SAKASANANOレビュー:傘生地を張り替えられる逆さ傘は”買い”なのか

コスパ寄りの機能傘を展開する傘ブランドWaterfrontのフラッグシップモデルSAKASANANOをレビューします。

15、6年前の話ですが、私は1万円台の超撥水傘を持っていました。東レの撥水生地とブドウの木のハンドルを使った傘で、うろ覚えですが、小宮商店のミラトーレだったでしょうか。心斎橋みや竹のネット通販で買ったものです。

厚手の布地が、ぼんぼんと雨粒をはじく感覚がとても心地よかった。悲しいことに、盗まれてしまったのですが。

ところで、超撥水傘の撥水性は永久に続くわけではありません。当時持っていた傘も、時間とともに撥水性が落ちていくのが感じられました。また、強い雨の中では縫い目に水がしみ込むなどの憂き目にも遭いました。

結局、傘というものは消耗品なのだなと身に染みたので、それ以降は3000円程度の傘にシフトしていました。ところが最近、使っていた傘の骨がぽきっと折れてしまったので、新しく買い替えることに。

そんなときに目に留まったのが、WaterfrontSAKASANANOです。税込14,700円。Waterfrontとしてはかなり強気の価格設定の、逆さ開きの傘です。

なんだか久しぶりに、傘への物欲が刺激されてしまったのですね。

この傘の最大の特徴は、張り替え用の生地が別売りされていて、自分で張り替えられることです。つまり、傘生地は消耗品である、という前提に立った製品ということです。

これは画期的だと思ったので、ついポチってしまいました。以下、2週間ほど使ってみた感想です。

構造

まずはじめに、縫い目はありました

いや、何の話かというとですね、先ほど書いたように、傘生地の縫い目には雨がしみ込んでくるのです。SAKASANANOは二重生地なのですが、これを自分で傘骨に取り付けられる特殊構造にしているということは、もしかすると表地に縫い目が来ないように工夫している可能性もあるな、と勝手に期待していました。

残念ながら、縫い目はありました。

写真1 表地と縫い目

その2。空気穴がありました

傘の裏地、つまり畳んだときに外側に来る面に、空気穴が開いています。この傘は、開いたときに表地と裏地の間に空間ができます。そのため、普通の傘と比べると天井が低いといいますか、少し圧迫感があります。

空気穴は、その空間を作るために必要なのでしょう。あとは、万一雨が縫い目からしみ込んだときの、湿気の逃げ道としても重要なのだと思います。

まあ、見栄えは少し微妙ですが。

写真2 裏地の空気穴

撥水性

撥水性は非常に良いです。

ただし、水を一切寄せ付けない、ということではないのでご注意ください。布地が薄手なので、雨粒をぼんぼんはじく感覚が味わえなかったのは少し残念でした。最近は軽い傘が流行だそうですし、逆さ傘の場合は布地が二重になるので、なおさら薄さが要求されるのでしょう。

撥水性についてもう少し細かく説明します。

傘を1、2回振ってやれば、ほとんどの水は落ちます。その後、傘を開いて観察すると、表面に濡れはないのですが、0.5mm以下の細かい水の粒が残ります。特に縫い目の部分には水が残りやすいです。エアコンの効いた部屋の中で開いて放置すると、20分ほどで完全に乾きました。

ただ、最近の傘は「超撥水」を売りにしたものが普通にあります。その中で、SAKASANANOが飛び抜けた撥水性を持っているかというと、そこは少し疑問です。

実は同じ時期に、同じくWaterfrontの「富山サンダー20本骨」も買っているのですが、それと比較したとき、撥水性は体感ではあまり変わりませんでした。

公式サイトの商品紹介を見ても、この製品は必ずしも撥水性の強さだけを売りにしているわけではありません。むしろ、PFASフリーであることと、撥水性の持続性を訴求しているように見えます。

持続性については、実際に2、3年使ってみないとわからない部分です。

使い勝手

雨の日にバスに乗るときのストレスは、かなり軽減されます。

逆さ開きの傘なので、乗るときは差した状態からワンタッチで閉じられ、スムーズに乗れます。降りるときはワンタッチでは開かないので、そこは少し面倒かもしれません。

車内では大変快適です。周りのものを濡らさないからです。また、自立して立つので、持ちっぱなしにする必要もありません。

ただし、バスが混んでいるときは少し考える必要があるかもしれません。この傘、閉じた状態ではかなり嵩張ります。首尾よく座れれば、足の間に置けるのですが。

傘を畳んでまとめるときに使う傘紐の部分は、マジックテープになっています。個人的にはボタンのほうが好みです。マジックテープは、劣化すると留まらなくなるからです。

とはいえ、傘生地は消耗品であるという前提に立つと、マジックテープが劣化したら傘生地ごと交換してください、ということなのかもしれません。

マジックテープ自体は強力です。

また、傘を開いたときに傘紐は垂れ下がりますが、実は裏地に沿わせて、すっきりとマジックテープで留められるようになっています。これは便利です。

写真3 裏地の傘紐は傘を開いた状態でも邪魔にならないようにマジックテープで留めておける。

評価

現時点では、評価不能です。

ここまで読んでもらったのに結論が出ないのは申し訳ない。ただ、この傘の短期で評価できる部分は、別に普通の逆さ傘でも実現できることなのです。そこだけを見ると、この価格は高すぎるだろう、という話になります。超撥水の逆さ傘自体は、3000円程度でも手に入ります。

SAKASANANOの真価は、長期の使用体験と、傘生地の交換体験に依存しています。そこは、買って2週間では評価しようがありません。

ということで、現時点では積極的におすすめするものではありません。ただし、撥水性にこだわりを持つ新し物好きの人なら買ってみてもいいんじゃなかろうか、という評価です。

ちなみに、この傘の値段を分解すると、東レのNanoDesignを使ったPFASフリーの長寿命超撥水生地が7,700円。自分で傘生地の張り替えを可能にする特殊構造の骨組みが7,000円、ということになります。

品質面から見た短期評価の価格は、個人的には5,000円といったところでしょうか。そこに、NanoDesignによる長寿命超撥水への期待でプラス5,000円。さらに、張り替え体験への将来期待でプラス5,000円。

そう考えれば、まあ納得できる価格と言えるかもしれません。

最後に、妄想を一つ。

Waterfrontは、傘生地のアップグレードを匂わせています。アップグレードするなら、もっと尖ったデザインの生地も展開されるといいですね。

日本の紳士傘のデザインは、古臭いものが多い。女性用はまだ多様性があるものの、それでもやはり画一的に感じます。個人的には、北欧デザイン傘のような意匠が好きです。

超撥水生地に模様を入れるのは難しいのかもしれません。けれど、それならせめて裏地だけでも、気の利いたものにしてほしいところです。

SAKASANANOの今後の展開に期待します。


いいなと思ったら応援しよう!