トルコリラの暴落理由とトルコの政局の整理
2025年3月19日、トルコのイスタンブール市長であり、次期大統領候補と目されていたエクレム・イマモール氏が身柄を拘束されました。これに対して、「次期大統領に対するクーデターではないか」といった見方も出ており、イスタンブールなど各地で反発するデモが発生。トルコリラは急落し、トルコの金融当局は過去最大規模の為替介入を行ったと発表しています。
今回の事件を受け、「エルドアン大統領はやりたい放題だ」といった声もありますが、一方で「これほどの事態になっているということは、エルドアン大統領自身も相当追い込まれているのではないか」といった見方もあります。現在分かっている情報と、今後の金融市場の見通しについて説明します。
トルコが大変なことになってるhttps://t.co/jz5Q6GGSyu
— 【世界経済情報】モハPチャンネル (@MohaP_WorldNews) March 19, 2025
イマモール氏拘束の背景
トルコ当局は3月19日、イスタンブール市長のエクレム・イマモール氏を汚職やテロ組織との関与などの容疑で拘束したと発表しました。このほか、100人程度の政治家、ジャーナリスト、ビジネス関係者も拘束されているとのことです。
イマモール氏の略歴
イマモール氏は現在54歳で、2024年からイスタンブール市長の2期目を務めています。イスタンブールはトルコ最大の都市であり、同市の市長を務めた後に大統領を目指すのはトルコ政界の「お決まりのコース」となっています。現職のエルドアン大統領も、かつてはイスタンブール市長でした。
イマモール氏は、トルコの主要野党である共和人民党(CHP)に所属する政治家です。昨年後半に行われたイスタンブールとアンカラの地方選挙で、CHPが最大政党となり、次の大統領選ではイマモール氏が大統領になるのではないかという見方が強まっていました。
次のトルコ大統領選挙は2028年に予定されていますが、2025年3月23日にはCHP内部で大統領候補を選ぶ集会が開かれる予定でした。イマモール氏は、この集会で正式に大統領候補に選ばれる見込みとなっていました。しかし、その直前に彼が拘束されるという事態になったのです。
過去の政治的圧力とクルド人問題
イマモール氏を巡る混乱は今回が初めてではありません。2022年には、イスタンブールの裁判所が彼に対し、政治活動を禁止する判決を下したことがありました。この判決は、イマモール氏がクルド人武装勢力「クルディスタン労働者党(PKK)」を支援したり、便宜を図ったりしたのではないかという疑惑によるものです。
PKKはクルド人の国家樹立を目指しており、過去にトルコ国内で大規模なテロを行ってきた組織です。そのため、PKKを支援したり、便宜を図る行為はトルコ国内では違法とされています。ただし、この件に関してイマモール氏は一貫して否定しており、まだ最終的な判決は出ていません。
トルコの政局
トルコの主要野党である共和人民党(CHP)について簡単に説明すると、メディアでは「中道左派」や「リベラル派」に分類されることが多く、EUと親密な関係を持つ政党です。
これに対し、エルドアン大統領率いる公正発展党(AKP)は「保守派」とされています。トルコにとって最も厄介な問題の一つであるクルド人問題に関しても、両党の立場は大きく異なります。
クルド人問題
AKPはクルド人に対して厳しい姿勢を取る一方で、CHPはクルド人やその支援者も取り込んでいくという戦略を取っています。このクルド人問題に関して、最近、大きな動きがありました。
AKP:公正発展党
CHP:共和人民党
MHP:民族主義者行動党
PKK:クルディスタン労働者党
PKKの指導者アブドゥッラー・オジャラン氏は26年前に逮捕され、現在も獄中にいますが、2月28日に獄中からPKKの武装解除と組織の解散を呼びかけました。これを受けて、PKKの指導部が停戦を発表しました。1978年のPKK設立以降、40年以上にわたり武装闘争が続き、その戦いの中で4万人以上が命を落としたと言われていますが、今回の停戦により、一旦戦闘が止まったことになります。
このPKKの武装解除・解散に向けた動きの背景には、AKPと連立を組む民族主義者行動党(MHP)が、PKKの解散と引き換えにオジャラン氏を釈放するという取引を持ちかけているとの報道があります。PKK問題とイマモール氏の拘束がどのように関係しているのかは明らかではありませんが、トルコの政治が大きく動き始めているのは確かです。
金融市場への影響
トルコリラは3月19日のマーケットで一時10%以上下落しました。これを受け、トルコの金融当局はリラ防衛のために50億ドル規模の為替介入を行ったと発表しました。しかし、市場関係者の中には「実際には100億ドル規模の介入が行われたのではないか」との見方もあります。
トルコの外貨準備高は2024年末時点で835億ドルとされています。仮に100億ドルを使ったとすると、1日で10%以上の外貨準備が消費されたことになります。このペースで介入を続ければ、すぐに外貨準備が尽きる可能性があります。
トルコリラは、2023年から中央銀行が政策金利を引き上げ、時間をかけてようやく下落ペースを抑え、安定し始めたところでした。しかし、今回の事件を受けてリラの暴落が再燃し、これまでの努力が無駄になった形となっています。日本でもトルコリラに投資している人は多いと思いますが、いくらファンダメンタルズを調べても、政治によってすべてがひっくり返される、そういう国なのだということを改めて認識する必要があるでしょう。
トルコリラの下落を考えてみましょう。この通貨が下落している要因として、政治的不安定性、インフレ率の高騰、中央銀行の政策などが挙げられます。これらの要因を一つ一つ精査することで、現在の市場価格よりもさらに下がる可能性があるかどうかが見えてきます。
今回のイマモール氏拘束は、トルコの政治にとっても、金融市場にとっても非常に大きな出来事です。今後の展開を注視していきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
ご参考
新興国については元々情報が少ない傾向がありますが、取引している証券会社が何の情報も提供してくれなかったら、もう個人投資家は情報を得ることができないです。そういう環境で投資をしてもまず間違いなくうまくいかないと思います。情報を入手できる環境にあるか、それを確認されることをお勧めしたいです。
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