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42ローザンヌ校Picsine体験(2026年夏)

スイスフランス語圏在住6年目の40代後半フリーランスデザイナー(Web・グラフィック)です。去年(2025年)からAIの進化がめざましいなぁ…自分の仕事のあり方も今後変わっていくんだろうなぁ…と漫然と考えていたところに「42」というフランス発エンジニア養成学校の存在を知りました。

ちなみに最初に申し上げておくと、完泳はしたものの残念ながら不合格でした。不合格体験記。でもローザンヌ校のこと日本語で書いてる記事が見当たらなかったから、面白いかなと思って書いてます。


Piscine(ピシン)とは

42は、19歳以上なら経歴不問で誰でも応募できて、Piscine(フランス語でプールの意味。ドボンと飛び込んで耐久遠泳レースをするイメージからついた名前なのかな)と呼ばれる1ヶ月の試験を経て選抜されたら無料で学べるというのが魅力のプログラミングスクールです。ヨーロッパだと(主語デカ)小学校卒業前後ですでに人生の進路がある程度決められてしまうような教育体制なので、画期的な教育システムだと思います。試験方法が厳しくて、なんだかハンター試験みたいだな…って思ったら体験記でそう書いてる方がたくさんいた笑。

↑実際スイスは大学といえば国立大学のみ。国が小さいから大学数も超少ない(私大も大都市にいくつかあるにはあるけど…みたいな感じ。察して。)大学進学率が低い代わりに職業訓練を大変早い年齢から始められるので、ドロップアウトしなければ&外国に移住しなければそれなりに食うに困らずに生活していけるという国のシステム。

受験動機

私自身は、大学の仏文科卒後、商社に数年勤めたのちWebデザインを勉強して(といってもCSSが出始めのWeb1.0時代)、Webデザイナーからの、Webディレクターとして20代を過ごし、30代半ばから現在に至るまで完全在宅勤務でずーっとIT業界の端っこにしがみついてきたという経歴です。

在宅勤務になってからはスタートアップ企業の補佐を得意としており(つまり浅く広くなんでもできる人)、スイスに移住してからは英語とフランス語が日本語レベルでできないのと、日本の会社は時差問題&絶対にクライアント様と直接お会いできない問題があるからWebディレクターとしては使い物にならないため、日本のオンラインスクールでデザイン教えたり、インハウスデザイナーとしてWebやグラフィックデザインをしたり、スライドデザインをしたり…手を動かす方を主軸に仕事をしてきました。

脱線しましたが42に話を戻します。ただのエンジニアスクールだったらスルーしてたかもしれないのですが、ド文系なので「42」のネーミングに反応してしまいました…。そう、小説『銀河ヒッチハイクガイド』の「究極の問い(生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問)」に対する答えです。(あぁー昔、本家のYahoo翻訳ページの名前がバベルフィッシュだったの好きだったな…笑)

Piscineを受けるまでの経緯

…という興味を発端として、AIはもうコンロや洗濯機、掃除機のような存在として根付いていくだろうから、デザイナーとしての今後の自分の立ち位置を探りたい。無料だし。という気持ちで2025年の冬にまずは2時間のオンラインテストに参加しました。難しかったけどパズル感覚で結構進めた気がします(それは合格した)。

2026年1月に学校説明会があったので参加し、ずーっと迷ってはいたのですがその間にもAIは目覚ましい勢いで進化するわ、高齢に差し掛かってきた外国人の私の現地スイスでの就職活動は難航するわ…どこもそうだと思うけど、コネ社会なので見ず知らずの外国人がLinkedINの募集から応募しても暗闇に向かって石投げてるみたいな手応えのなさ。あと募集がシンプルに「ユニコーンでも探してんのか!?」みたいなスペックの羅列だったり…。

「何もしないで焦っているだけでも1ヶ月は矢のように過ぎるんだから、試験にフルコミットする1ヶ月があってもいいじゃないか」と言う気持ちで5月にPiscineを受けることを決意しました。ちょうど小学生の子供たちが夏休みに入る前2週間〜夏休みの最初の2週間のスケジュールだったので、夫が前半の午後は在宅勤務、後半は夏休みを取ってくれることで合意して私自身は学校近くのローザンヌのAirbnbを1ヶ月確保。やったるでー!

