行方しれず 第十一話 ドーマ②
泣き声で目が覚めた
鼻を啜り上げて小さな声で何か言っている
「ドーマ、大丈夫」
母は階段を降りてドーマが寝ている部屋に行った。
ドアは大きく開いている。
「ドーマ?」
部屋の電気をつけると、ドーマはいなかった。
「ドーマ?どこ?」
母はトイレや玄関を見にいったが、いなかった。部屋の窓は鍵がかかっている。玄関も鍵がかかっていた。
家中の電気をつけて探した。クローゼットの中、パントリーの中。
玄関にはドーマの靴がある。ドアを開けて外に出た。真っ暗で静かだった。人も車も通っていない。
ドーマのいくあては思いつかなかった。
部屋に戻り、何かいつもと違うところはないか見た。
幼稚園リュックの中にはくしゃくしゃの絵が七枚入っていた。
そのうちの一枚に違和感があった。
母はすぐに警察に電話した。
10分もしないうちにパトカーが到着した。
母は玄関にぐったりと座り込んでいた。
警官の質問に答えられる状態ではない。
やっとのことで渡してきた絵を見ると、緊張が走った。
翌日の夕刊にはドーマの行方不明の記事が載っていた。
幼稚園ママたちの書き込みを見ると、ドーマに関する書き込みが消えていた。
手を返したように、慶子たちが見舞いにやってきた。
ドーマの陰口を言っていた5人が、人を慰めたり、人の子を褒める常套句を並べ立てて、さも心配そうな顔をしていた。だが、母には何も響かなかった。
母は、夫、つまり、ドーマの父に電話した。
彼はドーマが生まれてすぐに蒸発した。ドーマともう1人の娘、ドーマと双子の女の子を連れて、母が退院した日に消えた。
その時持っていた携帯電話の番号に電話した。
蒸発した時、散々かけたが繋がらず、解約されたので、彼が出るはずはなかった。案の定、繋がらなかった。
娘の名前すら決まっていなかった。彼と結婚した時に、男の子だったらどうまにしたいと言っていたのを覚えていたから双子の男の子はドーマにした。そうすればいつか父と子が再会できるような気がしていた。
今は、ドーマのためになんとしてでも会わなければと焦りを感じていた。
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