長男はあの日、初めての嬉し涙を流した
これは数年前、長男が年長さんの冬のお話。
今はやめてしまったけれど、長男は体操教室に通っていた。初めの頃こそ緊張からか、おとなしくやっていたが、数ヶ月もするといつものお調子ものが大爆発。
それでもコーチは暖かく見守ってくれて、周りにお友達もでき、楽しくやっていた。
この体操教室では、半年に一度、進級チェックという名の教室内での発表会みたいなものがある。
人一倍苦手意識の強い長男にとっては、なかなかの大舞台だ。
通い始めて2回目の進級チェックに向けての練習が始まった。
長男は後転がチェック項目だったのだが、なかなかうまくできない。
何度もコーチにアドバイスされるが、フニャフニャしてごまかし続けていた。
母もどうしたものかと、教室の外から見守っていたのだが、進級チェック目前のお教室の日。
長男はとうとう、コーチに本気で怒られる。
しかも、普段は控え室から様子を見ていて、必要な時以外は出てこない、その体操教室の代表の方から直々に。なかなか貫禄がある方で、長男はさすがに泣いた。
帰りにその代表から「のびしろがあるので少し厳しく注意しています」とフォローされる。
母も見ていた。
これは愛のあるカツだ。
帰りに長男を連れて駄菓子を買い、帰り道の鯉のいる池の隣にあるベンチに座って話をした。
長男「めっちゃ怖かった…」
母「でもなんで怒られたかはわかるよね?」
長男「うん」
母「進級チェックにとてもドキドキする気持ちはわかる。うまくできないのをごまかしてるのもわかる。でも、頑張ってないのも見ていてすごくわかる。それは見ていてもとてもカッコ悪い」
長男「…」
母「やれるところ見せてやろう。一緒にがんばろ」
そしてその夜から、リビングにマットを敷き、マットの周りには長男のお気に入りのぬいぐるみたちを並べた。
そしてぬいぐるみがしゃべる!
ぬいぐるみ🧸「長男くん、ボクに後転を見せてよ!」
長男「いいよ、こうやるんだよ」
ぬいぐるみ🐰「すごい!私もやってみる!」
長男「違う違う、手はこう!」
こんな感じで、進級チェックの日まで毎夜トレーニングが始まった。
ぬいぐるみたちは本当に偉大である。
ぬいぐるみはしゃべっているが、しゃべっているのは母だ。
それでも、長男は愚直に回り方のコツを教え、うまく回れると褒める。
そう、彼(ぬいぐるみ)らは、長男の仲間なのである。
そして迎えた進級チェック。
教室のドアの前で、長男を怒った代表に会い、「できるな👍」と激励を受けるも、長男は震えていた。また怒られるとでも思ったのだろうか。
母はDokiDokiが止まらない。
成功しますように。
もう祈るしかなかった。
そして長男の順番。
今日はふざける様子もなく、名前を呼ばれるとしっかりと返事をした。
静かな中での演技。
そして…
うまく回れた!
長男「ありがとうございました!」
拍手が起こる中、目元を拭いながら逃げるように元いた場所に座る長男。
きっとものすごい緊張だったことだろう。
そして、成功して勝手にあふれてきた涙に戸惑った様子。
母も窓越しに涙してしまいました。
短い期間でしたが、彼が仲間(ぬいぐるみ)達と共に努力して報われた経験。そして、初めて心からあふれた涙に、本当に胸が熱くなりました。
ここからお教室での態度は少し(笑)良くなり、おしゃべりこそしていますが、コーチのアドバイスを聞いて、自分なりに頑張っていました。
そんな長男。
今では小学2年生になり、今は反抗期の入り口に突入。
あの時のような劇的なことはないけれど、日々頑張って少しずつ成長を遂げている。
次はどんな試練があるのか。
その時はまた、そばで仲間として見守ってあげたい。
