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コナンほぼ初見が感じた『100万ドルの五稜星』と「五稜郭」が繋ぐ、日本の記憶と現在

【名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)】24年:日:111分
監督:永岡智佳 原作:青山剛昌

描くの大変そう。何日かかるの

皆さんは『名探偵コナン』好きですか?
老若男女に長年愛される、言わずと知れた人気作品ですね。

『名探偵コナン』は、青山剛昌による日本の推理漫画、およびそれを原作とした一連のメディアミックス作品の総称。1994年刊行開始。

出典:wikipedia

私はというと、もちろん『名探偵コナン』を認知してはいるものの、特に好きでも嫌いでもない・・・というか、興味がありませんでした。
コナンに限らず漫画自体最近はあまり読みませんし、TV版コナンも子供のころに見た記憶がある程度。
コナン周辺の昔からいる主要人物はなんとなく理解しているけれど、関係性や深い部分については一切知らないという、大多数の日本人が『サザエさん』に抱いている印象とほとんど同じだ。

そんな私が最近、コナンシリーズが大好きな知人にオススメされたのが今回紹介する【名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)】だ。

コナンの映画は小学生の頃に友達と映画館に見に行ったことがあるが、内容も覚えていない。

劇場版『名探偵コナン』シリーズは27作目にしてほぼ初体験。
正直に言えば、「長く続くシリーズものに今さら乗れるのか?」という不安があった。
しかし、今回の舞台が北海道は函館・五稜郭だと知り、私が現在住んでいるのが北海道ということもあり視聴を決めた。

有名な観光スポットである五稜郭が、あのコナンの物語とどう絡むのか?
そんな興味本位が、結果として、とても豊かな映画体験に繋がった。

まじっく快斗は中学生のころ友達の家で読んだよ

あらすじ

北海道・函館にある斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッドからの予告状が届いた。今回キッドが狙うのは、幕末を生きた新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀だという。ビッグジュエルを追い求めるキッドが、なぜ刀を狙うのか…? 一方、西の名探偵・服部平次とコナン達も、函館で開催される剣道大会の為に現地を訪れており、犯行予告当日、平次がキッドの変装を見事見破り追い詰めるが…!? 時を同じくして、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が函館倉庫街で見つかる。捜査線上に浮かび上がったのは、“死の商人”と呼ばれ、アジア一帯で武器商人として活動する日系アメリカ人の男。彼は戦時中の軍需産業に深く関わっていた斧江家初代当主が函館のどこかに隠したとされるお宝を探していた。それは、当時、日本の敗色濃厚だった戦況を一変させるほどの強力な兵器だという噂も…。 そして、そのお宝とキッドが狙う刀はどうやら関係があるようで、刀を狙うキッドに対し、謎の“剣士”の影が迫り… 刀に秘した“真実”が、闇夜を切り裂き、いま月下へと導かれる— 天下分け目のお宝争奪バトルミステリー、ここに開幕—!

出典:Filmarks

視聴して

本作を視聴して、まず気になったのは自身が『五稜郭』について一切と言っていいほど何も知らないことだ。
史跡であることはわかるが、それ以外何も知らない。
そこで、自身で少し調べてみた。

五稜郭とは何か? 近代日本の夜明けを告げた『星型の砦』

五稜郭ってでかくね?

函館・五稜郭。北海道観光の名所として知られるこの場所には、美しいだけではない、重たい歴史が眠っている。

五稜郭は、江戸幕府が蝦夷地(現在の北海道)支配の拠点として築いた西洋式の要塞。
完成は1866年。最大の特徴は、まるで星のように五つの角を持つその形状。防御に優れた「稜堡式(りょうほしき)城郭」は、フランスの築城術を参考にして設計されており、日本でこの形式が採用されたのは非常に珍しい。

そしてこの場所は、幕末の最終決戦「箱館戦争」の舞台にもなった。
(函館の漢字表記は、明治2年(1869年)に「箱館」から「函館」に改められました。これは蝦夷地が北海道となり、開拓使の長官に着任した東久世通禧が「箱」の字を気に入らず「函」に改めたという説があります。とのこと)
新政府軍に敗れ、追い詰められた旧幕府軍が最後の砦としたのが、この五稜郭。土方歳三をはじめとする志士たちが命を散らした地であり、“武士の時代”の終焉を象徴する地でもある。

歴史の残響と、現代のアニメキャラクターたち

この映画は、五稜郭にまつわる“失われた刀”という架空の伝説を軸に、怪盗キッドと服部平次という人気キャラクターたちが対決する物語になっている。

興味深いのは、刀というテーマに「土方歳三の魂」や「旧幕府軍のロマン」といった実在の歴史の影がうっすら重なるところ。
もちろん史実ではない。(はず)
だが、それを全くの作り話と切り捨てられない“重み”が、五稜郭というロケーションによって映画に宿っているのだ。

函館の街や港、坂道、教会群といった風景もしっかり映し込まれていて、観光映画としても非常に質が高い。(北海道在住の私はまだ函館行ったことありませんが・・・)
幕末の面影が今なお残る町並みを、超人的なジャンプで飛び越える怪盗キッド――このギャップに不思議と説得力があるのは、背景にある歴史の厚みのおかげかもしれない。

コナンを知らなくても、“今”の日本と出会える

割れたガラスに近づくのは危ないからやめようね

私はコナンに詳しくない。キャラクターの関係性も、シリーズで積み重ねてきた伏線も、ほとんどわからないまま視聴した。
それでも、楽しめた。
いや、むしろ“初見だからこそ”楽しめた部分もあるかもしれない。

キッドというキャラクターも、白タキシードの子供が窃盗して空を飛ぶなんて、現実味がまったくないはずなのに、なぜか違和感がない。
流石に上空を飛行するプロペラ機の上でチャンバラを始めたときは驚いたが、彼らが持つ“現代のフィクションとしての強度”と、“歴史というリアル”が、五稜郭という装置のなかで交差していた。

物語は宝探しや推理劇としても見応えがあり、テンポも良い。
だが、それ以上に印象に残ったのは「舞台が持つ記憶」と、そのうえに立つキャラクターたちのエネルギーだった。

過去を知ることで、今がもっと面白くなる

『100万ドルの五稜星』を視聴後、私は函館の歴史を検索していた。
五稜郭とは?土方歳三、榎本武揚、箱館戦争。
いままでフィクションに限りなく近かった「教科書でしか見たことのなかった名前たち」が、急に“生きた人間”として感じられるようになった。
そう、フィクションを通して歴史に向き合う経験ができたのだ。

これは、もしかしたらアニメの最も理想的な形なのかもしれない。娯楽でありながら、何かを調べたくさせる。知る喜びと繋がっている。
フィクションをより楽しむためには、現実を知る必要がある。

コナンを知らなくても、歴史を少し知っている人なら、この映画の重層的な魅力に気づけると思う。
そして逆に、コナンしか知らない人が、この映画をきっかけに日本史へ目を向けることもあるかもしれない。

その交差点として、この『100万ドルの五稜星』は、とても豊かな一本だった。


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