一週目

初日の集合時間が「9:42」指定笑。おこだわりを感じる…(あと外国のジョーク感←外国だよ)。10分前に到着したらもう人がいっぱいでした。見たら私の参加する1ヶ月で150人、その後もう1ヶ月(2回目)でおそらく同数が受験すると思われ、かなりの狭き門なのが初日に発覚。教室規模と、在校生のキャパを考えると多分合格率20%以下。きっつ〜!

初日は、イントラサイトを周回して周りに聞きまくって自分が取り組むべき問題を探し出して、なんとか着手。事前情報でShellを最初にやると聞いていたのでそこだけは予習してて本当によかった…。

周りはプログラミングの経験者の方が多そうな感じで、皆ガンガン進めてる。水曜日になったらやっと本丸の「C言語」の課題が登場する。

C言語、未知すぎて最初の簡単そうな問題がまっっっっったく理解できなくて、家に帰ってAIに4時間質問しまくってなんとか概念を朧げに理解する。AIがある時代の受験でよかった…これ周りに聞かなきゃいけないんだったら詰んでた!日本語でググっても説明が難解すぎるし、Piscineでやる内容が、原始的な部分のところなのでなかなか自分の理解したい部分の説明がヒットせず…丸腰で受けたド文系の自分にはかなりつらい走り出しになりました。

日本にいた時はその辺の人に平気で話しかけられるレベルのコミュ力を持っていたので、隣とか後ろの席の若者に色々質問はできたけど、頭が良い人の説明わかんない!笑 「これ人間相手だったら確実に嫌われてるよなぁ」って思いながら、AIにしつこく何度も何度も色々聞くスタイルで少しづつ進めました。

42の大きな特徴といえば「ピアラーニング」。講師はいません。課題の提示があるのみで、進め方は個人の裁量です。ローザンヌ校は19、20歳の若者が1/3、あとは30代前後の数年社会人をやっている中堅層が多かったです。私のような高齢勢は少なかった。20人くらいかなぁ。ちなみに女性の参加者も20人くらいのみでした。

スイスは移民がとにかく多いので、そこにいる全員がフランス語、英語はもちろん、プラスアルファでドイツ語、スペイン語、ポルトガル語話者なマルチリンガルがほぼ100%でした。私は英語・フランス語は問題なく話せるレベルなので言語に関してはそこまで困らなかったかな。若者が多いから、スラングにはついていけなかったけども。

ちなみに、イントラサイトに言語設定欄があって、日本語を一番上にしたら問題文が自動的に日本語になってくれたのは感動でした。とはいえ、理系特有のわかりづらい日本語…(偏見です、すみません)別の意味で苦労はしました。べき乗ってなんやねん、塁乗と違うんか(違います)とかね。「くっそー!UIデザイン最悪じゃんか!」と思いながら取り組んでました。

二週目

私は42学校の近く、ローザンヌのど真ん中のロケーションの良いAirbnbの一室を間借りして、そこからバスで通学してました。朝は大体9〜10時の間に登校。スイス人は朝が早いことで有名なのですが(山の民だから。遅い時間に起きてたら熊とか狼に襲われるから、その名残だと思ってる。滞在先の横の工事現場も朝の6時から稼働してたし)、受験生も11時にはほぼ全員着席して黙々と勉強してました。

黙々とって言ったけど、嘘です。めっちゃ騒がしかったです。当地、「コミュ障」って概念がない。日本だったら「陽キャ」って呼ばれる部類の人たちくらい皆よく喋る。あっちこっち席に移動してワーワー議論しながら課題を進めてる。無駄話じゃなくて、真面目な話をずっとしてる。

席はフリーアドレス制なので、最初の週は毎日違う場所に座っていましたが、二週目からは「ここ」っていう席に落ち着きました。後ろのM君がとっても優しいジェントルマンで、周りの人たちも非フランス語話者の人が多く、席運はとってもよかったです。

前の席の男子Y君とA君の2人がウクライナ人で(ロシアの戦況関係で数年前にスイスに移住した人たち)、私がデュオリンゴで毎日ロシア語やってるんだよって言ったら親近感持ってくれて嬉しかったです。スラブ系の無表情男性のたまに見せてくれる笑顔…たまんねぇ(おい)。

