個人ゲーム開発で「プレイヤーに迷わせない導線」を考えたい話
こんにちは、Mkです。
今回は、個人ゲーム開発で「プレイヤーに迷わせない導線」について書いてみます。
これまで、最初のプレイ体験、初見の人に伝わるUI、チュートリアルを作りすぎない話、人に触ってもらう話を書いてきました。
その流れで次に考えたいのが、
プレイヤーをどう自然に導くか
です。
ゲームを作っている本人は、次に何をすればいいか分かっています。
どこへ行けばいいか。
どのボタンを押せばいいか。
どのキャラに話しかければいいか。
どのオブジェクトを調べればいいか。
どこが目的地なのか。
でも、初めて遊ぶ人は何も知りません。
だからこそ、個人開発でも「プレイヤーが迷わず進める導線」を意識したいと思っています。
導線は、プレイヤーへの案内役
ゲームの導線というと、マップの矢印や目的地マーカーを思い浮かべます。
もちろん、それも導線の一つです。
ただ、導線はそれだけではないと思っています。
画面の構図。
キャラクターの向き。
光の当たり方。
道の形。
UIの配置。
目的表示。
会話の内容。
アイテムの置き方。
カメラの向き。
こういうもの全部が、プレイヤーに「次はこっちへ行けばよさそう」と伝える手がかりになります。
Game Developerの記事でも、視覚的な導線はプレイヤーがゲーム世界を理解し、目的地や重要な場所へ向かうための助けになると説明されています。矢印や看板のような直接的なものだけでなく、環境の中の視覚的な手がかりも導線として使えるとされています。
つまり、導線はプレイヤーを無理やり動かすものではなく、迷ったときにそっと助けるものだと思っています。
作っている本人は迷わない
個人開発で一番怖いのは、自分だけが分かる導線になってしまうことです。
自分はマップ構造を知っています。
イベントの発生条件も知っています。
UIの意味も知っています。
次に必要な操作も分かっています。
だから、自分でテストプレイしていると、迷わず進めてしまいます。
でも、初見のプレイヤーは違います。
「次に何をすればいいのか分からない」
「この道で合っているのか不安」
「どれが調べられるものなのか分からない」
「戻る方法が分からない」
「目的が分からないまま歩いている」
こうなると、ゲームの面白さに触れる前に疲れてしまうかもしれません。
Unity Learnのゲームデザイン教材では、ゲーム体験を作る要素として、目標、ルール、メカニクス、チャレンジ、フィードバックなどが挙げられています。プレイヤーにとって目標や反応が分かることは、体験を成立させるうえで大事な要素だと感じました。
導線も、この「目標を理解してもらう」ための一部だと思っています。
目的が分かるだけで安心できる
プレイヤーは、必ずしも最短ルートを知りたいわけではないと思います。
でも、
自分が何を目指しているのか
は分かった方が遊びやすいです。
たとえば、
まず村の外へ出る
光っている場所を調べる
目の前のキャラに話しかける
チュートリアルエリアを抜ける
セーブポイントまで進む
敵を倒して扉を開ける
こういう目的が分かるだけでも、プレイヤーは安心して動けます。
逆に、目的が分からない状態で放り出されると、自由というより不安になることがあります。
Robloxの開発者向けドキュメントでも、初回体験ではプレイヤーの目標を分かりやすい場所に表示することが、オンボーディングの助けになると説明されています。
個人開発でも、最初の数分だけでも「今はこれをすればいい」が伝わるようにしたいです。
矢印やマーカーに頼りすぎない
導線を作るとき、矢印や目的地マーカーは便利です。
でも、それだけに頼りすぎると、少し味気なくなる気もしています。
もちろん、分かりやすさを優先するなら、矢印やマーカーは強いです。
ただ、ゲームの雰囲気によっては、もっと自然に導きたいこともあります。
たとえば、
明るい場所へ進みたくなる
道の先に目立つ建物が見える
NPCが目的地の方向を向いている
アイテムが道しるべのように置かれている
カメラが自然に次の場所を見せる
音やエフェクトで重要な場所が分かる
こういう導き方もあります。
視覚的な導線の記事でも、ランドマーク、光、色、形、動きなどを使ってプレイヤーの注意を引く方法が紹介されています。
個人開発でも、最初から全部を高度に作るのは難しいです。
でも、「目立たせたいものを少し明るくする」「進む方向に分かりやすい目印を置く」くらいなら、自分の開発にも取り入れられそうです。
戻れる導線も大事
プレイヤーに迷わせない導線というと、前へ進ませることばかり考えがちです。
でも、戻れることもかなり大事だと思っています。
メニューから戻れる。
会話をキャンセルできる。
設定画面から前の画面に戻れる。
行き止まりだと分かる。
間違った選択をしてもやり直せる。
こういう安心感があると、プレイヤーは試しやすくなります。
Appleのオンボーディングガイドでも、説明が必要な場合は対象のUIの近くに出すことや、体験を邪魔しすぎない形で案内することが推奨されています。
ゲームでも、迷ったときに戻れる導線があるだけで、初見プレイヤーの不安は減ると思っています。
