40年目でファンになりました:米米クラブ
”浪漫飛行”に引き寄せられて
2025年5月、横浜スタジアムでのカールスモーキー石井の「浪漫飛行」のミニライブがあった。ベイスターズの試合の後で、日も暮れた後、青のユニフォームでいっぱいのハマスタで響くこの曲を聞いていたら、なんとも言えない震えが走った。カラオケでもよく歌う、大好きな曲だ。
十八番の曲と言っても、実はわたしの邦楽のレパートリーは1994年くらいまでだ。新入社員のころは、よく職場の先輩や同僚とカラオケに行ったが、そのころで曲のアップデートが止まっている。
今、行かなくっちゃ!
今振り返ると就職氷河期だった。20代の頃はコンサートに行く経済的な余裕がなかったし、30代の頃は定職に着くことで頭がいっぱいだった。40代ではーー。
「いつか」余裕ができたら、ライブに行けると思っていたが、ある日ふと気がついた。アーティストも年をとっていくーー。
当たり前のことなのに、YouTubeでライブを見ていると、今でも同じパフォーマンスが見られると錯覚してしまっているのだ。
米米クラブって一体何人いるの?
ラッキーなことに40周年のライブのチケットが入手できた。チケットの値段もほどよくインフレしている。観客は皆踊るに違いない。あとは自分の体力を備えればいいのだ。
わたしの中の米米クラブのイメージは、昔のベストテンとかに出演していた時のもの。なんだか雛壇のように、メンバーがたくさんいて、女性がふにゃふにゃ踊っている、そんな感じだった(ごめんなさい)往年の曲をやってくれたら、ファンでないわたしにもわかるだろう、くらいの気持ちだった。
小芝居あり、演歌(?)あり、ゲストあり
全く事前知識のないまま行ったので、ライブに来る人たちは、みんなすごい仮装やメイクをしてくるのかと内心ヒヤヒヤしていたが、そんなことはなかったので、ホッとした。年齢層も幅広く、一人で来ている人も結構みかけた。きっと昔から米米クラブが好きなんだろうな、とか想像しながら。
ファンの人にはお馴染みの舞台設定なのかもしれないが、舞台に稲荷があったり、冒頭に小芝居があったのが、なんかちょっとドリフターズを思い出してしまう。
カールスモーキー石井が「このアリーナを満席にできるのは、Mr. Green Appleか米米クラブです」と言って笑わせていたが、Mr. Green Appleの歌芝居とも、いい意味で勝負になってそうだ。
ゲスト出演のゴスペラーズとの「浪漫飛行」もよかったが、個人的には、スタジアム映像での石井竜也一人のバージョンの方が、歌詞が心に響いた。多分「人生という旅」を謳っている姿が心を打つのだと思う。
昭和(1985年)にデビューしたバンドの今昔
まず、カールスモーキー石井の声。66歳だというけれど、よく出ている。きっとボイトレなど、きっちりやっているのだろう。もちろん20年前とは違うだろう。声量がある方を聞きたいなら、YouTubeを見ればよろしい。彼らが命を削って歌う姿を見に行くのがライブだから。
率直なところ、1990年代ごろのカールスモーキー石井は、メイクも奇抜だったし、近寄りがたいイメージだった。「Shake Hip!」のような曲のイメージと、「君がいるだけで」のイメージ、一体どちらが本当なのか、どちらかが化けているのか、戸惑いを覚えた。でも今回のステージで、すごく統合されているというか、ああ、こういうアーティストなんだなというのが、自分の中で腑に落ちた感じだ。
再評価すべきバンドの美学
もう一つ加えると「あの時代から、バンドに専属のダンサーがいるって、結構すごいことだな」と思った。1990年代〜2000年代、雇用が不安定になり、非正規社員が大量に生み出された時代。「ダンサーも正規社員」時代の流れに安易に乗らなかったグループだったことが今になって証明されている。
派遣が流行った時代に外注しなかったというところに、このグループの美学を感じる。それが今になって、ステージを”手分け”して演出できる良さに繋がっているのかもしれない。
内情を知らない。ただ、そう思った。
以上の体験を得て、今回「推し」ではなく「ファン」になってしまった。GoodsやCDを購入するわけではなく、ファンクラブに入会するわけでもないが、デビュー40周年に「お気に入り」ができたことを嬉しく思っている。
