撮影による対象化
写真は被写体を対象化し、搾取しているとの批判がある。つまり、写真は被写体を「利用可能なもの、あるいは情報」へ変換し、特に人物撮影においてはその人格をはぎ取り、搾取しているとの批判だ。この批判はスーザン・ソンタグが1977年に『写真論』で、写真の獲得性として明確に指摘し、それから半世紀にわたって写真を考える際の基本的な要素となっている。また、写真家……対象化する側は……ほとんどの場合で自分自身を問われない。まさしく見る者と見られる者であり、あるいは語る者と語られる者の非対称が存在している。さらに、写真家は透明な存在であるべき、あくまでも黒子として画面に姿を見せるべきではないとの思想が、写真の世界には強く存在している。そのためか、優れたセルフポートレート作品には、作家自らが自身を対象化し、モノ化、情報化して作品の主題とする、あるいは主題を強化したものが少なくない。なぜなら、最初に指摘したように、ほとんどすべての撮影者は、他者を対象化しながら、自分自身が対象化されない場所にいる。だからこそ、セルフポートレートは、その安全地帯を奪い、撮影という行為を問いなおす試みとして意味を持つのだ。




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