私たちは、今年も多くの人を失うのか
山田五郎さんが亡くなられた。享年67歳。
先日Xで急に訃報疑惑が流れてびっくりしたところ、翌日?くらいにオトナの教養講座が更新されて、体調が悪そうながらもご存命だったのにホッとしたところの、報道だった。
昨年の夏、池袋の古書往来座で夫が嬉しそうに「モノンクル」という雑誌の全巻セットを買っていた。1冊だけ家にあるんだけど、と言いつつ、被りを気にしながらも全6冊。モノンクルも、責任編集の伊丹十三もほとんど知らない私だったけど、年季の入ったモノンクル第1号をぱらぱらめくって、『おしゃれで文化的なかっこいい大人』を見た。
その、伊丹十三賞の2025年の受賞者が五郎さんだった。
五郎さんは伊丹十三賞が似合う、つまり、おしゃれで文化的なかっこいい大人、だった。ひょうひょうとしていて、親しみやすくて、知的で豊かな文化人。わたしにはとても魅力的な人に思えた。
今年で言うと、デザイナーの祖父江慎さんも、亡くなられてしまった。享年66歳だった。
祖父江さんの装丁デザインは、なんというか、ぽんぽんしてた。文字とかイラストがスキップしていて、ぽんぽん音が鳴るようなイメージ。楽しくて元気。だから元気がもらえる。持ってるだけで嬉しくなる。天真爛漫な子どもみたいな。わたしにとってはそういうデザイナーだった。
先日、サカナクションの山口一郎さん目当てで「バンド論」という本を立ち読みした。インタビューの良さはもちろんだけど、紙面デザインを見て、思い切ったことするなあ~!尖ったバンドマンって感じだ~!と思っていたら、このブックデザインも、祖父江さんをはじめ、コズフィッシュの方々の手によるものだと知って、なんだかすごく胸がいっぱいになった。
本を読んだのは祖父江さんの訃報の後だったので、余計に胸がいっぱいだった。
昔は有名人の訃報はピンとこなかったけど、やはりこの年齢になってくると、憧れたり、好きになった方がどんどんあちら岸に行ってしまったり、高齢になったりで寂しい。
わたしは詳しくなかったけど、つげ義春さんも今年お亡くなりになられた。夫は悲しそうにしていた。
まだ元気にバリバリやっている人もたくさんいるけど、最近は「もう歳だから」というような発言も聞こえてくる。「まだまだ若いんだから、そんなこと言わずに」と言いたくなるけど、きっと思うことがあるんだろう。
五郎さんも祖父江さんも、まだ60代半ばでお若かった。きっと若い頃から多忙を極めていたんだろうとか想像する。まあ、健康な生活をしていれば長生きなわけでもないし、逆もしかりだし、ただただ、魅力的で才ある方々を失うことの喪失感感じるし、きっとこの先も多くの“好きな人”を失っては、喪失感でいっぱいになるのだろう。
五郎さんのような文化的な知識人は、この先出てくるのかな。30~40代くらいで、知識人と言われるような人って誰がいるんだろう? 学者やコメンテーターとかではなく、文化人。ああいう大人、今はめっきり見なくなってしまったな。この先出てこないのかもしれない。
文化って、人だよな。人が文化を作るんだな。なんか、改めてそう思う。人じゃないとつくれないものって、文化なのかもしれない。わたしはそんな文化的でかっこいい大人たちに、本当にたくさん、心を育ててもらったな。
好きな文化=好きな人。そして人は、いつか必ず失うときが来るのだけど、その人の作ったものが後世に残って誰かの元に届くのかもしれない。そうだと良い。でも、今を生きる文化人たち、誰とは言わないけど、まだまだ元気でいてほしいよ。
