Photo by
micah0124
行方しれず 第三話 佐竹雄也の母・みさ 父・真守
「息子さんが姿を消した日のことを聞かせてもらえますか?」
「はい、いつものように幼稚園に行って、帰ってきてから3時まで公園で遊んでいました。それからスーパーに買い物に行って、」
母親が声を詰まらせた。
「お菓子を買ってとせがまれたんです。でも、虫歯になるからダメって言って買ってあげなかったんです。お菓子ぐらい買ってあげればよかった」
母親が目頭にハンカチを押し当てた。
「ごめんなさい。スーパーから帰ってきて、あの子、絵を描くのが好きですから、戦隊ヒーローの絵を描いてたんです。それから、そのフィギュアを戦わせて遊んでたのが、私がみた最後です」
母親は背を丸めて嗚咽を漏らしながら泣いた。
「これ、なんですか?」
検察官が手袋をはめた手で指差したのは、壁に貼られた絵だった。
「さあ、あの子が書いたのかしら。こんなの見るの、私は初めてです」
「みさ、遅くなってごめん。大丈夫か」
夫の佐竹真守が出張先のシンガポールから帰ってきた。
母親はその場で泣き崩れ、真守が支えた。
検察官は壁の絵をカメラで撮影し、透明のビニール袋に入れた。
絵は赤一色で描かれた直線と曲線が入り混じったフォークのような模様だった。
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければサポートお願いします。いただいたサポートは創作活動に使わせていただきます。