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Instagramに見るSNS変遷とショート動画の現実


 今回はSNSの話題です。Instagramのユーザーがついに30億人を超えたということで、このInstagramを運営するメタ社、そしてショート動画を中心としたSNSの現状について解説します。
 日本でも若い世代を中心にInstagramを使っている人は非常に多く、もはや日常生活の一部になっていると言っていいでしょう。

出所)meta.com

Instagramの成長とその背景

 Instagramが登場したのは2010年10月のことです。私自身、その頃はまだスマートフォンではなく、いわゆるガラケーを使っていました。2007年に初代iPhoneが登場し、2010年発売のiPhone4で高画質カメラが搭載されたことで、写真や動画をSNSに投稿する時代が一気に始まりました。当時のSNSといえばFacebookなどが中心でしたが、テキスト情報が主で、写真をメインにしたSNSはほとんどありませんでした。その中でInstagramは革新的な存在として登場し、2011年9月までのわずか1年でユーザー数1,000万人を突破しました。

Facebookによる買収と世界的拡大

 その勢いのまま、2012年にFacebook(現在のメタ社)が10億ドルでInstagramを買収します。その後も順調にユーザーを拡大し、2016年に5億人、2018年に10億人、2022年に20億人、そして今年、ついに30億人を突破しました。メタ社のサービスはどれも巨大です。Facebookが約30億7,000万人、WhatsAppも20億人を超える利用者を抱えています。
 日本ではLINEが主流のため、WhatsAppの存在感は薄いですが、ヨーロッパや南米では主要な通信ツールとして圧倒的なシェアを誇っています。

写真、ショート動画そしてリールの時代

 Instagramはもともと写真投稿が中心のSNSでしたが、近年は「リール動画」と呼ばれる縦長のショート動画が主流になっています。TikTokの台頭をきっかけに、YouTubeやInstagramもショート動画に力を入れるようになりました。私自身はYouTubeでもショート動画はあまり見ない方です。
 ただ、つい短くてくだらない動画を見てしまう気持ちは分からなくもありません。X(旧Twitter)やYouTubeを見ていても、次々と流れてくるショート動画を何本か見てしまうことがあります。そして「時間がもったいない」と思って途中でやめることが多いです。最近はどのSNSも、似たようなくだらないショート動画で溢れていて、少しうんざりしているというのが本音です。

リールとは、Instagramで簡単に作成して楽しく視聴できる短尺動画です。誰もが参加したくなるような魅力的な動画を通じて、コミュニティと楽しくつながれます。

Instagram

若者の視聴スタイルと変化するメディア習慣

 とはいえ、今の若者たちにとってはそれが当たり前の視聴スタイルになっています。私の息子もテレビの画面でYouTubeを見ていますが、ほとんどがショート動画ばかり。長い動画を見ないのかと聞くと、「たまにしか見ない」と言い、見ても途中をスキップしてしまうそうです。
 短く、分かりやすく、テンポよく展開する動画に慣れている世代は、長尺コンテンツに集中できなくなっているのかもしれません。これがいわゆるデジタルネイティブ世代の特徴だと言われています。「そんな短い動画ばかり見ていて何の役に立つのか」と思うこともありますが、これが現実なのです。

伝統的なビール銘柄が若者や女性の心をつかみ、新たな層を取り込むことで、需要が急増するという結果に至ったのです。このような現象は、SNS時代ならではの消費者行動の変化を示すものといえるでしょう。

イギリスとギネスビールとSNSの話

SNSの半分を占めるリール視聴時間

 メタ社によると、現在Instagramユーザーがアプリを使っている時間のうち、約50%がリール動画の視聴時間にあたるといいます。それだけリールの影響力が増しており、今後もさらに拡大していく見込みです。
 私はショート動画を否定しているわけではありません。自分があまり見ないだけで、中には有意義なショート動画もあり、人によって価値の感じ方は違います。私にとってはくだらないと思える内容でも、誰かにとっては新しい発見になることもあるでしょう。

インフルエンサーとショート動画の課題

 発信者という立場から見ると、ショート動画の活用には利点と限界の両方があります。経済や社会の解説をしているインフルエンサーの中にも、ショート動画で情報発信を行う人が増えています。確かに新しいフォロワーを獲得する手段としては効果があります。
 しかし、ショート動画でフォローしてくれた人たちは、その後もショート動画しか見ない傾向があります。長尺の解説動画を見てもらう目的でショートを出しても、その戦略が必ずしも効果的ではないことが分かっています。
つまり、経済解説や社会問題のような深く理解を要するジャンルには、ショート動画はあまり向いていないのです。一方で、ビジュアルで完結に伝えられる分野、料理・DIY・メイク・アートなどでは非常に相性が良いと言えるでしょう。

アルゴリズム戦争とユーザーの時間奪取

 SNS業界では今、「どのプラットフォームが最もユーザーを長時間惹きつけるか」という戦いが繰り広げられています。そのカギを握っているのが、ショート動画とアルゴリズムです。ユーザーがつい見てしまう動画をAIが次々と推薦することで、利用時間が増え、広告収益も拡大します。

 つまり、私たちは知らず知らずのうちにSNS企業の戦略に取り込まれ、時間を奪われているとも言えます。

 この構図はInstagramだけでなく、YouTubeやTikTokなどすべてのSNSに共通しています。ショート動画とアルゴリズムが、SNSの成否を左右する最大の要因になっているのです。

SNSの未来とメタの挑戦

 この流れは当面続くでしょう。トレンドが変わるとすれば、それはまったく新しいSNSが登場したときです。そもそも現在のショート動画ブームも、TikTokの登場によって始まったものです。いずれまた、新しいタイプのサービスが現れ、既存のプラットフォームが淘汰される時代が来るかもしれません。
 メタ社は2021年に社名を「Facebook」から「Meta」へ変更しました。当時はメタバースが次世代の主流になると期待されていました。コロナ禍でリアルな交流が制限され、オンラインで完結する世界が理想視されていた時期です。しかし、実際にはメタバースは期待されたほど浸透せず、ブームは一時的なものに終わりました。新しいサービスが必ずしも成功するとは限らず、失敗を繰り返しながら進化していくのがSNSの世界です。


ご参考

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