受け継ぐものと創り出すもの モダンな感性で、唯一無二の輝きを

たくみ切子 / 盃「あじろ」(切子ガラス工芸研究所 たくみ工房)
[大阪市生野区]
時を忘れて眺めていたい、美しい切子の数々。
繊細なカットが光をまとい、幻想的な世界が広がる。
江戸時代中頃、長崎に伝わったガラス製造の技術は、大阪を経て江戸へ。
切子は江戸において「江戸切子」として繁栄したが、当時大阪でもカットグラスが作られており、大阪の業界より刺激を受けていたといわれている。
江戸時代末期には薩摩藩が、透明ガラスに色ガラスを重ねて作った生地にカットを施した「薩摩切子」を生み出すが、幕末の動乱で瞬く間に失われてしまう。
技術と美術的価値から珍重された薩摩切子を蘇らせた技を駆使しつつ、切子の未来への潮流を生み出そうとするのが、高橋太久美さん率いる「たくみ切子」だ。
分厚い色ガラスが表面に被せられた“色被せガラス”を、慎重に丁寧に削ることで、幽玄な味わいを持つ絶妙なグラデーション「ぼかし」を生み出す。
仕上げの工程では、木盤やコルク盤で丹念に手磨きを施すことで鋭いエッジが得られ、切子が一層輝くのだ。
「あじろ」は、お茶席で見た天井の葦寄せ仕上げから着想を受け、切子ガラスにほかの伝統工芸の味わいを取り入れた、モダンな逸品となっている。

たくみ工房では次世代を担う職人が活躍し、
2016年3月には工房に併設する切子専門店もオープン。
