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晴れ間を探して、つくば。

2026.8.15.
台風、大雨、カレンダー、と、今年の夏休みはあまり山歩きにとって行く手を阻むことが多過ぎた。
色々とテント泊の作戦を練ってみるも、天気予報は雨マークが付いたままで、すっきり良し、と思えない日々が続いて、結局諦めた。

サクッと困った時の筑波山だけが、半分だけ、晴れマークが付いていた。土曜日の朝、青空が見えているも、夜半過ぎには雨が降っていたようで、アスファルトは濡れていた。そんな朝の天気予報は晴れマークが消えていた。

大雨の後に、千葉を通り抜けるのもちょっとどうか、とも思ったけど、今日は身軽に荷物を軽くして、サクッと、電車に飛び乗った。


登山口への道すがら。
休日ダイヤは7時半の始発のバスがあって、それを目指して、つくば駅に着くと、すでに列を成していて、2つ折れ曲がっていた。
座れるかどうか、という所で何とかギリギリ座れて、ホッとした。走り出すと割と直ぐそこに見えている筑波山も、筑波神社登山口のバス停まで、40分ほど揺られることになる。

晴れるような晴れないような、そんな空模様の街中を抜けると、田園風景の向こうに、すっかり頭から雲の傘を被っている筑波山が見えた。

このところ、ずっと、そんなお天気。まるで心の写し鏡か、何かすっきりとはいかない、何かもやっとした、何かもの鬱げで朧げな筑波山をバスに揺られながら眺めていた。

バスは山道に入り、せっせと坂道を登っている。昔、ゼロ筑波など言って、麓の筑波山口という、平べったい関東平野の標高28m地点から登ったことがあって、車窓からちらほらと、九十九折りの山道を突っ切るように道が見えたように感じた。

その時は誰一人として、そんな所から歩いている人もおらず、なんて事はない道で、もう2度とここから歩く事はないだろう。なんていうことを思い出していた。
大半は筑波神社登山口からで、標高は280mだった。

想いに耽っているうちに、バスは筑波神社登山口のバス停に到着して、ほぼ全ての乗客が降車したようだった。
普通はここからが王道である。などと偉そうに思いながら、ビジターセンターで準備を整えて出発した。

お邪魔いたします。
帰りにお参りしますね。
さて、ここから。


始まりは涼しくて。
思いの外、涼しくて、意気揚々とアスファルトの坂道を登り、お参りは下山の時にするとして、白雲橋登山口へ向かう。先に混みそうな女体山から登る半時計回りのルート。

一礼をして、登山口から山道へ入る。一昨日の大雨と昨晩の雨も相まって、泥んこ道になっていて、なるべく汚さないように、しずしずと歩くのだけど、足を抜く時にふとした気の緩みで、パンツの裾に泥が付いてしまったりして、まだまだだなぁなどと思ってしまう。どうでも良いことなのだけど。

う~ん。清々しい。
泥んこ道。
湿度が充満。
至る所に祀られいる。


BENKEI HUT

涼しくなんてなかった。東屋が見えて来た頃にはすっかり汗だくになっていた。東屋にはすでに何人かのハイカーさんたちが休憩していて、ベンチの端をお借りして、朝ごはんのパンを食べた。
元気に生い茂った木々の隙間から、下界の様子を見てやろうと、覗き込むのだけど、辺りは真っ白で、バスの車窓から見た山頂を覆い隠す雲の中にいる事を実感する。

そうこうしている内に、まるで細く硬い鉛筆で、斜めにシャドウを入れるようにデッサンするような、細かい霧雨が弱々しい光に反射して、景色にハイライトを入れていた。

七戻り。
東屋を過ぎると、直ぐに大きな岩が組み合ってゲートのようにトンネルを作っている弁慶七戻りを通過する。
居合わせたのは、初めてのハイカーさんたちだろうか、歓声が上がっていた。最初にここを通った時、同じように心の中で歓声を上げていたのを思い出した。

もう、七度といわず、何度も行ったり戻ったりを繰り返している、そんな心を少し憂いてみたところで、通らねばならない道はあるもので、弁慶もしかし、七度戻って結局は通ったのかしらん。

女体山の山頂も近くなってきて、岩がちになってくる。筑波山はとても家族連れが多くて、手軽に山歩きが出来る山だけど、明らかに軽装な人もいて、雨の後の滑りやすい岩に、少し手こずっているようだったけど、思い思いに登っているようだった。

天候だからか、まだ少し時間が早いからなのか、いつも盛況な女体山山頂はまだ人が少なかった。
初めて山頂の岩の上から、麓の景色を覗き込んだ。忙しなく低い位置で雲が行き交っていた。時々その雲の隙間から垣間見える田園風景は、チラリズムのように見え、田園に落とす影がまた、夏を思わせた。

