映画『ドライブ・マイ・カー』を観てきた話。
※こちらの記事に物語の結末などのネタバレはございません。どうぞ安心してお読みください。
こんにちは。瑞野蒼人です。いやいやいや、遅ればせながらついに見てきました!話題作『ドライブ・マイ・カー』!!
村上春樹作の短編集「女のいない男たち」に収録された一編を原作とし、監督は「スパイの妻」「寝ても覚めても」などを手掛けた濱口竜介監督、主演は西島秀俊さん。上映時間はなんと3時間にも渡る大河作品です。私も朝一番で映画館に行ってみたら、上映が9時から12時までぶち抜きでした。いやー、こんなに長い映画生まれて初めてです。
原作自体は映画化が決まってすぐの頃に文庫で読んだことがあるのですが、設定は本編の雰囲気を変え過ぎない程度に多少変更されていました。春樹作品の映像化というと、私も以前高校生のころに松山ケンイチさん主演の『ノルウェイの森』を見たことがあります。今作も、どことなくそれと同じ匂いというか、村上春樹独特の風味みたいなものを感じました。人間の生臭さが醸し出す獣臭なのか、はたまた、心を抉るようなラブシーンや人間の衝突がそうさせるのか。
あと個人的には、岡田将生くんの演技のクズっぷりが凄かったです。岡田くんは不祥事を起こして芸能界から追放され、舞台から再起を目指す難ありな俳優、という役。まあ~~一言で表すとめちゃくちゃ嫌な奴なんですけど、ある意味現代のいわゆる”有名人”が抱える暗部というか、葛藤をシニカルに表現してるなと思って感心してしまいました。
村上作品を読んでいると、わたしは抽象絵画を見ているような気分になるのです。一見すると小難しくて、全体像が見えない、何を書いているのかわからない。でも、頭のなかで想像力を膨らませて人物それぞれのバックグラウンドに思いを馳せていくと、自然と伝えたいことが見えてくるような感じがして。この作品も、そのような抽象的な雰囲気を感じていました。
時々、自分の人生を振り返ったときに「なぜああなってしまったんだろう」と、悔やむような恥ずかしい出来事があったりするのです。今の自分なら絶対に回避するであろうアクシデントとか、事件とかね。でも、それをどんなに悔やんでもそのときに戻れるわけはないし、ただ黙って前に進むしかない。西島秀俊さんの、多くを語らずにただ舞台に向き合う姿が、そんなことを私に投げかけてくれたような気がしています。
うーん、私の文章までなんとなく抽象的になったな。結構寝かせて踏ん張って書いてみたんですけど、ぼんやりした感想文しか書けなくてすみません。
まあ当然ながら今回も、好き嫌いは分かれると思います。個人的にはすごく好きな部類の作品でした。特に終盤にかけての怒涛のような流れと、ラストに出てくるチェーホフの舞台「ワーニャ叔父さん」の一幕のおかげで一気に心を掴まれました。その部分だけでもこの映画を見た価値はあった!と思うぐらいには、ね。
これは余談ですが、私は『エヴァンゲリオンと村上春樹は完璧に理解しようとするな』を家訓としております。嘘です。でも意味を深く考えすぎると迷宮入りしてしまうので、あまり難しく考えずサラっと見てみるといいかもしれません。
映画「ドライブ・マイ・カー」は一部劇場で上映中の他、Amazon Prime Videoなどで配信しております。ぜひご覧ください。
おしまい。
