見知った街の隣に広がる見知らぬ世界
いろいろあって、真夏の街を歩いている。気乗りしないどころか、できれば避けたい用事だけど、これ以上先延ばしは無理と、かなり厳しく言い渡されてしまったので、しぶしぶ足を運んでいる。目的地は見知らぬ街だが、通りをひとつ隔てた先は、かつて通った街だった。そのせいか、ざっくりと地形がわかるように感じるけど、街の表情はずいぶん違っていた。なにしろ、オサレなのだ。かつての古い店舗は、多くが小洒落たカフェやバール、雑貨屋になっていて、いわゆるA看板も横文字のチョークアートでにぎやかに飾られている。と思えば古くから名を知られた社もあって、そちらに目をやると参拝客と思わしき人々がまばらに歩いている。街路樹が大きく育っていまは静かだが、きっと祭りの日は賑わうのだろう。自分が通っていた界隈は下町っぽいわい雑さを濃厚に放っていたが、ほんのちょっと先まで歩いたら、高級住宅街とオサレカフェの世界だ。クソ面白くない用件だが、こうして見聞を深めるのは悪くないし、坂のある街は嫌いじゃないしね。というわけで、できればちゃっちゃと用事を済ませて帰るつもりが、なぜかこの街に足止めとなってしまって、大阪行きもキャンセルだ。




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