【2026年3月14日】WBC米国代表、クレイトン・カーショウが登板なしで離脱
【2026年3月14日】WBC米国代表、クレイトン・カーショウが登板なしで離脱
引退復帰の伝説左腕、5試合で一球も投げず
2026年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準々決勝が終わった3月13日(現地時間)深夜、米国代表は元ロサンゼルス・ドジャースのクレイトン・カーショウ(37歳)をロースターから外し、後任にトロント・ブルージェイズの右腕リリーフ、ジェフ・ホフマンを加えたと発表した。
カーショウは1次ラウンド4試合、準々決勝のカナダ戦を含む計5試合を通じて、一度もマウンドに立つことなく大会を去った。
準々決勝:カナダに5対3で勝利、準決勝進出
準々決勝に進出した米国は3月13日夜(日本時間14日午前8時)、ヒューストンのダイキン・パークで行われたカナダとの準々決勝に5対3で勝利し、準決勝進出を決めた。先発のローガン・ウェブ(ジャイアンツ)が4回2/3を無失点に抑え、最終回はクローザーメイソン・ミラー(アスレチックス)が締めた。
試合は6回表にブライス・トゥラングとピート・クロウ=アームストロングの適時打で一気に5対0とリードを広げた米国が主導権を握った。しかし6回裏、カナダがタイラー・ブラックの適時打とボー・ネイラーの2ラン本塁打で3点を返し、一時は2点差に詰め寄られる展開に。7回裏には無死二・三塁の絶体絶命の場面を迎えたが、デイヴィッド・ベドナーが後続を断ち切り、9回はメイソン・ミラーが三者連続三振で2点差を守り逃げ切った。
カーショウ、5試合で一球も投げず
クレイトン・カーショウの米国代表から離脱を正式に伝えたのはESPNで、後任が当初報道されていたジョー・ライアン(ツインズ)ではなくジェフ・ホフマン(ブルージェイズ)であることも同時に明らかになった。
カーショウはMLBを引退後に、米国代表入りを「バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)」の一つと語って参加を決意したWBCだったが、実際の公式戦登板は訪れなかった。コロラド・ロッキーズとの練習試合(3月4日)で⅔イニングを投げたのが唯一のマウンドとなった。
カーショウがWBCでの登板を逃した試合の経緯は以下の通り。
対ブラジル(3月6日)米国15-5 勝利も終盤まで競った展開
対イギリス(3月7日)米国9-1 勝利も後半まで接戦
対メキシコ(3月10日)米国5-3 勝利も接戦のまま終了
対イタリア(3月10日)米国6-8 逆転負けで登板機会なし
対カナダ(3月13日)米国5-3 勝利も6回に3失点で終盤は接戦
カーショウ本人のコメント
カナダとの試合後、クレイトン・カーショウは記者団に対し次のように心境を語った。
「参加して本当に良かった。このチームの一員でいられたことが、(現役生活の)締めくくりとして素晴らしい経験になった。次世代の野球界を担う選手たちを間近で見て、一緒に過ごせた。本当に恵まれていた」
試合前のFOXの放送インタビューでは、「ユニフォームを着てアメリカを代表することは、ずっとやりたかったこと」と素直な思いを吐露。「自分がデプスチャート(米国代表投手陣の序列)の上位にいないのはわかっている。それでも構わない」と、チームの勝利を優先する姿勢を崩さなかった。
ロースターを離れたカーショウはいったん故郷のダラスへ戻り、その後は家族とともにマイアミへ飛んで準決勝・決勝のスタンド観戦に臨む予定だという。
カーショウのWBCとの因縁
カーショウがWBCへの参加を志してから足掛け20年、ようやく夢のユニフォームに袖を通したが、公式戦登板という念願は最後まで叶わなかった。
2006年 高校3年生、参加資格なし
2009年 米国代表候補に選ばれず
2013年 招待を辞退
2017年 参加見送り
2023年 故障歴による保険問題でロスター除外
2026年 MLB引退後に参戦、登板なしで離脱
WBCに縁がなかったカーショウ、それでも貢献は大
クレイトン・カーショウの今回の米国代表参加は、どう評価すべきだろうか。
登板がなかった事実は覆しようがない。しかしそれは、米国代表が連戦続きの接戦を演じ続けた結果でもあった。マーク・デローサ監督は「勝利最優先。カーショウを使う余裕があれば喜んで使った」と明言しており、起用の機会が生まれなかったのは皮肉な話だ。
一方でチームメートたちは口をそろえて「カーショウがいるだけでロッカールームの空気が変わった」と語った。ローガン・ウェブは「歴代最高の左腕かもしれない人が、これだけ謙虚でいられるのが信じられない」と話している。
クレイトン・カーショウは18年間のキャリアをドジャースに捧げ、MVP1回・サイ・ヤング賞3回・ワールドシリーズ制覇2回——すべてをやり遂げた後に、それでも米国代表のユニフォームをもう一度着たいと志願した。その純粋さこそが、クレイトン・カーショウという投手の本質だったのかもしれない。
クレイトン・カーショウ:通算223勝、サイ・ヤング賞3度、オールスター11回
クレイトン・カーショウは1988年3月19日生まれ、左投左打の先発投手。2006年ドラフト全体7位でドジャース入りし、2008年5月25日にMLBデビュー。鋭いカーブと精密な制球で長くエースとして君臨し、サイ・ヤング賞3回、2014年ナ・リーグMVP、オールスター11回など輝かしい実績を残した。2012年には社会貢献でロベルト・クレメンテ賞も受賞。2025年限りでの現役引退。MLB通算は18シーズン(2008年~2025年)で455試合(451先発)に登板、223勝96敗(勝率.699)、防御率2.53、投球回2855回1/3、奪三振3052、WHIP1.02、完封15。
