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夜中の新宿銭湯へ、、

先日、新宿の方に予定があり、せっかく新宿にいるなら、どこか銭湯に行きたいと思い、前から気になっていた「万年湯」に行ってみることにした。

万年湯という名前は、これまで何度も見たことがあった。調べたこともあるし、行きたいなと思ったことも何度かあった。でも、なぜかタイミングが合わず、今まで行けていなかった。だから今回、ようやく行けることになった時点で少し嬉しかった。


夜の万年湯


新宿の街を歩いていると、やっぱり金曜の夜ということもあって、街全体がかなりわちゃわちゃしていた。正直、前より治安が悪くなっているんじゃないかと思うくらいだった。道路に座り込んでいる人たちがいたり、ホテル街の近くにはそれっぽい車が並んでいたり、変わってる外国人(差別ではない)がたくさんいたり、街全体がかなりぐちゃぐちゃしていた。

新大久保の方も、独特のキラキラ感と混沌があった。若者がたくさんいて、韓国料理屋の前に人がたむろしていて、男と女がマッチングする居酒屋などがあり、街全体がすごく生々しかった。

そんな街を歩いていて、ふと右に曲がった。

すると、急に空気が変わった。

新宿のうるささやキラキラした感じから少し外れて、細い道の奥に向かっていく。その道が、なんというか、別の空間につながっているように感じた。現実の新宿から、少しだけ違う世界に入っていくような感覚だった。

その奥に、万年湯が現れた。

本当に「現れた」という感じだった。

わあ、こんなところにあるのか、と思った。まさに異空間だった。新宿の街を歩いていたはずなのに、急に田舎にある昔の古い居酒屋みたいな、木でできた家のような、どこか昔話に出てきそうな雰囲気の建物が出てくる。周りに竹林があって、細い道を進んでいった先に、狸がいそうな居酒屋がぽつんと出てくるような感じ。もちろん実際に竹林があるわけではないのだけれど、自分の中ではそれくらい雰囲気が切り替わった。

新宿のホテル街や新大久保のざわざわした空気の後に、温かみがある銭湯がボンと出てくる。そのギャップがすごかった。

勝手なイメージです



似た感覚を持ったことがあるのは、上野の寿湯(京都銭湯巡りの後。京都銭湯修行はまた後日書く)に行った時だった。寿湯も、こんなビル街の中に銭湯があるんだ、という驚きがあった。

寿湯(基本的に僕は夜銭湯に行く)

でも、さらに万年湯それがあった。新宿という街があまりにも強いからこそ、その中にある銭湯の存在が際立っていた。

僕はもともと、リニューアルされた銭湯に対して少し苦手意識があった。新しく綺麗に作られた銭湯は、どうしてもアットホーム感やほっとする感じが薄い。昔ながらの一般公衆浴場にある、温かい感じ。そういうものは、リニューアルによって失われてしまうことが多い。

だから万年湯にも、正直そこまで「ほっとする銭湯らしさ」は期待していなかった。

でも、入ってみると意外と違った。

たしかに綺麗に作られている。かなり丁寧に設計されている。でも、冷たくない。おしゃれすぎて緊張する感じでもない。ちゃんとアットホームで、ほっとするような空気があった。

浴室に入って驚いたのは、外国人のお客さんがかなり多かったことだ。新宿という場所柄もあるのだと思う。日本人の地元客だけではなく、いろいろな国の人が混ざっていた。中には、だるまやこけしのような日本っぽいモチーフのタトゥーを入れている人もいたし、「100%元気」みたいな、意味がわかるようでわからない日本語のタトゥーを入れている人もいた。ちなみに都内で一番外国の方が多いらしい。もう潰れてしまったが前は上野にあった銭湯だったらしい。

特に印象に残ったのは水風呂だった。

水風呂は少し隔離されたような場所にあって、変な部屋みたいな空間になっていた。そこに入ると、上の方に水面の反射がゆらゆらと映っていた。水の波みたいな模様が、天井や壁にふわふわと揺れている。

最初は、なんでこんなふうになっているんだろうと思った。自然に反射しているのかと思って見上げてみると、ライトが下の水面に向けて照らされていた。その光が水に反射して、空間全体に揺らぎを作っていた。

これはかなり良い発見だった。

水の反射があるだけで、少し特別な場所になる。人工的なライトなので、自然光のような気持ちよさとは少し違う。サウナや水風呂を設計する時、光と水面の関係はかなり大事なのかもしれないと。

きらきら🤩


番台の方に話を聞くと、万年湯は今井健太郎さんが建築された銭湯で、比較的初期の作品らしい。今井健太郎さんのことは知っていたし、銭湯建築で有名な方だという認識もあった。でも、万年湯もそうだったのかとそこで改めて気づいた。

僕自身、今井健太郎さんの銭湯にたくさん行ったことがあるわけではない。だからこそ、実際に入ってみて「こういうふうに作るのか」と結構感動した。

例えば、浴室内のゴミ置き場や、物を置けるスペースも印象に残った。万年湯は、最初からちゃんと使う人の動きが考えられている感じがした。こういう細かいところに、設計の丁寧さが出ている。

最後に、番台の方が言っていた言葉が印象に残っている。

「10年経っても残る銭湯にしたい」

そんなようなことを話してくださった。

その言葉を聞いたあと、帰り道にまた新宿のわちゃわちゃしたホテル街の方へ戻っていった。行きの時と同じように、街は相変わらずぐちゃぐちゃしていた。車があり、人がいて、夜の店があり、若者がいて、外国人がいて、

その中を歩きながら、ふと気づいた「だから万年湯なのか」と。








一万年先

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