行方しれず 第二十四話 ドーマ⑥
「夜分にすみません。警察です」
母親がドアを開けた。
「ドーマ、ドーマなの?」
俯いていた男の子が顔を上げた。
「お母さん、ただいま」
ドーマが無言で母に抱きついた。
「おかえり、ドーマ」
「お巡りさんが帰り道を教えてくれたよ」
「ありがどうございます。本当になんとお礼を言ったらいいのか」
「いいえ、ドーマくんのおかげです。申し遅れました、私、長山警察署の河原と申します」
「河原さんって、もしかして」
「はい、私も行方不明になったんですが、ドーマくんが絵の暗号を解いてくれたので帰れました。他の11人も一緒に。念の為、明日、病院で検査をして異常がなければ帰れますので、明日迎えに参ります」
ドーマの服は泥で汚れていた。
「トンネルを通ったんだ。細くて長いトンネル」
「どこに出たの?」
「公園のマンホールだよ」
ドーマの話は断片的だったが、要するにこうだ。
行方不明になった12人はみんな向こうの世界の都立長山公園についた。そして、近くの交番を訪れて、念の為、病院で検査を受けた。脳の検査や血液検査だった。全員一箇所に集められ、これからどうしたら戻れるのか思案していた。
12人目が行方不明になってからドーマは絵を12枚繋ぎ合わせたものをジュリから感じ取って、公園に絵を描いた。すると、女が1人現れて、頭に電気のようなものが一瞬走って、気がついたら真っ暗なトンネルにいた。河原警官が指揮をとり、みんなで這いつくばりながら進むと、ハシゴが見えた。順番にのぼり、円形の蓋を開けると公園に出た。外はもう暗くて、空には細い月がかかっていた。
ドーマは新しい服に着替え、母の作ったハンバーグを美味しそうに食べた。風呂に入り、ふかふかのベッドで寝た。母はドーマがいつもよりよく喋ることに少し驚いた。すごい体験をしたのだからそんなこともあるだろう、と思った。
母は夫にメールした。
「ドーマが帰ってきた。よかった」
「本当か?!よかった、本当によかった。今度、ジュリと4人で会いたい。君も今日は疲れただろうからゆっくりおやすみ」
こうして一連の行方不明事件は終結したように思えた。
翌日、病院から帰る時にドーマは話し出した。
「僕たちは向こうの世界に脳の一部を置いてきたんだよ。だから、本当は母さんのことも何も覚えていないんだ。」
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