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アニメ産業崩壊リスク?

◉Bloombergが、日本のアニメ界の構造的な問題を報じています。新聞に特徴的ですが、事実を淡々と述べず文学青年崩れのような情緒的な文章で始まる場合、それは特定方向に誘導したい・あるいは何かを誤魔化したい文章と考えていいでしょう。この記事も、国連も継承という時点で、「ハイ、解散~」でいいのですが。せっかくなのでアニメ業界について、昔から書いてることのおさらいや、思うことをいくつか書きます。

【アニメ産業崩壊リスクに国連も警鐘-低賃金や長時間労働の是正急務】Bloomberg

「声優という職業では、とても食べていけない」。首都圏に住む柴田由美子さん(60)は20代のころ、人気アニメに声優として出演する傍ら、夜は六本木や銀座のナイトクラブで働いて生計を立てていた。

「聖闘士星矢」の春麗役などの人気キャラクターを10年ほど演じた後も平均的な報酬は変わらず、1日5000円程度だった。所属事務所への手数料10%を差し引くと手取りはわずか。報酬はその後、多少上がったものの、現在は主に整理収納アドバイザーとして働いている。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-13/SQXXI3T0G1KW00

ヘッダーはnoteのフォトギャラリーより、メイプル楓さんのイラストです。


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■アニメ界の事情■

詳しくは、上記リンク先の全文を、ぜひお読みいただくとして。昨年から施行されたフリーランス新法で、アニメ業界もマンガ業界も、弱い立場のフリーランスが、泣き寝入りをする部分は減ったと思いますが。まだ、実際の漫画家やアニメーター自身が、この法律の細部を理解していませんから、もう少し時間がかかるでしょうし。また、上に政策あれば下に対策ありで、法の網の目をくぐり抜ける人間は、常に出ますしね。アニメ業界的には、やはり才能の世界で、描ける人は奪い合いになりますから。そういう意味では、社員化や内製化は、進みつつありますし。逆に声優は、ランク制があり、売れっ子でも端役でも、ランクごとのギャラは一律という、特殊な仕組みです。そこをゴッチャにする時点で、誘導を疑うに十分でしょう。

個人的には、アニメーターはスポーツ選手や芸人、役者などと同じで。若く技術が至らない・求められる基準に達しない内は、ギャランティが低いのは、仕方がないと思います。1軍選手と2軍選手、育成契約選手に年俸で大きな差が出るのは、当然ですね。アニメーターも動画から原画にあがると、収入が倍増するようですし。残念ながら、下手くそが1時間かけて描いても1円にもならない動画もあれば、上手い人が1分で書いた原画が商売になる世界です。自分個人は、一流のアニメーターは現在の収入の10倍もらっても良い、と思います。それだけの稀有な才能ですから。でも、下手くそと同じ1時間労働で賃金換算するのは、悪しき共産趣味だと思います。ちなみに、業界内部の方の反応は、こんな感じですね。

アニメ業界ヤバいみたいな情報みんな好きだけど、記事の内容は個人的にもずれた事言ってるなという印象。
一度でいいから金回りの良い現場取材してどれだけ人材獲得競争が激化してるか記事にして欲しい。

https://x.com/otarou01/status/1890246417773719667

このニュース、𝕏(旧Twitter)上ではYahooニュースで拡散されているのですが、そっちだと見出しに国連が入っていないんですよね。それだけでも、疑うに足るわけで。USAIDの問題は置くにしても、国連の方から来ました詐欺や、国連人権ナンチャラが日本の皇室典範にまで口出ししてきて、石破茂政権ですら対応せざるを得ないことになっていますし。やっていることは昔ながらの、左派の手法。

■製作委員会方式■

そして、こちらのアニメ業界の問題点の指摘。個人的には、とても納得できましたし、もし将来的にアカウントが消えたときのために、全部転載しておきますね。資料的な価値も高いので。当たれば大きいけれど、こけた時のダメージも大きい、ハイビスク・ハイリターンの映画製作において、製作委員会方式はもともと、コケたときのリスクを軽減するリスクをヘッジするために生み出された方式でしたから。ただ、そういうリスク回避志向は必然的に、リターンも低くなる。当たり前といえば当たり前の話ですよね。ローリスク・ローリターンが世の常。

