小さな退却が人をこじらせる
人がこじらせるのは、大きな挫折のせいではない。たいていは、小さな退却のせいだ。
思春期のころ、好きだった女の子に「好きだ」と言えなかった。ただそれだけのことが、あとになって人を歪める。そんなものは些細な失敗にすぎないだろう。じっさい、外から見れば何でもない。だが、本人にとっては何でもないでは済まない。
なぜなら、そのとき失ったのは恋の成就ではなく、自分に対するある種の信頼だからだ。
飛ぶべきところで飛べなかった。踏み出す前に怖気づいた。
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