UIとマップの導線を分けて考える
導線には、大きく分けてUIの導線とマップの導線があると思っています。
UIの導線は、画面上で何を選べばいいかです。
開始ボタンが分かる
選択中の項目が分かる
戻るボタンが分かる
次に押すものが分かる
重要な情報が見やすい
マップの導線は、ゲーム内でどこへ行けばいいかです。
進む方向が分かる
重要な場所が目に入る
調べられるものが分かる
行き止まりが分かる
目的地がなんとなく見える
この2つは、どちらも大事です。
UIだけ分かりやすくても、マップで迷うかもしれません。
マップだけ分かりやすくても、メニューや操作で迷うかもしれません。
だから、公開前には両方を見直したいです。
迷わせないことと、探索の楽しさは別
ここで気をつけたいのは、迷わせないことと、探索させないことは違うということです。
ゲームによっては、探索する楽しさがあります。
少し寄り道する。
隠し要素を見つける。
自分で道を探す。
発見する喜びがある。
これは大事にしたいです。
ただ、楽しい迷いと、ただ分からない迷いは違うと思っています。
「どこに何があるんだろう」とワクワクする迷いは楽しいです。
でも、「何をすれば進むのか分からない」という迷いはストレスになりやすいです。
導線で大事なのは、プレイヤーから考える余地を奪うことではなく、ゲームの核にたどり着けない迷子を減らすことだと思っています。
人に触ってもらわないと分からない
導線が伝わっているかどうかは、自分だけでは判断しづらいです。
作っている本人は迷わないからです。
だから、人に触ってもらうことがかなり大事だと思っています。
見たいのは、クリアできたかどうかだけではありません。
最初にどこを見たか
どこへ行こうとしたか
何を目的だと思ったか
どこで迷ったか
戻り方が分かったか
調べられるものに気づいたか
目的地を見つけられたか
こういう行動を見ることで、導線が伝わっているか分かります。
最近の研究でも、複雑なゲーム空間では視覚的な手がかりがナビゲーションに大きく関わることが扱われており、ゲーム内の移動や探索をどう支えるかは重要なテーマになっています。
個人開発でも、まずは1人に最初の数分だけ触ってもらうだけで、見えることが多そうです。
自分用の導線チェックリスト
自分が開発中に確認するなら、こんなチェックリストを使いたいです。
【プレイヤーに迷わせない導線チェック】
□ 最初に何をすればいいか分かる
□ 今の目的が分かる
□ 進む方向の手がかりがある
□ 調べられるものが分かる
□ 重要な場所が画面内で目立っている
□ 選択中のUIが分かる
□ 戻る操作が分かる
□ 行き止まりや不正解が分かる
□ 目的地マーカーに頼りすぎていない
□ 光・色・配置・音などで自然に誘導できている
□ 楽しい探索と、ただの迷子を分けられている
□ 初見の人がどこで迷うか確認した
全部を一気に完璧にする必要はないと思っています。
まずは、最初の数分と、プレイヤーがよく通る場所から見直したいです。
AIにも導線を見てもらう
最近は、AIを開発の壁打ち相手として使っています。
導線を考えるときにも使えそうです。
たとえば、こんなふうに聞けます。
個人開発ゲームの導線を見直したいです。
ゲーム内容:
〇〇
プレイヤーに最初にしてほしいこと:
〇〇
現在の画面やマップの構成:
〇〇
不安なこと:
〇〇
以下の観点で改善案を出してください。
・初見の人が最初に迷いそうな場所
・目的が伝わりにくい場所
・UIで補った方がいい場所
・マップや光、配置で自然に誘導できそうな場所
・説明しすぎずに導線を作る案
・プレイテストで確認すべきポイント
AIに正解を決めてもらうわけではありません。
でも、自分では当たり前になっている導線を、初見目線で見直す壁打ちには使えそうです。
今回の学び
個人ゲーム開発で導線を考えるとき、大事なのは「プレイヤーが迷わないように全部指示すること」ではないと思っています。
大事なのは、プレイヤーが自分で動いている感覚を持ちながら、自然に次の行動へ進めることです。
そのために、
目的を分かりやすくする
進む方向の手がかりを置く
UIで必要な情報を伝える
光や色、配置で自然に誘導する
戻れる導線を用意する
楽しい探索と、ただの迷子を分ける
初見の人に触ってもらう
このあたりを意識したいです。
導線は、プレイヤーを縛るものではなく、ゲームを楽しむ場所まで連れていくための案内役だと思っています。
最後に
個人開発では、自分が分かる前提でゲームを作ってしまいがちです。
でも、初めて遊ぶ人は、何も知りません。
だからこそ、プレイヤーが迷わず遊び始められる導線を考えたいです。
最初に何をすればいいか。
どこへ行けばいいか。
何を調べればいいか。
戻るにはどうすればいいか。
今の目的は何か。
そういう小さな分かりやすさが、プレイ体験につながると思っています。
まだ自分の個人開発ゲームは世に出せていません。
だからこそ、いつか公開するときに、初見の人が迷いすぎず、自然にゲームの面白さへたどり着けるようにしたいです。
迷わせないけど、考える楽しさは残す。
そのバランスを意識して、これからも少しずつ個人開発を進めていきたいです。
