『雨宿り』309字 まろやかホラー|シロクマ文芸部
『雨宿り』
雨宿り。
「見えるの?」
しまった。雨なんて降っていなかった。
雨が見えてしまっただけ。
「ねえ、見えてるの?」
雨の中、直立している女性がいた。
雨と紺地に小花柄のワンピースの女性が見えている。
雨だけに焦点をあて、見ないふりをした。
子どものときから、他の人が見ていないものが見えるときがあった。
他人の記憶か?心霊といわれるものか?は不明。
記憶なら少し説明がつく。
土地に残された記憶か?音が残っていることもある。
この女性の記憶は、雨と共にあった。

「ねえ、見えてるんでしょ」
雨音が強くなった。
「見えてないよ」
矛盾した答えだ。けど、きっぱりとした拒絶を示した。
雨はやんだ。
…いや、はなから、雨は降ってもいなかった。

今日の午後のはなし。
今回のお題は… 『「雨宿り」からはじまる』 2週連続まろやかホラーで参加します!
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