ハチミツの犠牲 #シロクマ文芸部
「ハチミツはやくー!」
「ホットケーキが冷めちゃうよー!」
「はいはーい、今持って行きますよ」
こどもたちに急かされて、おかあさんはたくさんのハチミツを抱えました。
「ホットケーキもたくさん焼くからね」
おとうさんはフライパンを器用に扱いながら話しかけます。
「ホットケーキだけじゃあね」
「ハチミツがなくちゃあね」
「さあ、みんなの大好きなハチミツですよ」
ハチミツ、ハチミツ、とはしゃぐこどもたちの前にハチミツが置かれます。
「あれ、おかあさん、爪が赤くなっているよ」
「おかあさん、ケガしたの? だいじょうぶ?」
「あら? ……ああ、本当だね。大丈夫よ」
おかあさんは爪先を舌でペロリと舐めて顔をしかめました。
「おかあさん、いたいの?」
こどもたちが心配そうに見つめます。
「ちがうの。ただね、……おいしくないんですよ」
不思議そうな目を向けるこどもたちに、おかあさんは優しく言うと、小さな頭を撫でました。
「さあ、おかあさんは大丈夫だから。おいしいハチミツをたーくさん食べなさい」
おかあさんのまなざしにこどもたちは「はぁーい」と元気に返事をすると、焼き立てのあったかいホットケーキにたっぷりのハチミツをかけました。
「あの子たちもいつか、自分たちで、ハチミツを取りに行かないといけないね」
おかあさんはおとうさんに小さく話しかけます。
「ああ、そうだね。しかたがないことだけどね。……もっと、自然に手に入れられるといいんだけれど」
おとうさんは少し悲しそうな顔を見せました。
「今日は、何人だい?」
「ええ、一人」
「そうか……、残念だ。しかし、君にもケガがなくてよかったよ」
「撃たれる前になんとか」
「我々クマにとって、ハチミツは無くてはならないものだからね」
#シロクマ文芸部 企画に参加しました。
クマはハチミツが好物、というよりも「ハチノコ」を狙っているらしいですね。へぇ。
ハチはクマを攻撃するときに皮が厚くない顔や目玉を狙うらしいですね。へぇ。
……ハチこわいし頭いいな。
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2025.02.23 もげら
