【乗車記】200万人達成の記念日に。日本一ゆっくり走る「潮風号」で見つけた癒やし。
最高時速は、わずか15km。
日本一ゆっくり、そして日本一短い路線を走るトロッコ列車。
その名は、北九州・門司港を走る「潮風号」。
慌ただしい日常を忘れさせてくれる、魔法のような乗り物です。
乗車した日は、ちょうど「乗車200万人達成記念式典」が行われた特別な日。
始発前からホームは祝福のムードに包まれ、多くの人で賑わっていました。平成筑豊鉄道のキャラクター「ちくまるくん」もお祝いに駆けつけ、お祭り騒ぎ!

そんな記念すべき日の10:00。
幸運にも「1番乗り」で列車に乗り込むことができました。
息子を抱っこして腰掛けたのは、木製の背もたれのベンチが並ぶ開放的な客車。

「出発進行!」の合図とともに、ガタンと心地よい振動が伝わります。ちくまるくんが振ってくれる手に答えるように、私たちの旅が始まりました。

窓のないオープンな車内に吹き込んでくるのは、その名の通り関門海峡の心地よい潮風。
九州鉄道記念館駅から、出光美術館、ノーフォーク広場、そして終点の関門海峡めかり駅まで。わずか2.1km、10分間のショートトリップ。

いつも10kgの息子を抱えてバタバタと駆け抜ける日常には、こののんびりした速度が何よりの癒やしでした。
でも、ただのんびりするだけでは終わらないのが「ママ鉄」の性。
関門海峡トンネルに入った瞬間、車内には驚きの演出が待っていました。
暗闇の中、天井にパッと浮かび上がる色鮮やかな魚たち。
「うわあ!」という乗客の歓声。
ブラックライトが照らし出す幻想的な海底の世界に、親子で夢中になりました。

そして、ふと気になったのはその「出自」です。
実はこの潮風号が走っているのは、かつて臨海部の物流を支えた貨物線の跡。
小さな車体で力強く客車を引くディーゼル機関車を眺めながら、その内部で燃焼するエンジンの鼓動や、トルクを伝える動力伝達の図解が、電験三種試験勉強中の私の頭をよぎります。
終点の「関門海峡めかり駅」に降り立つと、そこには巨大な電気機関車EF30が静かに余生を過ごしていました。

かつて海底トンネルの湿気と塩害に立ち向かうべく、ステンレスの鎧を纏って走り抜けた重厚な車体。
最新のスマートな電車も良いけれど、こうした歴史の重みを背負った「鉄」の姿には、やはり理屈抜きで心を動かされます。
潮風に吹かれながら、息子と笑顔を交わした今日。
北九州の鉄道は、産業を支える「激しさ」と、人を癒やす「優しさ」が共存しているから面白い。
帰りの車中、お土産に買った鉄道グッズを握りしめて眠る息子の寝顔を見ながら、
「いつかこの子が、自分で時刻表を読み解き、電気の仕組みに興味を持つ日が来るのかな」
なんて、少し先の未来を想像した昼下がりでした。
ちなみに車内では、アンケートに回答したりSNSに投稿したりするとノベルティがもらえるキャンペーンがあるのでぜひゲットするのをおすすめします!

