マリンバを学ぶなら弾いておくべき楽曲5つ!

こんにちは! 極寒の日があったかと思えば、急に暖冬のような陽気になったり……。気温の変化に振り回される今日このごろ、私は早くも「来たるべき花粉」にビクビクしています。


さて、今回のテーマは「マリンバを勉強する人が弾いておくべき曲」です!


……なんて少し大きなテーマを掲げましたが、実を言うと、マリンバで何をさらうかは「自由」です😎好きな曲を弾くのが一番ですし、習っている方は先生と相談して決めるのがいいです。


ですが💦、活動を続ける中で、意外とこうしたお悩みを聞く機会が多いことに気づきました。

「次にどの曲をさらえばいいか迷っている」

「マリンバ専攻生は普段どんな曲を練習しているの?」

「打楽器の先生がマリンバ専門ではなく、選曲のアドバイスがもらえない……」


自分の「好き」だけでなく、「もっと上手くなりたい、本気で学びたい!」という向上心、本当に素敵だなと感じました✨️


そこで今回は、マリンバを学ぶ上でここを押さえておくと「マリンバを勉強しました!」と言える曲を、私の独断と偏見で選んでみました。

重ねてになりますが、強制はいたしませんのであくまで1つの参考にしてください😊



💡 この記事はこんな方に向けて書きました

この記事は、100%マリンバ中心の生活は難しくても、限られた時間の中でポイントを押さえて学習したい方に向けています。

・部活や趣味だけど、真剣にマリンバと向き合いたい…

・先生に「何の曲でもいいよ」と言われ、逆に困っている…

・身近にマリンバの専門的な情報が少ない…

・やりたい曲をさらっているけど、このままでいいのか不安…

・太鼓やドラムが専門だけど、マリンバも並行して頑張りたい…


※ちなみに「プロのマリンバ奏者」を目指してバリバリ練習中の方は、この記事を読む必要はありません! プロを目指す過程では、何十、何百という曲をさらう中で自然と必要な要素を学んでいけるはずだからです(たとえ今回挙げる曲を通らなくても大丈夫!)。


あくまで「勉強したい!」という方の参考になれば幸いです!

「弾いておくべき曲」を選ぶにあたり、私なりにいくつかルールを決めました。

テクニックではなくて「マリンバという楽器が、歴史の中でどう音楽的に発展してきたか」というストーリーを感じられる曲を重視しています。




🚩 選考の4つのルール

音楽面を重視:テクニックではなく、音楽的な表現の幅を広げてくれる曲

マリンバ・オリジナル曲:編曲ものではなく、マリンバのために書かれた曲

1つのジャンルから1曲:似たスタイルの曲が重ならないよう厳選

難易度はできるだけ抑えめに:挑戦しやすい範囲で結果が得られるもの


⚠️ あらかじめご了承いただきたいこと

なるべく難易度は下げましたが、以下の2点はクリアしている前提での選曲となります。


中級程度のテクニック: 2本マレットはほぼ問題なく弾けて、4本マレットも数曲経験があるくらいのレベルが必要です。

楽器の音域について: 現代のマリンバ作品の特性上、5オクターブ必要な曲も入ってしまいましたが、対処法も少し考えました。


それでは、さっそく見ていきましょう!



ここからは、具体的に「おすすめの曲」を紹介していきます。 まずは、マリンバという楽器の歴史を語る上で欠かせない、この一曲から!





1. マリンバの産声を感じる一曲

Etude in C major Op.6, No.10 / C.O.マッサー

やはりこの曲を弾かないことには始まりません。 「マリンバ音楽の父」と呼ばれるクレア・オマー・マッサー(Clair Omar Musser)の作品、通称『ハ長調のエチュード』です。

マッサーさんは、現代のマリンバという楽器の誕生に深く関わり、演奏家・教育者としてマリンバの歴史を切り拓いた最初期の一人です。 かつては「マリンバ奏者=全員がマッサーさんの弟子」と言われた時代があったほど。マリンバを勉強するなら、絶対に押さえておきたい重要人物ですφ(..)

