60過ぎて、レジパートはじめました③情けないけど仕方ない
スーパーのレジパートに行き始めて2週間経ったころ。
といっても週3日勤務だから、実質まだ6回目だ。
もともと緊張しやすい性格で、職場の駐車場に車を入れたあたりから、もう心臓の鼓動をはっきり感じる。はぁ、とひとつ息を吐いて、スーパーの裏口へ歩いていく。
不思議なもので、体が動き出すと、緊張は少しずつ薄れていく。諦めなのか、覚悟なのか、自分でもよく分からないけれど、そうなる。
今日、一緒に入った先輩パートさんは、70代のベテランさんだった。言葉遣いがきつい人だ。他のパートさんによると、この人のせいで新人がすぐ辞めていくらしい。
私のレジが遅いと、無言ですっと入ってきて、私の何倍もの速さでレジを流していく。私は端に追いやられる。
追いやられている間は、お客さんがどんな顔をしているかなんて、見る余裕もない。
ひと仕事終えると、テキパキおばちゃんはまた品出しへ戻っていく。その後ろ姿が、なんとも颯爽としているのだ。「ひと仕事してやったわぁ」とでも言いたげな背中。
そんな時は、何とも情けない気持ちになる。
遅いのは仕方ない。そう思わないと、自分が可哀想だから、そう思うことにしている。
テキパキおばちゃん。
時々、容赦のないきつい言葉が飛んでくることもあるけれど、私はこの人を、いい人だと思っている。

