イギリス発のデジタル銀行レボリュートについて
イギリスのレボリュートという銀行をご存知でしょうか。2010年代に台頭してきた新しい銀行のことを「チャレンジャーバンク」と呼ぶことがありますが、その一つとして注目されている銀行です。このレボリュートが2025年9月23日、ロンドンのカナリーワーフに新しいオフィスを構えること、そして2030年までに130億ドルを投資して世界20の地域に進出する計画を発表しました。ユーザー数は1億人を目指しており、今後ますます存在感を高めていくと見られています。
この記事ではこのレボリュートについて取り上げたいと思います。なお、金融機関のサービスについて紹介しますが、企業案件ではなく、良い面と悪い面を含めて世界で実際に起こっていることを解説します。

レボリュートの誕生と創業者
レボリュートは、ヨーロッパの金融系スタートアップ企業としては最大規模に成長した会社です。創業はわずか10年前の2015年で、ニコライ・ストロンスキー氏とブラド・ヤツェンコ氏によって設立されました。
ストロンスキー氏は1984年、当時のソ連モスクワ近郊で生まれ、2004年にイギリスへ移住しました。リーマン・ブラザーズで株式トレーダーとしてキャリアをスタートさせ、その後クレディ・スイスなど複数の投資銀行で経験を積んでいます。彼はイギリスとフランスの国籍を取得しており、かつてはロシア国籍も持っていましたが、2022年のウクライナ侵攻を受けてロシア国籍を放棄しました。
もう一人の創業者ヤツェンコ氏はウクライナ人で、東ドイツで生まれた後、投資銀行でソフトウェアエンジニアとして活躍してきた人物です。この二人が共同でレボリュートを立ち上げました。
チャレンジャーバンクの登場と背景
イギリスでは2010年代に新しい銀行が次々と登場しました。その先駆けとなったのがメトロバンクです。メガバンクのサービスが不便で利用しづらいという声を背景に誕生し、平日の夜間や休日も営業することで利用者の支持を集めました。特に、昼間に働いているサラリーマンが利用しやすい銀行として成長し、メガバンクの店舗近くにあえて支店を設ける戦略を取ることもありました。

さらに2010年代後半になると、スマートフォンだけで完結するデジタル銀行が登場します。レボリュートもこの流れの中で誕生した銀行です。
レボリュートの特徴
デジタル銀行の中でも、レボリュートは特に海外送金や海外決済に強みを持っています。創業者のストロンスキー氏自身が海外渡航の際に既存銀行の高額な手数料や時間のかかる送金に不満を抱いており、それを解決する形で設立されたのです。現在ではイギリス在住の日本人にも利用者が多く、利便性の高さで支持されています。
一方で、国内決済やアプリ残高即時反映システムで人気を集めたモンゾなど、他のデジタル銀行も存在しており、競争は激しさを増しています。最近のレボリュートは、株式取引、保険、暗号資産など、金融サービスを幅広く展開し、金融の総合プラットフォームを目指す姿勢を強めています。

デジタル銀行の課題とリスク
便利さの裏には課題もあります。特にデジタル銀行は、利便性と安全性がトレードオフの関係にあるとされ、不正利用やマネーロンダリングに狙われやすいのです。レボリュートでは、スマートフォンで身分証や顔写真を撮影し、AIで本人確認を行う仕組みが導入されていますが、当初はこの制度の不備が指摘され、マネーロンダリングの温床と批判されてきました。
実際に、リトアニアでは罰金を科されたほか、日本でも2022年に金融庁から業務改善命令を受けています。金融サービスにおいて不正対策は欠かせず、特に国際的な送金に関しては犯罪を助長するリスクが大きいため、各国の規制当局も厳しい姿勢を示しています。
関東財務局は、本日、REVOLUT TECHNOLOGIES JAPAN株式会社(本社:東京都港区。法人番号:8010001188396。以下「当社」という。)に対し、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号。以下「法」という。)第55条の規定に基づき、下記のとおり業務改善命令を発出した。
世界展開の加速と日本の状況
こうした問題もある中で、レボリュートはグローバル展開を強化しています。今回の130億ドル規模の投資によって、UAEやサウジアラビア、さらにアフリカ各国への進出を予定しており、すでにユーザー数は6,500万人を突破しました。2030年までに1億人を目標に掲げ、その規模は日本最大の三菱UFJ銀行を上回る見通しです。事業価値は約750億ドル(約10兆円)に達しており、金融業界の新しい勢力として無視できない存在となっています。
日本では、規制の影響もありサービスの一部に制限がかけられています。これは利便性を犠牲にしても不正リスクを避けるという判断であり、必ずしも悪いことではないと考えられます。とはいえ、日本の金融サービスが依然として利便性に乏しく、海外送金に高額な手数料を払い続けている現状は改善の余地が大きいでしょう。
私は日本の金融機関が提供する金融商品やサービスが、あまり顧客目線で作られていないと感じています。
今後の展望と課題
レボリュートがロンドンのカナリーワーフに新オフィスを構え、1,000人以上を新規雇用する計画は地域経済にとって明るいニュースです。しかし、利便性を追求するサービスが不正利用のリスクと常に隣り合わせであることも忘れてはなりません。金融分野における技術革新と規制のバランスが今後の大きな課題となります。
DBSはAI関連の雇用を新たに1,000人増やすことも発表しており、単に人を減らすのではなく、AIを活用した新たな業務体制の構築に向けて動いていることが分かります。
今回の事例は、日本の金融業界にとっても重要な示唆を与えていると考えられます。利便性の向上と不正防止の両立をどう実現するのか、各国の取り組みを注視する必要があります。今後ともよろしくお願いいたします。
ご参考
CBDCと国際決済の課題
現在、各国でCBDCの研究が進んでいますが、国際決済に関してはまだ多くの課題が残されています。各国のCBDCシステムをつなぐ仕組みが求められており、実用化にはかなりの時間がかかると見られています。
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