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童心読書『びりっかすの子ねこ』50年ぶりの再会

童心読書を始めて、良かったことはたくさんあります。

・楽しい。
・いろんな発見がある。
・笑顔が増える。
・感性が豊かになってきている気がする(当社比)

そして、今回、
昔の自分と再会できる

という体験をしました。

皆さんは、「ああ、子供の頃読んだ、あの本なんだったっけ」とか「うろ覚えだけど、昔、夢中になっていたアニメあったよなあ」とか、何かの拍子に、ふと、思い返すことはないでしょうか?

ちゃんと調べたら、思い出せるはずだけど、忙しさもあって、ずっと先送りにしている間に、本当に忘れてしまった、幻の作品たち。題名も、あらすじも忘却し、うっすらとした感動だけがちょっぴり残っている作品がないでしょうか?

私は、ありました。

覚えていたのは、

「生まれて間もない子猫と年寄りの犬が出てくる話」

「子猫が犬の頭の上に落ちてきて、犬が皿の中のミルクに顎を浸してしまい、その顎を子猫が舐める話」

という断片的な情報だけ。
題名も、作者の名前も、全く覚えていませんでした。

もしかしたら、絵本に詳しい人に

「えーとな。猫が犬の頭の上に落ちてきて、犬がミルク皿に顎をぶつけて、その顎を猫が舐める話知らん?」

って聞いたら、答えてもらえたかも知れませんが、そういう機会は訪れませんでした。

しかーし。

先日、図書館へ行き、閉館間際まで楽しんで、目当ての本を借りて帰ろうとした時、出口近くのコーナーにあるたーくさんの児童書の中で、一つの本が光り輝いていたのです。

ディヤング作 マクマラン絵 中村妙子訳『びりっかすの子ねこ』(偕成社)

題名を見た途端、ほんの1〜2秒の間に、パッと光が差して、頭の中の水車だか、風車だかが、くるくる回り始めました。
50年以上の歳月を飛び越えて、記憶が蘇ったのです。

この本、知ってるー!

「犬の顎舐め猫」の本やー。

となって、閉館1分前、借りることに成功いたしました。

まさかまさか、そんな昔の本が、今も出版されて、読まれているなんて!(感涙)

奥付を見ると、
1966年11月初版 1刷  1981年10月初版 44刷
1982年3月改訂 1刷   1985年5月改訂 11刷 
1985年11月2訂 1刷   2002年12月2訂 15刷

とあります。うおおおお。読み継がれていますねえ。

家に帰って、丁寧に読みました。読んでいるうちに思い出しました。この本、小学校の低学年の時に、近所の中学生の兄ちゃんにもらったのですよねー。「もう読まへんからあげるわ」って。

で、お気に入りでよく読んでたのですが、小六か中一くらいの時に、母親に勝手に捨てられたんですよねー。

うちの母親は、家に物が溢れてくると、突如「ぎゃああああ」と錯乱状態になって、目につくものを片っ端から捨てまくる癖があったのですよねー。

抗議をすると、さらにヒステリックにぎゃあぎゃあ怒られるので、もう諦めていましたが、勝手に捨てられたのは、かなりショックでした。

「お気に入りの本やったのに、題名も忘れてたんかいっ」っおっしゃる方々、確かにそうなんですが、その時のショックが大きかったとお考えください。

と、いうわけで、『びりっかすの子ねこ』と私の縁はそこでぷっつり切れてしまったかに思われたのですが、なんと、なんと、ほっそいほっそい糸で繋がっていたことが、証明されました。

今回、読んでみて、いろんな記憶が蘇るとともに、この作品が、いかに素晴らしいかを実感しました。
ロングセラーになるのも納得です。

あと、日本語訳のリズムが素晴らしいのですよねー。

中村妙子さん、Wikipediaで調べました。

残念ながら、2024年に亡くなったそうですが、この夥しい翻訳書の数々よ!中村妙子さんの訳した本をもっと読みたいと思いました。注目です。

さて、50年ぶりに読み返した『びりっかすの子ねこ』の内容ですが、「いぬやさん」の納屋の奥の箱の中で生まれた、7匹きょうだいの末っ子の「びりっかすの子ねこ」が冒険をする話です。

親きょうだいとはぐれて、一晩中、七件の家と七つの庭を旅する子猫。その物語を思い出しつつ辿るうちに、自分の幼い頃を思い出しました。

私の家は、商売をしていて忙しかったので、私は、幼い頃、もっぱら近くに住んでいた母方の祖母の家で可愛がられて過ごしていました。しかし、6歳になる頃に祖母が入院してしまい、家も引っ越してあまり祖母と会えなくなり、知らない土地で小学校に入学し、弟も生まれて環境ががらっと変わって、忙しい両親に毎日怒られまくって、今思えば、幼いなりにストレスを抱えていたと思います。

びりっかすの子猫が、七件の家で、いろんな人や犬や猫に出会って、冷たくされたり、脅かされたり、いじられたりする姿が、人生を恐る恐る始めたばかりの小さかった自分と重なりました。

本当に素敵な本です。おすすめです。

本、そのものも名作で、素晴らしいのですが、長年、思い出せそうで、思い出せなかった本の題名がわかったのは、とっても嬉しかったです。胸のつかえが一つ取れました。


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