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monbon
湯河原にて
私は今、湯河原に来ている。
切り立った青い山を見ると、故郷を思い出す。
大阪から引っ越した山深い町。
なぜこんな所に家を建てたのだろう。いつもそう思っていた。
父も母も、ゼロから作りたかったのかな。
リセットして自分たちの場所を築きたかったのかな。
あの町に暮らしたからこそ都会の喧騒から離れて、小さな幸せを大きな幸せに思えたのかな。
ささやかに自然や動物を慈しむ暮らしを選んだのかな。
今も夢枕には立ってくれない母。
人の魂は、亡き後どこへ行くのか。
今もスマホの向こうから、貴女の声が聞こえてくるような気がして。1年前はまだ話せていたから。
山を見上げて、この高台にこれから住むのよと言った若き貴女の姿。40年、いろんなことがあったね。
青くも蒼くもあった山。
どうか安らかに空のどこかにいてくださいね。
