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【最終話】全国大会の舞台裏、トレーナーだけが感じた悔しさ

ウォーミングアップを変えて数カ月…
僕の出番はめっきり少なくなってきた

「先生!〇〇が怪我しなくなったんだ!」
…と親御さん
「見てみて!こんなに柔軟性上がったの!」
…とリーダーちゃん
「この前の試合、完勝だったの!次、全国をかけた決勝だから、絶対ぺぇさん来てね!」
…とキャプテン

子供達も親も皆んなが”変化”していた

親御さんの子供達を見る目が安心に変わる――
子供達の練習に対する意欲が変わる――
そして”勝てる”という自信に漲っていた――

こうなると外部のトレーナーの仕事は一気に減る

良い事、良い事(でもちょっと寂しい)

そして―――


「「「全国だー!!」」」

4年ぶりの全国出場を果たす
子供達は抱き合いながら泣いている
親御さんは温かい目で拍手を送っている

そして、僕は皆の輪の中にいた

「ぺぇさんありがとう」
「先生のおかげだ!」
「先生!今日は飲もう!!」
「ぺぇさんはエグチの方がいいですよね?」

初めて関わったチームスポーツ

全国に行ける素質があるチームに関われた事も要因としては大きいが…

全くもって僕の力ではない

僕は皆に”知識”を提供しただけ
その知識を”行動”に移せた子供達の方が遥かに凄い

そしてその子供達を徹底的にサポートする親御さんの影響はとても大きい

僕も感動して泣きそうになった

でも―

泣いてはいけない現実に気づいた

「(―――ここに監督がいない)」



辺りを見渡すと、監督は輪から外れ遠くを見ていた。
その目には、うれしさよりも悔しさがにじんでいた。

——ああ、このチームは俺が引っ張ってきたんじゃなかった。

僕はその瞬間、背中で悟った。

“このまま僕が前に出続ければ、監督の居場所はなくなる”
“僕がヒーローになってはいけない”

全国の舞台に立つのは、選手と監督。
僕はその舞台の裏方でいい。

僕は決断した

監督の下に駆け寄り
「ここからは、先生のチームです」

監督は一瞬、驚いた顔をしていた

「すまない…いや、ありがとう」

こうして、僕は現場から身を引いた。

それを見た生徒たちは驚いていた。

「え、先生来ないの?」と泣き出す子もいた。

その涙が、次のステージへの覚悟に変わるのを僕は信じている。

僕は笑って言った
「お前らはもう、自分の力でここまで来たんだよ」
「俺がいなくても、大丈夫。」

「!…ぺぇさんがくれた資料、ちゃんと見返すから!」
「ぺぇさん、全国の結果、報告するね!」

僕は皆を見渡して、伝えた

「全国、楽しんでこい!」



皆が全国出場に沸いたあの日、
僕の中では、もう一つの物語が静かに始まっていた。

僕のこの経験は、大きな“失敗”でもあり、大きな“糧”となった。

―――チームは誰のためにあるのか

もちろん、選手である子供達のため

でも、誰よりも子供達の事を考えているのは監督であり、顧問の先生である

僕はその時の流れとは言え、監督とのコミュニケーションを怠った

時に優しく、時に厳しく…

子供達のためには、チームのためには嫌われ者にならないと行けない立場…
誰よりも孤独なのは監督である

僕はこの経験が今のトレーナー活動で重要なポイントを占めている

トレーナーという立ち位置は選手と監督の橋渡しも兼ねている

チームの方針は監督が決める

トレーナーはその方針をどうすれば達成出来るかを考える

しかし、子供達の為にならないのであれば、監督とぶつかる事もあるし、徹底的にプレゼンして理解、納得してもらう事だってある

ただ、現場を見るのがトレーナーの仕事ではない

“勝てる”チームにするだけがトレーナーの仕事ではない

スポーツを通して様々な事に”負けない”様にするのが、学生に対するトレーナーの仕事だと思っている。

全ては子供達のために。


そして10年後──

あのマックに、キャプテンが戻ってくる。


【次回】番外編:「10年後のマック会議」

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