結局、人はうどんに帰ってくる。
人生の旨味がじわりと染み出してきた食通の皆さまへ。
一食の価値を知り尽くした皆さまが、うどん選びを「とりあえず腹を満たす作業」で終わらせてしまうのは、あまりにももったいない。
忙しさに追われる日々の中で、食事という時間は数少ない回復ポイント
です。
HPもMPも回復できる、いわば人生のセーブポイント。
せっかく口にする一杯なら、ただのエネルギー補給で終わらせない。
香りに驚き、コシに唸り、最後の一滴まで意味のある体験に変える。
それが、分かっている人間のうどんの選び方だと私は思うのです。
え?うどん愛が重すぎる?気持ち悪い?
最高のお褒めの言葉、ありがとうございます。
グルテンが美容に悪影響?
それでもなお、うどんだけは例外でいい。
(ラーメンも🤫)
艶やかな麺を前にして、理性を貫けるほど人間は完成されていない。
私は60歳でも80歳でも、たとえ歯が全滅しても、最後までうどん側の人間でいる覚悟です。
むしろその頃が本番です。
噛むという概念を超えて、完全に一体化します。
そんなうどんに寄り添いすぎた私の日常を、今日はそっと切り取ってお届けしてまいります。
最後までお付き合いいただけたら、うどんを軽視していた方も、少しだけうどんが恋しくなるかもしれません。
深夜の静寂の中、noteにて2000文字を超えるの魂の叫びを「公開」ボタンに叩き込んだその瞬間、私の脳内は完全に焼き切れました。
静かに燃え尽きた達成感と、完全に中身が抜け落ちたような空虚感。
そんな自分への、ささやかなご褒美。
普通なら甘いものとか、ちょっといいコンビニスイーツとか、そういうやつを想像するじゃないですか。
でも私の脳内に浮かんだのは、
「うどん、粉からいくか」
という選択でした。
冷静に考えれば、深夜にやることではない。
むしろ労働です。
でも不思議なことに、この狂気、私にとっては日常でした。
というのもこの行為、実は7歳の頃から続いています。
お腹が空けば、まず母に確認する。
「ママぁ、小麦粉、ある?」
あとは無言でキッチンに立ち、粉と水をこね、ひたすらうどんを打つ幼少期。
今思えば、もっと他にやることあっただろうと思います。
でもその頃からすでに、私の人生は、うどん側に寄っていたのです。
そんなこんなで今夜も私は、贅沢にも自分の労力をフル投入しながら、愛してやまない一杯を完成させるためにキッチンに立っています。
眉毛まで白い私。無心で粉と格闘。
状況だけ切り取ると、完全にアウトです。
ふと鏡を見る。
そこに映るのは、粉まみれで虚無の表情を浮かべた自分。
心の中で、鋭くツッコミが入る。
「なぜ令和の時代に、わざわざ粉からやっているのか」
時間の無駄だと言われても仕方がないだろう。
しかし、手は止まらない。
なぜなら私は知っているからです。
あの一瞬を。
喉を滑り落ちる、あの官能的な感触。
コシが舌を押し返し、そしてするりと消えていく、あの刹那。
そう。
私にとって、うどんは飲み物であり、娯楽であり、もはや人生です。
その一口のためなら、筋肉痛すら愛せる。
むしろ、ご褒美だ。
塩水濃度は10%。
粉500グラムに対して、水分量はその48%にあたる240グラム。
夏季なら少し減らして45%、冬季なら50%。
最初は、指にベタベタまとわりついてきて、
「おいおい、本当にまとまるのかい?🤷♀️」と不安しかない状態からスタートする。
でも、根気よく水回しを続けていくと、粉はだんだんとそぼろ状へと変わっていく。
さらさらの砂が、雨に濡れて重たくなるあの瞬間。
あの独特の手触り。
この指先の感覚こそが、うどんの命だと思っている。
そしてここからが本番。
グルテンという名の色男との、真剣勝負。
生地を袋に入れて、床にシートと段ボールを敷く。
いよいよ「足踏み」の時間だ。
「おい、グルテン。ちゃんと仕上がってるか?」
心の中で話しかけながら、体重をかけて踏みしめる。
何度も畳んで、何度も踏んで、しつこく向き合い続ける、、
すると、ある瞬間から抵抗していた生地が、急に素直になって、つるりとした、なめらかな肌に変わるのだ。
ドスン、ドスンと床を鳴らすたび、「隣人に通報されないかな?」という現実的な不安がよぎる。
それでもやめない。
そして完成した生地を好みの太さにカットしていく。
悩みに悩んだ末、今回私が選んだのは稲庭うどん風。
あの気品あふれる細麺。
秋田が誇る、あの上品な喉越し。
、、それを、包丁一本で再現する。
大きな鍋に、たっぷりのお湯を沸かす。
うどんを美味しく茹でるコツは、麺をお湯の中で躍らせること。
テボに、魂を込めた白い糸たちをそっと入れる。
3時間かけてきた人間にとって、この待ち時間はやたら長い。
でもその間、麺たちは楽しそうに湯の中で踊っている。
期待はすでに最高潮だ。
やがて、その時が来る。
氷水でキリッと締め、もう一度熱湯へ。
どんぶりへ移しながら、心の中で一礼。
「ようこそ、私のどんぶりへ」
そこへ注ぐのは、昆布と鰹から取った黄金色のお出汁。
立ち上る湯気が、すべての疲労を包み込んでくる。
最後にねぎとお揚げさんをトッピングすれば、、
さぁ、お待ちかね。

目を瞑ってくださいませ🙏
まずはスープをひと口。
「、、あぁ、ほどける」
旨みたっぷりのお出汁が、五臓六腑に染み渡る。
そして主役の麺。
もっちり、つるり。
弾力と喉越しが共存する奇跡。
この瞬間、私は確信する。
今日の私は、間違っていなかった。
ここで秘密兵器、七味戦争で見事勝ち抜いた、お気に入りの七味を投入。
パラリ、と一振り。
黄金の出汁の海に、鮮やかな赤い火花が散る。
思わず箸が止まる。
見惚れる、そして、、軽く感動する。
これはただの調味料ではない。
演出です。
山椒の痺れ、柚子の香り、唐辛子の刺激。
味が一気に立体化する。
、、これだ。
この一振りのために、私は粉まみれになった。
気づけば、どんぶりは空っぽ。
3時間かけて作ったものが、消えるのは一瞬。
でも、この満足感だけは、ちゃんと体の奥に残っている。
うどんを打つという行為は、効率とは真逆だ。
買えば一瞬。
でも、作れば3時間。
それでも私は、今日も粉をこねる。
なぜならその無駄の中にしかない時間が、確かにあると知ってしまったから。
みなさんも、明日はうどんにしませんか。
手打ちじゃなくてもいいんですよ。
スーパーの一袋でも、ちゃんと美味しいです。
そこにほんの少しの愛と、お気に入りの調味料さえあれば🍃
ただの一杯が、ちょっと幸せになります。
心ときめく、一振りの魔法を添えて。
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