堂々と、日本百名山。
筑波山は一等三角点。
ここでお参り。
すごい高山にいるみたい。


過ぎる夏。

今年は本当に、何だか分からない内に、何をしているのか見失いそうになりながら、もう夏が過ぎようとしている。
何年も歩いていると、思うような山歩きも出来ない夏もあろう。
そんな年もある。そう。と、何度も言い聞かせるように、納得をしようといている。色々なことが折り重なるように、けれどまた、こうして山の上から、またこうしてこのような景色を眺めている。それだけを受け取って、お参りを済ませ、山頂を後にした。

みゆき。
10時過ぎ、雨は上がっていて雲の切れ間から、青空が少し顔を出したりまた隠れたりを繰り返していた。御幸ヶ原はハイカーさんや観光客が入り乱れている。いつものお蕎麦屋さんへお邪魔する。まだ空いていて、どこでも座り放題だった。いつものように、瓶ビールと天ぷら蕎麦を注文する。

いつも、お店の軒先で、おばあちゃんが通りすがる人を招いている。もしかしたら、あのお母さんが、みゆきさんだったりして、朝ごはんでもなく、お昼ごはんでもないような時間に、蕎麦を啜りながら、ぼんやりと考えていた。
ビールは冷えて、すっかり汗も引いていた。身体から抜けた塩気を補う、お出汁の塩分と水分補給だった。

賑やかになってきたぞ。
雲が行き交う。
チラリズム。
天ぷら蕎麦と瓶ビール。おいし。


男体山。

まだ少し登らないといけないのに、先にビールをやってしまうと、だいたい足が辛い。先に男体山も登ってしまってから、下山前にビールを楽しめば良いのに、分かっているのにやってしまう。困ったことに。
それでも何とか男体山の山頂へ辿り着く頃には足も回復して、テラスからの田園風景を楽しんだ。

871mという、決して高くはない山頂でも、雲は低空飛行をして、目線より低い位置で、雲の間に間に夏らしい新緑の景色を垣間見せる。過ぎていく夏。決して夏が好きなわけではないけれど、少し淋しいような景色が、眼下に広がっていた。それでも夏を惜しむ。今年という夏はこの時にしかない。などと、ちょっと格好をつけてそんな景色を眺める。

開けそう。
くっきり見える、麓が見える。

男体山からの下山は、山頂をくるっと回る自然研究路、という道を選んでみた。歩いたことのあるような無いような、人通りも少なめの、草木が優勢の少し寂れた山道で、ひととき、静かな山歩きが楽しめた。ちょっと朽ちかけたような道が四方に伸びていて、ちょっと間違えると、えらい所へ下ろされてしまうような感じだった。

程なく御幸ヶ原へ戻り、下山は一目散。とは言っても、泥んこの山道を気をつけて下らないと、すぐに尻餅も付いてしまうし、尻餅をついた暁には、泥んこのお尻となって、帰路のバスや電車で困ってしまうことになる。ゆっくりと確実に、でもなるべく早く下山したい。
下山の道すがら、まだまだこれから登ってくる人たちも多い。

中ノ茶屋跡四阿、という東屋で少し休んでいる間に、ケーブルカーがすれ違う。ケーブルカーの線路のすぐ側にある東屋は、ちょうどケーブルカーの上りと下りを交換するポイントになっていて、タイミングが合えば、そのすれ違う様子が間近でみることが出来る、機械物好きには絶好のスポットかも知れない。
ケーブルカーにしてはカーブの線形をもつ筑波山のケーブルカーは、地面に這うケーブルをカーブに導く車輪が埋め込まれていて、チャリチャリチャリと音を立ててケーブルをせっせと送っていて、眺めているのが楽しい。ケーブルカーの乗客に手を振ってみたりと、普通の観光客にとっては、あんなところに人がいるよ。という感じなのだろうか。

立ち込める、湿気に苔も喜びし。
微かに残る樹皮が綺麗。


下山。

筑波神社でお参りを済ませてバス停まで戻ってきた。タイミングが悪かった。次のバスは30分後だった。バス停前のドライブインでビールを飲むか。と、ちょうど生ビールは切らしていて、缶ビールになった。バスまでの時間を店内で少し和ませて頂いた。気がつくとバスを待つ列が伸び始めていて、急いでビールを飲み干し、その列に加わった。バスにはギリギリ座ることが出来た。
バスに酔わないように、薄目でつくば駅前の下山メシのお店をスマートフォンで探しながら。

終始、泥んこ道
猪目?ハートがあったんだ。
今日もありがとうございました。
夏。
バスを待つ。


最後に。
割と結構、普通にちゃんと、歩いた感じがしたですが、山歩き自体はたったの3時間半と、休憩も入れて4時間ちょっとの山歩きでした。なかなか思うような山歩きが出来なかった今年の夏休み。
たまたま今年がたまたまそうだっただけで、来年もどんな夏になるのかは分かりませんが、何となく、今年の夏はたまたまそんな夏。というだけだった、夏の晴れ間を探すように、山歩きの晴れ間を探し続けていきたいと思う、山歩きでした。

今回のルート↓

今回の動画↓

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