アニメ産業の崩壊リスクについて、4年間研究してきた身として「製作委員会方式」について少し語らせて欲しい

にわかの人はよく「製作委員会方式のせいでアニメ制作会社が儲からない」と言うが、これは半分正解で半分間違いである
リスクヘッジ、出資企業の強みを生かした営業でとてもよい仕組みだ↓↓

https://x.com/dego_ichi/status/1890234313750503830

近年では出資企業を絞って利益拡大を狙った事例(鬼滅の刃)やクラファンを使って資金補助をした事例(邪神ちゃん)も出てきている

では何で半分正解なのかと言うと、アニメ制作会社は近年二極化が進んでいて、下請を担う専門スタジオの減益が問題視されている点だ↓↓

https://x.com/dego_ichi/status/1890234316791378257

帝国データバンクによると平均売上は業界全体では成長しているものの、専門スタジオはここ数年全く成長していない(https://tdb.co.jp/resource/files/assets/d4b8e8ee91d1489c9a2abd23a4bb5219/bf3b85164a2f4da8827cecc4f8dbbdad/20240827_%E3%80%8C%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E5%88%B6%E4%BD%9C%E5%B8%82%E5%A0%B4%E3%80%8D%E5%8B%95%E5%90%91%E8%AA%BF%E6%9F%BB2024.pdf)
また、2023年の赤字の割合を比較すると専門スタジオが42.1%と元請・グロス請の約2倍赤字であることが分かる↓↓

https://x.com/dego_ichi/status/1890234327381995765
https://x.com/dego_ichi/status/1890234327381995765/photo/1

根本的に何が問題なのかと言うと、それは「IP(知的財産権)」である
元請けができるような制作会社は資金が潤沢で製作委員会にも出資できるし、IPを使ったビジネスで儲けを出すことが出来る
しかし、専門スタジオの大半が自転車操業で慢性的な資金不足であり、製作委員会に出資出来ずIPもない↓↓

https://x.com/dego_ichi/status/1890234331190407191

結果、専門スタジオのような中小企業のブラック化が進んでいる

製作委員会方式が必ずしも悪とは言えないが、専門スタジオを取り巻く環境に関しては改善が必要である

例えば製作費を上げ末端まで行き届くようにすることやIPのロイヤリティの一部を制作会社や専門スタジオに入るようにするなど↓↓

https://x.com/dego_ichi/status/1890234335871336646

近年では製作委員会方式を使わずに単独出資する事例(チェンソーマン、ポプテピピック)などがあり、業界全体で製作方式の模索が始まっている
しかし、慣例が適応されることの多いアニメ業界ではなかなか製作委員会方式から主流が変化することは無いだろう

https://x.com/dego_ichi/status/1890234338635325607

総括すると、アニメ業界に必要なのは製作方式の変化ではなく、末端まで行き届くために資金を出資することと、「IP」に関する契約を専門スタジオにも適用してあげることである

海外需要で市場規模が3兆円を超えた今、今こそが変化が求められているのかもしれない。

https://x.com/dego_ichi/status/1890234340656967769

岡田斗司夫ゼミでは、ヤマカンこと山本寛監督が、製作委員会方式を批判していましたけれども。編集時代、アニメ業界関係者(アニメーターやプロデューサーなど)に会うと「アニメ業界の貧乏体質は、何が問題ですか?」と質問すると、デザイナーが取り過ぎとか音響がとか声優のギャラがと、答えがバラバラでした。そもそも、製作委員会という言葉は1980年代から使われ、1990年代に主流となったのですが、では60年代70年代にはなかったもので、副次的なものではないかという疑いが起きます。

そもそも業界自体が経営に無関心で、問題の本質を把握していないんじゃないか……と思った次第。インボイス制度への反対運動とか見ても、そういう思いを強くしました。アニメ界自体が絵が描ける人が偉いという価値観で、経営のプロが足りていない印象でした。内情は知らんけど。経営とは畢竟、
 ハイリスク・ハイリターン
 ミドルリスク・ミドルリターン
 ローリスク・ローリターン

のどれかを選択するのでやって。でも、ハイリスク・ローリターンではブラック化しますし。ローリスク・ハイリターンが蔓延ると、どこからか搾取するために歪みが起こりがちかと。

