見出し画像

35. ラブカ奇譚

 ある晩、僕は愛について書かれた本を読んでいた、深い深い夜のしじまで。いわく、愛の見た目は恐く、中を見ると獰猛さに拍車が、とある。愛はグロテスクでもある、ということだろうか。愛が何を食べているのかは未知の部分も多いという。
 では、そもそも愛はどこから生まれくるのだろうか?その問いに対する答は、愛は愛の中からしか産まれてこない、というものである。愛は愛の中で育まれ、そして産まれ出てくる、まるで哺乳類のように。
 コラムにはこんなことも。愛は実は食べられる、うま味が凄いそうだ。そして最後に、愛は飼うことができない、という言葉で締め括られている。愛は、なぜか飼われた瞬間死んでしまうらしい。
 ここで僕はそっと本と目を閉じた。もう一度表紙をじっと見た。『ラブカ奇譚』。何か違和感を感じよ〜く見た。目を凝らしてよ〜〜〜く見た。ラブ力だと思っていたのは、実はラブカだったことにようやく気づいた。暗かった空はもう明るくなっていた。

#毎週ショートショートnote #ラブカ奇譚

いいなと思ったら応援しよう!