ドバイの不動産市場と金融センターとしての課題
ドバイでは現在、新たな超高層ビル「Burj Azizi(ブルジュ・アジジ)」の建設が始まっており、そのアパート部分の販売も開始されました。
海外のメディアサイトを見ていると、この物件の広告が頻繁に表示されているのが目につきます。私は購入するつもりは全くないのですが、どんなものかと思って少し見てみました。この記事では、ドバイの不動産市場とブルジュ・アジジについて詳しく説明したいと思います。
Burj Azizi(ブルジュ・アジジ)

このブルジュ・アジジは、高さ725メートルと、現在世界一の高さを誇る「Burj Khalifa(ブルジュ・ハリファ)」(828メートル)に次ぐ世界で2番目に高いビルとなる予定です。サウジアラビアで建設が進められている「ザ・ライン」のように非現実的な計画ではありませんが、やはり中東特有の奇抜な建築物と言えるでしょう。
Burj Azizi(ブルジュ・アジジ)の特徴
「ブルジュ・ハリファより低いのでは」と思われるかもしれませんが、ブルジュ・アジジには多くの「世界一」が詰め込まれています。ブルジュ・ハリファは206階建てとされていますが、実際に人が利用できるのは160階までで、それ以上は機械室などの用途に限られています。そのため、「本当に使える部分の高さ」で考えると、ブルジュ・アジジはブルジュ・ハリファに匹敵する規模を持つといえます。
また、ブルジュ・アジジには以下のような「世界一」が詰め込まれる予定です。
展望デッキの高さ:649メートル(ブルジュ・ハリファの展望台より94メートル高い)
ナイトクラブの高さ:567メートル
映画館の高さ:544メートル
ホテルの客室の高さ:512メートル
スパの高さ:415メートル
スーパーマーケットの高さ:310メートル
何でも高いところに作るのが好きなドバイらしいプロジェクトと言えます。こうした壮大なビルのプロジェクトが始まっていることもさることながら、最近ドバイの不動産市場が活況を呈していることも話題となっています。
Burj Azizi(ブルジュ・アジジ)の価格帯
現在販売が開始されたアパート部分の価格は、1平方フィートあたり1万~1万7,000ディルハム(約40万~70万円)とされています。これを日本円に換算すると、50平米の部屋で2億円~3.5億円程度になります。
アラブ首長国連邦(United Arab Emirates:UAE):通貨
ディルハム
私自身は高層階に住みたいという願望は全くなく、マンションでも2階や3階くらいのほうがいいと考えているため、東京のタワーマンションにも興味がありません。そんな私にとって、このような巨大なビルに2億円や3億円を払って住むというのは、まったく理解できない世界です。
ドバイの不動産市場
とはいえ、ドバイの不動産市場は非常に好調です。世界一の高さを誇るブルジュ・ハリファを建設した不動産デベロッパーであるエマール・デベロップメントは、2024年に76億ディルハム(約3,100億円)の過去最高益を記録しました。これは2022年と比較すると利益が2倍に拡大しており、ドバイの不動産市場が非常に活況であることを示しています。この好調の背景には、海外からの投資の流入と、富裕層の移住が大きく影響しています。
富裕層がドバイに移住する理由
イギリスから富裕層が流出しているという話をしていますが、「では富裕層はどこへ行っているのか」という質問をよく受けます。その答えのひとつがドバイです。
イギリスの移住アドバイザー会社の推計によると、2017年から2023年にかけて1万6,000人の富裕層が国外へ流出し、2024年だけで9,500人がイギリスを離れました。
ドバイに移住する理由は主に2つあります。
まずは、不動産価格の割安感です。ドバイの不動産価格は、ロンドンと比べると約2割程度。そのため、同じ金額でも広くて豪華な住まいを手に入れることができます。次に、税制の優遇です。ドバイは個人所得税がほぼゼロであり、税負担を抑えたい富裕層にとって魅力的な選択肢となっています。
さらに、最近では金融関係の企業もドバイに拠点を移すケースが増えています。ブルームバーグの調査によると、2024年にドバイの金融街で新たに登録された金融業者の数は前年比で25%増加しており、そのほとんどがヘッジファンドだとされています。
金融センターとしての成長の課題
ただし、これらの金融企業の多くはUAE国内に投資しているわけではなく、単に「税制のメリットがあるから」拠点を移しているに過ぎません。そのため、何かのきっかけで企業が一斉に撤退するリスクもあります。
ドバイは「脱石油」を掲げ、不動産・金融・観光業を軸とした経済成長を進めています。しかし、その経済構造は資産バブルの影響を大きく受ける脆弱な側面もあります。
2008年の金融危機の際には、ドバイの不動産バブルが崩壊し、建設途中だったブルジュ・ハリファは資金難に陥りました。この時、同じUAEのアブダビ政府が資金援助を行い、建設を続行できたという経緯があります。
まとめ
ドバイでは世界第2位の高さを誇るブルジュ・アジジの建設が進み、不動産市場は活況を呈しています。しかし、その好調の背景には海外からの投資や富裕層の流入が大きく影響しており、持続的な成長にはリスクも伴います。今後、世界の資産バブルがどのように推移するかによって、ドバイの不動産市場の未来が大きく左右されることになるでしょう。
Special Thanks
Burj Azizi(ブルジュ・アジジ)とドバイの不動産市況のことを詳しく知りたいと思い、「ドバイ不動産の歩き方 🇦🇪 宅建士エージェントYASU」様にミーティングの機会をいただきました。
現地ならではの目線で様々ご教示いただき、とても参考になりました。Burj Azizi(ブルジュ・アジジ)をはじめとした、ドバイ不動産の自分なりの注目ポイントはこちらの記事でまとめています。是非ご覧いただけたらと思います。
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