三週目

体力的な話をすると、東京の忙しい会社複数社で10年バリバリ社畜やってたし、2歳違いの子供2人を在宅で育てながらフリーランス仕事も並行で行ってきたし(産休は入院期間+産後2週間のみ)、今でも納期が厳しいお仕事は給食制度がない国で家事育児をしながら1日あたり12時間の稼働を数日ぶっ続けで、といった働き方ができるタイプなので、Piscineの期間毎日平均9時間ほど在校していても体力的には全然問題ありませんでした。むしろ100%自分に時間が使えるのが贅沢すぎて、毎日化粧してたのに肌の調子がめちゃくちゃ良かった笑。

それでも、新しい概念を覚え続け、一つ理解したと思ったらまた次の新しい概念…それを応用した試験対策(試験が毎週末の合計4回あった)、脳の疲労とそれに伴うストレスが半端なく大きかったです。

プログラミングという分野が、才能のあるなしで言ったら「全然ない!」って言い切れるレベルだったのもあって、個人的にはとっても大変でした。毎日、無駄話はほとんどしないで一生懸命勉強してましたが、とにかく概念の習得に時間がかかりました。

三週目はなか二日、メンタル的に限界が来て早めに帰宅して爆睡する日がありましたが、なんとか持ち直しました。睡眠は大事。

42の東京校は夜に活動する人が多そうだなと思ってますが(実際は知らないけど)ローザンヌ校は19時くらいになるともう閑散としてました。何人か夕方に来て朝方に帰るような生活スタイルの人がいたけど。「ちゃんと寝てるの?」って聞いたら「試験が終わったら寝る!」って言われた。スティーブ青木かな?

四週目

最終週は、遅れてた課題を進めるのと、試験対策でラストスパート的に駆け抜けました。イントラサイトで学生(Piscineに合格して本入学した人たち)のPiscine時代の経歴も見られるため、その人たちの課題平均終了の目安まで進めたいと思って頑張りました。傾向と対策大事。

4週目に爆速で頑張ったので、ポイントが急に貯まって「今週頑張った人」のランキングに何回か載って嬉しかったです。

はっきり言って4週間経っても、上達も遅いし「不合格だろうな」って思いながらも、全力で行けるところまで行ってみよう!!って感じで頑張ってました。とにかく後悔がないようにしたい。一縷の望みにかけて頑張ろうって思って。やらない後悔よりやって後悔。終わった今となっては全く後悔してません。

そんな感じで、最終週はあっという間に最終日を迎えました。

試験

Piscineの期間中、試験が毎週末の金曜日に4回ありました。私が在籍していた時は1〜3週目は16時〜20時の4時間の試験、最終試験は10時〜18時の8時間の試験でした。

1〜3週目は一問あたりの配点が10点。

1回目10点取得

2問目に習ってない概念が出てきたのでそこで試合終了。ただ初回は0点続出と事前に聞いていたので、なんとか点が取れて嬉しかったです。10点でガッツポーズが出るほど嬉しい世界線 is 何。

2回目30点取得

最初の3問は復習しまくった範囲からの出題で難なくクリア。4問目に知らない概念が出てきたので、途中退出。全4回中一番できた実感のある試験でした。

3回目10点取得

いきなり難易度の上がった3回目試験でした。後から聞いたら普段できる人でも10点の人がたくさんいました。私は、1問目に事前に学習した「ちょっとこれ新しい概念だからできるかなぁ…」と思った問題がドンピシャで出て0点回避のラッキー回。ただし2問目がどうしても消せない埃があって無念の時間切れ。結果は残念だったものの一問に全力で数時間取り組んで「プログラミングちょっと楽しいかも」って思えた貴重な経験でした。

最終試験15点取得

最終試験は、なんと一問あたりたったの5点配点
1問目、問題なくパス。
2問目、できてるはずなのに突破できなくて悩みに悩んだものの、初歩的なところを忘れていたことに気がついて1時間半で突破。
3問目、やり方はわかってるけど、どこに入れたらそれが成り立つかわからなくて2時間費やし無事突破。
4問目、途中までは習った方法で書けたけど、最後の数字の出し方の書き方がわからなくて最後までできませんでした。

ということで、8時間精いっぱいに取り組んで3問のみ。うーん、こりゃ合格は難しいだろうなって思いました。

合否発表

できる限り全力で取り組んだ4週間で、心から「悔いがない」って思える日々を過ごしましたが客観的に見て相当難しいだろうと思ってました。

試験が終わって1週間目の夕方、ついにメールが届き…予想通りの不合格でした。残念、でも仕方ない!!