マッサーさんは自身の生徒のために多くのエチュードを書き残しましたが、その中で最も有名なのがこの「Op.6, No.10」です。

音域:4オクターブ(C#29〜C76)

ポイント: 指定のテンポ(インテンポ)で完璧に弾ききるのは、実は上級者でもかなり大変です。 まずは少しゆったりとしたテンポから取り組んでみてください。「ここからマリンバの歴史が始まったんだな」という息吹を感じながら、丁寧に音を紡いでみましょう!

続いては、私たちの国、日本が世界に誇る「レジェンド」の登場です。





2. 生きるレジェンドによる、マリンバの魂

桜の幻影 / 安倍圭子

日本を代表するマリンビスト、安倍圭子先生の作品です。


安倍先生は、現代の標準となっている5オクターブマリンバをヤマハと共に開発し、その芸術性を極限まで高めてきた、まさにマリンバ界を牽引するレジェンド。 マッサーさんが「マリンバの父」なら、安倍先生は「マリンバの母」と言えるでしょう。

演奏家として世界中を飛び回りながら、新しい曲を委嘱したり、自ら作曲し、後進を育て、楽器そのものを進化させてきた安倍先生。現在の豊かなマリンバ音楽の土壌があるのは、先生の功績によるものが非常に大きいです。

日本人としてマリンバを学ぶなら、安倍先生の作品に触れないわけにはいきません!本来なら何十曲とさらってほしいところですが……。


なぜ『桜の幻影』なのか

「ルールは1つのジャンルで1曲」ということで、頭を悩ませて選んだのがこの曲です。

初心者の方向けの定番曲には『プリズム』『雨蛙』などもありますが、安倍先生の作品特有のエッセンスと、かつ挑戦しやすい難易度で学ぶなら、この曲がベストだと考えました。

音域:5オクターブ(D18〜F69)が必要ですがA25までの楽器で弾ける代用譜も載せてくださっています。それでも1箇所A♭24が出てくる場面がありますが適宜移高してください。4octしかお持ちでない方は『雨蛙』をおすすめします。

ポイント: 安倍先生の初期〜中期の作品に通じるエッセンスがぎゅっと詰まっています♥️安倍先生の楽曲は、弾く人の心を映し出す鏡のようです。ぜひ挑戦してみてください。余裕がある方は、他の作品にもどんどん触れてみてくださいね!

注意:古い楽譜にはミスがあるので注意してください。



ここからは、マリンバの表現を広げた「作曲家による作品」を3曲ご紹介します。



楽器が真に成熟するためには、プレイヤーによる作品だけでなく、専門の作曲家によって「芸術性の高い作品」が書かれることが不可欠です。多くの先達たちがそれを願い、働きかけてきた歴史があります。


そんなマリンバの歴史を語る上で外せない、作曲家による名曲。まずは、この記念碑的な一曲から!




3. 世界初のマリンバ協奏曲

Concertino for Marimba / ポール・クレストン

1940年に初演された、ポール・クレストン(Paul Creston)作曲の『マリンバ小協奏曲(コンチェルティーノ)』です。 マリンバを単なる「珍しい打楽器」ではなく、独奏楽器(ソロ楽器)として扱った、世界初のマリンバ協奏曲として知られています。


もちろん、それ以前にもマッサーさんや日本のパイオニアである朝吹英一さんの作品は存在しましたが、作曲家に依頼して書かれた「芸術音楽として一定の規模を持つ曲」としては、この曲が最初だと言えます。


アメリカではこの曲の誕生をきっかけに、約20年間にわたりマリンバの曲が書かれる時代になります。 ※余談ですが、その後アメリカでのブームは一度沈静化し、マリンバが「一時の流行」で終わってしまう危機もありました😰次の大きな波は日本で起こるのですが、それはまた後ほどお話ししますね。


全三楽章からなり、ピアノ伴奏版(ピアノリダクション)が出版されています。因みに吹奏楽伴奏版もあります。


音域:4オクターブ(F33〜C76)

ポイント: 主に2本マレットのテクニックを駆使し、躍動感あふれるアメリカ音楽のスタイルを学べます。 第二楽章では、4本マレットによる美しいロール(トレモロ)が登場し、マリンバの歌心を養うのにも最適です。


マリンバがクラシック音楽の世界へ「はじめの一歩」を踏み出した時の高揚感を、ぜひこの曲から学んでみてください!



