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映画レビュー:『ヘヴン HEAVEN』~天国へ旅立った巨匠へのオマージュ

ポーランドの映画監督クシシュトフ・キェシロフスキと脚本家クシシュトフ・ピエシェビッチ(ポーランド語版)は、「天国」「地獄」「煉獄」を題材にした三部作を制作する予定であった。しかし、1996年のキェシロフスキの急死によって、脚本が唯一完成していた「天国」篇である本作は、ドイツ人監督トム・ティクヴァの手によって映画として実現した。           

Wikipediaより

あなたがトム・ティクヴァの立場ならこの映画にどんな演出をしたらいいと考えるだろうか。私ならばキェシロフスキが過去に撮った代表作をまず数本観直してから、オマージュとして使えそうなシーンをピックアップしてプロデューサーに提示することだろう。いくら財布の紐を握っているとはいえ、雰囲気的にまさかノーとは言えないはずだし、興行的にも多分プラスに働くはずだからだ。

プラスチック爆弾を使って無実の親子と掃除婦を誤爆してしまったことを知り、取り調べの最中ショックで気を失ってしまう英語教師フィリッパ(ケイト・ブランシェット)。通訳を買って出た憲兵フィリポ(ジョヴァンニ・リビシ)は、フィリッパの目的が麻薬ディーラーから子供たちの命を救うことにあったことを知り、彼女に恋をしてしまう…

おそらくティクヴァは、キェシロフスキの代表作である『ふたりのベロニカ』と『愛に関する短いフィルム』から抜粋したであろうオマージュシーンを、本作の中にうまく溶け込ませている。

『ふたりのベロニカ』へのオマージュ
①フィリッパとフィリポというほぼ同一の名前に同日の誕生日(歳の差はあるみたい)。
②逃亡中二人して丸刈りにしたのはより容姿を似せて見せるための演出でしょうか。
③恋人というよりは、一心同体のドッペルゲンガーまたはソウルメイトに近い2人の関係。

『愛に関する短いフィルム』へのオマージュ
①フィリポのおもらしは、マグダに太股を触られただけでいってしまったトメクを連想させます。
②悪戯電話を使って憲兵の隙を作ったフィリポは、電話を使ってマグダを郵便局に呼び出したトメクへのオマージュでしょうか。
③牛乳配達が両作品で割りと重要な役割♥️を果たしてます。

若干サスペンスに寄りすぎたせいか、キェシロフスキらしいどこかスピリチュアルなおとぎ話的温かさに欠けていた気がしないでもない。がしかし、冒頭シーンにリンクしたラストの天国への脱出シーンは、なるほどキェシロフスキらしいエンディングである。それにしても憲兵たちに二人の居場所がバレるのが少し早すぎた気がしませんでしたか。あの女友達か元憲兵隊長の親父さんが怪しいんですけど、映画はあえてそこにふれていませんでしたね。

ヘヴン
監督 トム・ティクヴァ(2006年)
オススメ度:★★★★☆




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