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英国の住宅建設ラッシュとその背景


 イギリスで住宅の建設ラッシュが起こるということで、建設会社の株価が上昇し話題になっています。この現象は、労働党政権の政策やイギリスでの移民急増など、さまざまな社会現象が影響しており、非常に興味深いものとなっています。

パーシモン社の株価上昇

 2024年8月23日、イギリスの住宅設計・建設を行うパーシモンという会社の株価が約2年ぶりの高値をつけました。これは、最近イングランド銀行が利下げを開始したことで、住宅購入が増えるのではないかという期待が高まっているためです。この2年間ほど冷え込んでいた住宅市場が回復するのではないかという期待もありますが、要因はそれだけではありません。

労働党政権の住宅供給計画

 もう一つの大きな要因は、労働党のスターマー政権が5年間で150万戸の住宅を供給する方向で動いていることです。
 イギリスは2022年以降、急激に移民が増加しており、2022年には70万人を超える移民が入国しました。2023年以降も高水準が続いており、もともと移民が多い国ですが、それでもあまりにも多すぎるということで、さまざまな問題が発生しています。その問題の一つが住宅不足です。

出所)「BBC News」(2024/5/23)

 世界的に移民が増えすぎていて、マイナスの影響が大きくなっていると私は考えています。これは、富の格差が広がる社会の中で、これからも多くの国が向き合うべき問題だと思います。

世界的な移民の増加問題に関する一考察

住宅不足とその影響

 住宅が不足していることで家賃が高騰し、それを払えない人たちがホームレスになるという状況が生じています。ホームレスの急増なども大きな問題となっているため、この問題を改善するために労働党政権は5年間で150万戸、毎年30万戸の住宅を供給するとしています。

ホームレス問題の原因
 ホームレスの背景として、薬物中毒だったり、元軍人でPTSDで働けない、決められた場所に住むこともできない人だったり、移民の人たちもいます。いろんな社会問題が影響していると言われています。

ロンドンの現状と日本との比較

ブラウンフィールドとグリーンフィールドの開発

 労働党政権の公約の内容を詳しく見ると、ブラウンフィールドとグリーンフィールドの両方を開発するとしていますが、ブラウンフィールドを優先的に開発するとしています。ブラウンフィールドとは、以前は栄えていたが何らかの理由でさびれてしまった地域のことです。一方、グリーンフィールドはこれまでに全く開発されていない地域のことです。

地方都市の過疎化と住宅建設

 イギリスも移民の増加などで国全体では人口が増えていますが、地方都市では過疎化が進んでいる地域も多くなっています。そうした地域から銀行の支店が撤退し、現金を下ろせなくなった高齢者が多くいるという問題もあります。そうしたブラウンフィールドに新しい住宅を建設するという計画です。

中央政府と地方政府の役割

 今回の住宅建設に関しては、中央政府が資金を提供し、進めるのは地方政府ということになっています。しかし、ここ30年ほど地方政府による住宅建設はほぼゼロで、最近の住宅建設はほぼ民間投資によるものでした。それがいきなり過去最高レベルで建設するというのはうまく進むのか心配されています。
 私の率直な感想としては、厳しいだろうというものです。民間部門によって建設されるものでも、建設業者の問題もあるかもしれませんが、あらゆるプロジェクトが遅れるのがイギリスです。基本的にオフィスビルやマンションの建設が予定通りに進むことはまずありません。マンションが予定通りに完成せず、新築に住む予定だった人たちがエレベーターがない状態で1年ほど生活したということもよくあります。

地方政府の計画立案

 こうした状況のため、おそらく全然進まないでしょう。地方政府はまず、自分たちの地域のどこにどんな住宅を建設するのか計画を立てるために人を採用するところからスタートです。イギリス国内でも無理だろうという批判が多くなっています。

欧米諸国の住宅不足

 移民が大量に流入して人口が増加している欧米の国々はどこも似たような状況で住宅不足が発生しており、住宅供給を増やそうとしています。人が増えれば住宅、病院、学校などの社会インフラが必要になりますが、そうしたことをあまり計算せずに移民を増やしてきたのが多くの国の現状です。

スターマー政権の住宅供給計画の今後

 イギリスの話に戻りますが、スターマー政権が目指している5年で150万戸の住宅供給は、これからなかなか進まないのではないかと注目されています。同時に、コストの増加によって政府の予算が足りないという問題に繋がる可能性も十分にあります。
 すでに8月後半、スターマー首相は増税の可能性を示唆しました。これは保守党政権時代にすでに予算が足りない状況になっていたことに政権交代して気づいた、これを穴埋めしないといけないのは労働党が悪いのではなく、保守党のスナック政権が悪かったと主張しています。

増税の可能性と経済への影響

 イギリス国民は、政権交代して1ヶ月で早くも増税かと身構えています。一方、年間30万戸もの住宅建設は非常に大きな公共事業ですので、GDPを押し上げ、イギリス経済には一定程度プラスに働く面もあるでしょう。
 最も望まれるのは、より長く使えるよう需要に応える住宅が供給され、多くの人たちが新しい住宅に住み、住宅価格や家賃が安定することです。しかし、そうならなかったとしても、一時的には政府の支出による住宅建設によって経済が押し上げられることになるでしょう。

将来的な影響と注目点

 ただし、そうやってできた住宅が使い物にならないものが多かったりすると、将来的には増えた政府債務が経済を押し下げる形でマイナスの影響を及ぼす可能性もあります。これから少なくとも数年は労働党政権が続くと見られる中で注目されるでしょう。


ご参考

労働党の政策
 その規制というのは、銀行が支店を閉店する場合はバンキングハブを含め、ATMへのアクセスが確保されているかどうか、金融サービスの代替手段が確保できている場合に限るというものです。銀行の支店の閉鎖によって金融サービスを受けられなくなって困る人たちをこれ以上増やさないようにするということです。

労働党政権の政策とイギリスの富裕層の流出

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