収納のプロが、あえて「一番上の棚」を空っぽにした理由。行動力を奪うNG収納習慣。
「本当はやりたいことがあるのに、なんだか億劫で手につかない」
「休みの日にやろうと思っていたのに、結局先延ばしにしてしまった」
そんなふうに、自分の「意志の弱さ」を責めてしまうことはありませんか?
でも実はそれ、あなたの意志が弱いからではなく、住まいの「空間の仕組み」があなたの行動を無意識に邪魔しているからかもしれません。
今回は、住まい方や整理収納のプロである私自身が、ここ半年間ずっと陥っていた「空間の罠」と、それを解決するための「環境の構造改革」についてお話しします。
好きだったはずの時間が、面倒に変わった理由
私には、週に1回から隔週のペースで楽しんでいる習慣があります。
それは、チョコチップケーキやマフィンを焼くこと。
ただここ半年ほど、その「好きなお菓子作り」に取り掛かる際、心の中にわずかな「モヤモヤ」と「面倒くささ」を感じるようになっていました。
原因は明確で、チョコチップケーキの型を、キッチンの吊り戸棚の「一番上の棚」に収納していたからです。
身長156cmの私にとって、一番上の棚は背伸びをしても届かない場所です。

型を取り出すためには、少し離れた別の部屋からわざわざ「踏み台」を持ってこなければなりません。
踏み台を取りに行き、登り、型を取り出し、また踏み台を戻す。
この「余計なワンアクション」が間に入るだけで、人間の脳は驚くほど「めんどくさい」と判断し、行動のハードルを跳ね上げてしまうのです。
「収納する位置を変えれば解決する」と頭では分かっていました。
ただ、「週に1回程度の頻度だし、まあいいか」と、ちょっとした不便から目を背け、改善を先延ばしにしてしまっていたのです。
プロである私でさえ、環境が整っていないと行動が億劫になってしまう。
人の意志の力がいかに環境に左右されやすいかということを、身をもって痛感した半年間でした。
収納のセオリー:「レッドゾーン」には何も置かない
やりたいことへのアクションが増え、足取りが重くなるのは、人生の時間の使い方としてやはりもったいない。
ようやく収納の仕組みを根本から見直すことにしました。
ここで立ち返ったのが、整理収納の大前提となるセオリーです。
空間には、目線から腰の高さを中心とした「最も使いやすいゴールデンゾーン」と、脚立などを使わないと手が届かない「使いにくいレッドゾーン」があります。
私のような小柄な人間にとって、吊り戸棚の一番上は完全なる「レッドゾーン」。
整理収納のセオリーとして、ここは「使用しないが大正解」の場所なのです。
以前は、この上の空間になんとか物を収めようとしていました。
しかし今回の見直しで、ほとんど使っていないアイテムは別の場所へ移動させ、一番手前の下段(ゴールデンゾーン)に、よく使うチョコチップケーキの型やハンドミキサーを配置しました。
そして、レッドゾーンである一番上の棚は、思い切って「何も入れない」という決断を下しました。

「何もない」がもたらす、行動力と心の凪
一番上の棚を空っぽにした結果、どうなったか。
一番の変化は、思い立った瞬間に即座に行動できるようになったことです。 踏み台を取りに行くという物理的なワンクッションが消滅したことで、「ケーキを焼こう!」と思った1秒後には、目の前の型を手に取れるようになりました。
行動への摩擦がゼロになったことで、好きだったお菓子作りの時間が、以前よりもずっと軽やかで楽しいものに戻りました。
さらに思いがけない効果もありました。
一番上に「何もない空間(余白)」が生まれたことで、扉を開けた瞬間の視覚的なノイズが減り、心までスッキリと整う感覚が得られたのです。
空間に「凪」が生まれた瞬間でした。

意志の力に頼らず、環境の仕組みを変える
「なんだか動けない」「面倒くさい」と感じたとき、私たちはつい「自分のやる気が出ないからだ」と自分を責めてしまいがちです。
ただ、問題の根本は「意志」ではなく、「環境」にあることがほとんどです。
ちょっとした「ワンクッション」をなくし、行動をシンプルにすること。
空間の構造を変えるだけで、私たちの行動力は驚くほど蘇ります。
皆さんの住まいにも、「たまにしか使わないから」と不便を放置し、結果的に自分の行動にブレーキをかけてしまっている場所はありませんか?
もし心当たりがあれば、思い切って「行動を邪魔しない仕組み」へと再設計してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
このnoteでは、意志の力に頼らず、空間と環境を整えることで心地よく暮らすための「住まいの構造改革」について発信しています。
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