いよいよ終盤ですね!マリンバが「冬の時代」を乗り越え、いかにして現代の華やかなステージに辿り着いたのか。その歴史の転換点となった2曲をまとめました。





4. 邦人作曲家による「前衛」へのうねり

組曲『会話』 / 三善晃

アメリカでのブームが去り、マリンバが「冬の時代」を迎えていた頃。世界に先駆けてその芸術性を再燃させたのは日本でした。


「もっと芸術性の高い、マリンバのためのオリジナル作品を!」という熱い想いから、当時の若手奏者たち(安倍圭子石川静子田村拓男長谷川典子水野与旨久吉川雅夫といった、今では全員がレジェンドの方々!)が「東京マリンバグループ」を結成。新進気鋭の作曲家たちに曲を依頼しました。

その第1回演奏会で初演された記念すべき一曲が、日本を代表する作曲家・三善晃先生によるこの『会話』です。


この演奏会をきっかけに、日本では多くの委嘱作品が誕生しました。現在も世界中で演奏されている「邦人作品」という一つの大きなジャンルは、ここから始まったのです。


音域:3オクターブ(C40〜C76)

ポイント:全5楽章。2〜4本マレットを使い分けます。父親と子供との日常風景を描いた作品です。フランス、日本、前衛の勉強になります。

注意点:出版された版によって若干の変更点があるため、練習の際は注意して確認してみてください。





5. 日本からアメリカ、そして世界へ

Reflections on the Nature of Water / ジェイコブ・ドラックマン

(邦題:水の性質についての考察)


最後に選んだのは、ジェイコブ・ドラックマン(Jacob Druckman)の作品です。日本語訳はいくつかバリエーションがあるため、楽譜を探す際は英語名で検索することをおすすめします。


日本で起きたマリンバの芸術的ムーブメントは、レコードを通じて世界へ衝撃を与えました。「オーケストラの1楽器」や「ショーのための楽器」としか見ていなかった海外の奏者たちが、日本のシリアスな芸術作品に魅了されたのです。

最初に動いたのはアメリカです。リー・ハワード・スティーブンスゴードン・スタウトウィリアム・モンシュらが日本に倣って一流作曲家へ委嘱を始めます。その最初の合同コンサートで発表されたのがこの曲です。

この時代の作品はコンクールの定番ですが、超難曲ばかり。その中でもこの曲は、歴史的意義がありつつ、比較的チャレンジしやすい難易度ということで選曲しました。この後、世界中で作曲が広がり、現在のマリンバ界へと繋がっていくことになります。


音域:4.5オクターブ(F21〜B75)が必要ですが。4楽章以外はほぼA25で演奏可能です。それでも数回音域外が出てきますが、移高で対応出来ると思います。4楽章では下のFをオクターブ上げてもいいよと書いてありますので対応すればA25で全曲できます。

ポイント:全6楽章。「水」を様々な角度から表現しています。ドビュッシーの「映像」に強い影響を受けているとされていて、印象派のなごり+アメリカ新ロマン主義の音楽を学べます。

注意点:楽譜に一部ミス(誤植)があることで知られています。音に違和感がある時は、ぜひ音源などと照らし合わせてみてください。




おわりに:時代を彩った5つの名曲たち

ついつい熱が入って長くなってしまいましたが、今回ご紹介した5曲をまとめます✏️

・Etude in C major(マッサー)

・桜の幻影(安倍圭子)

・Concertino for Marimba(クレストン)

・組曲『会話』(三善晃)

・Reflections on the Nature of Water(ドラックマン)

もちろん、マリンバに詳しい方なら「この曲が無いなんて!」って曲もたくさんあると思います。私も泣く泣く削った曲が沢山あります😭それでもとっつきやすいよう極限まで削ったつもりです。そしてあくまで個人の1意見としてください。

テクニックを磨くだけでなく、その曲がどんな背景で生まれたのかを知ると、音楽はもっと深くなります。この記事が、皆さんの演奏をより豊かにするヒントになれば嬉しいです😃


それでは、皆様よいマリンバライフを!


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