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【詩】ああ、なつやすみ

一日目には
まだ何もなかった

だから僕は
小さな石をひとつ置いた

二日目には
その隣にもうひとつ

三日目には
昨日より少しだけ
上手に積めるようになった

朝を削って
夜を削って

眠気を飲み込み
言い訳を捨てて

誰にも見えないところで
僕は毎日
昨日の自分より
一段だけ高い所へ行こうとした

十日経って
形が見えた

二十日経って
少しだけ誇らしくなった

二十九日目には
もう大丈夫だと思った

あと一日だった

たった一度の判断だった

たった一つの間違いだった

それは瞬きぐらいの
ほんの少しだけの時間

崩れる音は
思っていたより静かだった

一ヶ月かけて積んだものは
一ヶ月かけて壊れてはくれなかった

一秒もあったのだろうか

三十日分の朝も
三十日分の夜も

我慢したことも
諦めなかったことも

今日もやったと
自分だけが知っていた小さな勝利も

全部

昨日までそこにあったことさえ
嘘みたいに消えた

残ったのは
結果ではなく

失敗という
たった二文字だった

挑戦したことに
意味があるなんて

今はまだ
言わないでほしい

無駄じゃなかったなんて
綺麗な言葉で
片づけないでほしい

無駄だった

悔しかった

眠れなかった

だから何度も
あの一秒を巻き戻した

もしも

もしも

もしも

そんな言葉だけが
朝まで僕の隣にいた

そして今日

灰になった一ヶ月を
まだ捨てられずにいる

もう一度やればいいなんて
簡単には思えない

それでも僕は
灰の中に手を入れた

熱はもうなかった

けれど

一番底に

あの日最初に置いた
小さな石が
ひとつだけ残っていた

僕はそれを拾った

今度は
一日目とは呼ばなかった

これを

三十一日目だと思うことにした


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