が少ないと感じる。オンラインでの対応や、ふらっと立ち寄れる場が増えると紹介しやすい。』
調査結果は議会質問でどう活かされた?
今回の調査は、この春に視察したフランスとオランダでのSRHRをめぐる教育と公的支援の実践を念頭に置きつつ、世田谷区で「包括的性教育」と「ユースクリニック」(=若者が気軽に性やからだ、こころの悩みを相談でき、必要に応じて専門相談や医療につながれる、ユースフレンドリーな相談支援の仕組み)をどう展開していけるのか?を検討するための基礎資料としたいと考え、実施したものです。
調査結果は、これまで漠然と語られてきた、区内の子ども・若者の「性」を取り巻く実態を、かつてないほどに生々しく描き出したと思います。正直、集計にあたって回答票を1枚1枚めくるのが途中から本当に恐ろしくなって、思わず手を止めてしまったほどです。
しかし、それと同時に、まだまだタブー視されがちな「性」の話を相談の中で勇気をもってされた方々の背景を想うと、涙が止まらなくなって、これはもう絶対にこれ以上先延ばしにさせられない⋯!!!という思いが一層強くなりました。
その結果が、こちらの議会質問です↓
現場の声も踏まえ、今回は改めてSRHRをきちんと「権利」として捉え直し、包括的性教育の制度化に向けて、“点の個別事業”から“線の教育保障”へと一歩踏み出させることを最大の獲得目標にしていました。独自調査の結果は、区長・教育長をはじめ、区職員の皆さんにしっかりと事前共有したうえで、様々な交渉や働きかけが一定功を奏したのか、教育委員会がかなり具体に言及して前に進める答弁をしてくれたのが、本当に大きな成果だと思っています👏
2000年代のジェンダーバッシングの全盛時代を知っている上川あやさんは区教委の答弁を聞いて、『隔世の感だわ⋯』と感慨深そうでした😭
一方で、子ども・若者が安心して相談でき、必要に応じて支援や医療につながることができる環境整備の一環として提案した、出張型・拠点型の「世田谷版ユースクリニック」に対する区長部局の答弁は、必ずしも前向きとは言えず、課題が残りました。とはいえ、『児童生徒や学校からの希望があれば、柔軟に連携して取り組みたい』という世田谷保健所の意思を確認できた点はよかったです。
また、最後の区長答弁において、『SRHRは、子ども・若者を含めたすべての人を対象とし、性や生殖について十分な情報を得て自ら選択し決定できる権利であり、世田谷区子どもの権利条例に定めている子どもの権利を保障するうえで大変重要』との認識が示されたことは大きな一歩です。今回示された区長の公式見解を足掛かりにして、次回以降の議会でも粘り強く提案を重ねていきたいと思います。
根深い性差別構造のもとで、自分のからだを恥じたり、傷つけたり、誰かに傷つけられたり、最悪の場合命を奪われたりしてしまう人が、どうかひとりでも減るように。まだまだ課題は山積みですが、生きることそのものである「性」=「抵抗(レジスタンス)」と考え、(誰に何と言われようが)引き続き取り組んでいくつもりです。
今後に向けて
今回の調査は、世田谷区のSRHRをめぐる教育と公的支援を前進させるうえで、たいへん示唆に富む結果が得られたと思います。その一方で、実は冒頭にも記載した通り、現時点では、児童館、区立保育園、区立学校の養護教諭、スクールカウンセラーからの回答がまだ届いておらず、全回答が揃うのは7月頃となる見込みです。子どもに非常に近い立場におられる現場の方々からの声をさらに集め、今後の政策提言につなげていきたいと思っています。
調査結果の最終報告は、また改めてさせていただきますね。
あと、書きながら反省していたのですが、フランス・オランダへの視察報告も、記事にはまとめられていなかったなと…🙇5月10日に北沢タウンホールで開催した視察報告会のアーカイブ映像とあわせて、こちらも改めてちゃんと報告します…!!
ではでは~~~

本記事に掲載の調査結果について、ご意見やご感想などあればぜひコメントへお寄せください。その他のお問合せは、世田谷・生活者ネットワーク(setagaya@seikatsusha.net)までお願いいたします。
