忘れられない色 | コゼットジョリ ほおずきいとおし
二年前、とあるネイルカラーに出会った。
ふらりと立ち寄った蔦屋書店の一角に、鎌倉のネイルエナメルブランド、コゼットジョリの商品が陳列されていた。
最初に手に入れたのは、復刻カラー【ガクアジサイビビシ】
それは、この時期どこかで目にする色。
揺らぎのある青い紫陽花の色だ。
その時の私は、子供からうつった手足口病の後遺症で、爪が横に裂けてしまっていた。
生え替わるまでは、今の爪を繋ぎ留めたかったので、爪に優しいネイルカラーで固めてしまうのは名案だと思った。
その後、爪の強化のためにベースコートと、質感と色の深みに惚れて季節限定カラー3本(タチアオイケンシ、ユズノハツヤ、センニチコウノウエン)を続けて買った。

一本2000円弱のものを、ひと月もしないうちに5本も集めてしまった。
あそこは危険だ。
もうその書店に通い詰めるのはやめた。
あれから二年、その売り場は移動していた。
久しぶりに手に取ったのは、クリアなオレンジレッド。
【ホオズキイトオシ】という夏限定カラー。
Opacity(不透明度):2
コゼットジョリは、一度塗りが可愛くて。
ムラさえもその透け感がお洒落に見える。
写真では上手く撮れないんだけど、ちゅるんとした瑞々しさが出る。
それを改めて実感したのが、この色だった。

その日は、試し塗りをして、買わずにその場をあとにした。
でも、家に帰っても、指先にその色が残っている。
内側から滲むような血色感。
私の黄色い手を生き生きと綺麗に見せてくれる。
コゼットジョリの凄さは、摩耗しても、艶は消えないこと。
爪先からエナメルが禿げていくたびに、この色への想いが強まった。
手持ちの【タチアオイケンシ】を手に取ってまっさらな足の爪先に塗った。
気持ちは紛れなかったが、足元に目をやって、やっぱりここのメーカーは良いと思った。

そして再び、蔦屋書店へ。
値札を確認すると、二年前よりも値上げしていた。
一本2,200円。
目当ての色だけ、迷わず手に取った。
レジに差し出した時の私のネイルは既にハゲハゲだった。
みすぼらしい指先だと思われただろうか。
帰宅後、西日の残光が差す窓辺で箱の上部をこじ開けるように破った。
あーこれこれ。
いとしのホオズキイトオシを、無事ゲットした。
週末に丁寧にリムーバーで落としてから、また塗り直して愛でよう。
忘れられない色だった。
これって、恋だったのかな。