試験中は公式のDiscordで各種連絡がきていましたが、最終試験の終わった日にアクセス権がなくなるとのことで、有志によるグループが立ち上がっていたので一応参加してました。

結果発表のあとは怒涛の報告ラッシュ。中には私よりずっと進捗が早くて快活で、皆とも仲良くしていた女の子も「不合格だった」って言っていたので私なんて最初から箸にも棒にもかからなかったんだって、潔い気持ちで切り替えができました。

不合格だった人は、あと1回Piscineの参加権があるとのことですが、私はもう二度と受けません(笑)。新しい道を探すぞー!お仕事くださーい!

ラッシュ

42は24時間365日いつ行ってもいいそうです。Piscineも同じく休日はありません(自分の裁量で)。毎週土日はRush(ラッシュ)と呼ばれるプロジェクトが開催されました。参加希望者の中からランダムに3人グループを組まされてのチーム戦です。

私は二週目に参加しましたが、これがまぁ難しいわ、チームメンバーの相性が悪いわ…で開始早々4時間で「ギブアップ」になりました。

ラッシュで出題される問題はすごく難易度が高いものなので、丸腰初心者で受験した私にはちょっと無理…でした。

BSQ

最終週に行われる2人プロジェクト(好きな人同士で組んでいい)。Rushばりの超難問を3日で解くという内容だったようです。

私は自分の課題を進めるのと試験対策でいっぱいいっぱいだったので参加しませんでしたが、前述のM君など、プログラミング経験があって、課題もかなり先の方まで進めていて、かつ試験でも70点以上取ってるような猛者が参加してました。BSQに手が出せるレベルの人が合格したんだろうなぁ…。

イベント

受験期間、学校側も色々なイベント企画をしてくれてましたが「サッカー観戦(W杯期間中だった)しよう会」「スマッシュブラザーズ耐久4時間会」「人狼ゲーム」「暑さを凌ごう水鉄砲合戦(!?)」とか、ノリが小学生男子…!こっちのギーク(いわゆるオタク)の人のノリって「小学生の陽キャ」なんだなーってしみじみ。私はどのイベントも興味がなくて参加しませんでした(それはそう)。

ひとつだけ毎週参加したのが「女性だけのお茶会」です。ローザンヌの42は(フランスもかな?)IT系の女性率の少なさ解消の取り組みをおこなっているそうで、その一環で女性だけで1時間ほどお茶しながら会話する時間が設けられていました。事務の女性スタッフや、在校生の女子たちと交流できる貴重な時間でした。

最後に

外国人としてスイスに暮らしている私ですが、なるべく日本にいたらできない体験をしよう!と思って色々と活動しています。

現地の日本食材店関係のデザインのお仕事
やりたいスタイルでやらせてもらっていて、とっても楽しくて大好きなお仕事です。

スイスの婦人会の日本人初のメンバー
とある入門審査&上下関係が厳しい婦人会に所属しています。高齢者が多いので、可愛がられてます。オールフランス語。めちゃ楽しいです。今後はもう少し会内政治活動頑張りたい。

Piscine参加もその一環
日本に住んでたら多分参加しなかったと思います。やり切って悔いはない!

今は進路が全くの白紙状態です(40代後半で進路もクソもないんだけど、自分の進む方向とかそういうのね)。さーこれからどうしようかなー!?って不安8割、可能性2割って感じです。

子供たちがあと10年もしないで独り立ちするので、その時に空っぽでいたくない。子供と健全な距離を保ちたいので、自分のことも意識的に充実させたい。そんな気持ちで過ごしてます。

学校入学がなくなって余力があるので、日本からのお仕事もお待ちしてます!グラフィックデザイン、ディレクション、スタートアップ企業、スモールビジネスの補佐、英日翻訳、仏日翻訳、結構なんでもできます、ぜひお声がけください!(XのDMからご連絡くださいませ)。

ここまでの長文をお読みいただきありがとうございました!
滞在中のローザンヌ生活こぼれ話も書く予定です。

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