ミミズは「なぜ」、ニョロニョロしているの?
生き物の研究では、動物の行動について考えるときに「4つのなぜ」という考え方がよく使われます。
これは、ノーベル賞を受賞した動物行動学者であるニコラス・ティンバーゲンが提唱した考え方で、私たちのように生き物を研究する学生たちが強く意識しているものです。せっかくなので、「ミミズがなぜニョロニョロしているか」について。この4つの考えに基づいて説明しますね。
その行動がどのようなしくみでおきているか?
ミミズのニョロニョロとした動きには、「ぜんどう運動」という運動がかかわっています。ぜんどう運動とは、筋肉が順番に伸びたり縮んだりを繰り返す運動のことで、実は私たちヒトの胃や小腸などでもこの運動が行われています。
ミミズの体はたくさんの「体節 (たいせつ:同じような部分)」が集まってできていて、筋肉を使うことで、体を「細く長く」したり「太く短く」したりすることができます。
この「細く長く」「太く短く」という運動をくりかえし行うことで、ミミズはニョロニョロとした動きをすることができます。
ちなみに、このミミズの動きはロボットに応用されているようです (参考資料1)。
その行動にはどのような良い点(適応的利点)があるのか?
ミミズはふだん土の中で生活しています。土の中では、細長い体が一番動きやすく、これが良い点であると考えられます。たくさん足が生えていたら、動きにくそうですし、足を作るコストが無駄になってもしまいそうですよね。
その行動は生まれてから死ぬまでの間でいつ獲得されたのか?
ミミズは生まれてすぐにニョロニョロと動くことができます。その後、成長するにつれて体の筋肉が発達すると、より力強く動けるようになります。
このように、生き物の行動は、生まれた瞬間からすべてができることは少なく、成長の中でだんだんできるようになっていくことが多いです。
その行動はどのように進化してきたか?
ミミズは環形動物 (かんけいどうぶつ:細長い体を持つ生き物のなかま) に含まれます。ですので、ミミズの祖先も細長い体で生活していました。土の中で生活しやすい体のつくりが受け継がれ、現在のミミズのような姿になったと考えられています。

おわりに
今回は、「ミミズがなぜニョロニョロしているか」について、「4つのなぜ」をもとに考えてみました。
ほかの生き物の行動について考えるときにも、この「4つのなぜ」の考え方はとても役に立ちます。自分で考えてみてもよいですし、参考資料に挙げた「生き物をめぐる4つのなぜ (参考資料2)」を読んでみるのもおもしろいかもしれません。
参考資料
長谷川眞理子. (2002). 生き物をめぐる4つのなぜ. 集英社新書.
(様々な生き物の行動について、4つの種類のなぜという疑問に答えています。もっと詳しく知りたいという人は読んでみてください。)
越智未羽 (愛媛大学 理学部)
