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「   」についての手記【秋ピリカグランプリ2024】


温かいような冷たいような「何か」に、頬を撫でられた。その感覚にはっと意識を覚ますと、私は見知らぬ場所に立っていた。
路地裏のような、薄暗く辛気臭いシャッター街のような場所。あたりを見渡すと店と思われるたくさんの古びた建物がある。埃がたまって曇った窓硝子。建物は電気が消えていて、外からでは暗くて中を見ることができない。
人の気配はまるで感じられず、あたりは静けさが満ちている。何年も、もしかしたら何百年と世間から忘れられて、時間が止まってしまったかのような場所。
空気も甘ったるくて、なんだかぬるい。夏の空気ほど重くないが、秋の軽やかな空気でもない。じわりとにじみ出た生暖かい汗が、背中を伝う。
見上げれば提灯どもが規則正しく列をなしており、頭上だけを赤々と照らしている。その明るさが、シャッター街の暗さを余計に強調していた。
少し見ただけでもわかるようにおかしな場所だ。なかでも、何より異様だと感じたのはそこにある文字だ。
店の看板や貼られているチラシやポスターの文字が全て中国語みたいな…いや、中国語とも違うな。文字が反転されていたり、逆さになっていたり、漢字同士、平仮名同士が無理やり組み合わされたような…。読めそうで読めないものなのだ。
静寂と、空気の違い。読めない文字、知らない場所。違和感だらけの場所。だけどなぜだろう、不思議と恐怖は感じない。それどころか、むしろ。
「誰かいませんか」と不意に発した声には反応は無かったが、おおかた予想通りといったところだ。焦るどころか「こういうときって、本当にこう言っちゃうんだなあ」なんて思って、ふふ、と笑みがこぼれた。
そのままシャッター街の奥へ歩を進めると、どこからか私の名前を呼ぶ声が聞こえた、気がした。
声がしたであろう方へ目を見遣る。
するとそこには黒々とした墨で「■■■」と読める文字で書かれている大きな半紙のようなものがあった。
「■■■……」と声に出した瞬間、目の前の半紙から無数の手が出てきて、私に迫ってき

以上が、20■■年■月■日に行方不明になった女性の手記である。
手記は彼女の部屋から発見されたが、なぜそこにあったのか詳細は不明。
彼女が見たものが何であるかも不明。
この行方不明事件の真相は、いまだ謎に包まれたままである。

※黒塗りで一部修正あり。

(946字)

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★あとがき的な
本作は【秋ピリカグランプリ2024】の応募作品です。

普段書かないような感じで書いてみたっ……!何事も挑戦だ、、
こういうコンテストちょっと参加してみたかったからドキドキ。
みなさんの作品見てビビリ散らかしてるけど……笑
一応募集要項の趣旨には添っている、はず?
まー駄目なら駄目でそれでもヨシ!
自分の作品が世にまたひとつ増えたのは、まぎれもなく良いことなのでね!
どうぞよろしくお願いいたします!

#秋ピリカ応募

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