■タックス・クレジット■

庵野秀明監督の、こんな提言も紹介しておきますね。庵野監督自身が、若い頃は制作委員会方式を活用し、スタジオカラー設立以降は、製作委員会方式ではなく、自社製作でハイリスク・ハイリターンを選択していますね。コレは、エヴァンゲリオンという絶対的な切り札があるからこそ、という側面があります。また、得た利益を不動産投資で運用するなど、アニメさえ作っていられれば幸せという人間が多い中、経営も考える、稀有な存在。福岡の麻生グループとも関係が近しく、そちら方面からのアドバイスもあったのでしょうかね。

【庵野秀明氏がMANGA議連に出席 「『アニメ業界って結構いいね』という雰囲気を出して」】東スポWeb

 アニメ特撮アーカイブ機構・代表理事の庵野秀明氏が30日、国会内で開かれた超党派「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟(MANGA議連)」(会長・古屋圭司衆院議員)総会に出席した。
(中略)
「現場にいると本当に人が足りません。足りないことでどういうことが起こるかというと、制作がどんどん遅延します。今いろんなアニメーションが延期になっていますけれども、主な原因は人材不足が起因している。昔はブラックなイメージがあったアニメの業界ですけど、いまはかなり改善されています。悪いところばかり取り上げずに、アニメ業界の経済状況がいいところもマスコミにも取り上げてもらって、『アニメ業界って結構いいね』という雰囲気を世間にも出していただければと思っています」

https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/332392

時期的には、冒頭で取り上げたBloombergの記事より、こちらの記事の方が早いんですよね。庵野監督が「悪いところばかり取り上げずに、アニメ業界の経済状況がいいところもマスコミにも取り上げてもらって、『アニメ業界って結構いいね』という雰囲気を世間にも出していただければと思っています」と語っているのに、マスコミは相変わらず搾取する業界と搾取される労働者という、共産趣味な文脈で語るわけで。でも、何が問題でこういう改善案がある、という方向では提言せず、指揮者の意見を紹介しても、切り取りだったり、自分の意見に近しい空理空論ばかり。

映像産業への税制優遇制度のタックス・クレジットに関しては、庵野監督も強く望んでいるようですね。コレは課税対象所得額から差し引く控除ではなく、税額から直接差し引くタイプの優遇税制のことのようです。例えば漫画家なら没後30年で著作はパブリックドメイン入りさせて、国に権利を移乗する代わりに、生きてるときの税金を下げてほしいという人は多いだろうと、昔から書いていますが。ミッキーマウス法の悪影響で、没後70年も著作権を維持できるより、才能は生きてる時に優遇してほしいものです。庵野監督のスタジオカラーの経営について、興味がある方はこちらのnoteもどうぞ。

■経営のプロが必要■

昔の中国人留学生の教え子、日本以外にもアメリカとフランスに留学し、4か国語が喋れて、海外ではプロデュースを学んでいて。中国はこれからは コンテンツ産業だと、役方に人材を投入しています。確かにクリエイターの才能は貴重で、まずそれがないと何も始まらないのは事実ですが。その天才が現れた時、作品制作に集中できる環境を作ってくれるのは、官僚的な秀才たち。北京大学のアニメ研とか、部員が数百人もいて、ああいう超エリートが1割でもアニメの裏方に回ると、日本は経営面で勝てなくなるでしょう。

繰り返しますが製作委員会方式自体は、当たるかどうかわからない劇場版アニメ作品を、リスク分散させるシステムとしては、かなり有効だったわけで。でもそれでは対応しづらい状況も出てきた。なので、庵野監督とかは製作委員会方式から離れて、自前でリスクを負ってやっていますし。京都アニメーションやP.A.WORKS、米子ガイナックスのように、生活費が東京よりも安い地方に本拠地を構え、リスクを取って自社オリジナルのアニメーション製作を続けるスタジオもありますし。自社でマネタイズする方法論を模索していない会社に、知的財産権を譲っても、元の木阿弥では?

むしろ、アニメ業界全体で共有できるようなマネタイズの方法論の確立や、一流大学の経済学部や経営学部を卒業した人間を、最初から経営のプロとして高給で雇うとか、もうちょっと役方重視の経営改善のための提案が欲しいですね。古今亭志ん生のような天才芸人は、同時代に他にもいたけれど、志ん生の奥さんのような支える人がいなかったので、破滅してしまったように。漢王朝の蕭何やHONDAの藤沢武夫のような、現場の情熱や志を理解し、バックアップしてくれる良きNo.2がいるかどうかが、鍵なんでしょう。むしろ、こちらの方が希少な才能かもしれません。豊臣政権も、弟の秀長の死が痛かったように。


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