美しい切子を迎えて飲んだくれたはなし。
三年半ものあいだ冷蔵庫に眠っていた未開封の日本酒。新しいお酒を買う余裕はじぶんでぶん投げた。キャベツに和えた塩昆布は開けて何年経ったっけ。
胃腸のチキンレースを繰り広げてでも呑みたい夜がある――それは、うつくしい酒器を迎えたとき。
玉川学園前駅から徒歩でおよそ10分のギャラリー福田で、「ともきりこ」ともかさんの個展が開催中。美しさとゆめかわいさを併せ持つ「ともきりこ」ファンとしては、行ける場所には初日に行きたい。
来たる2/11、天気はあいにくの雨模様。はじめて降りた玉川学園前駅から出た私の視界に入ったのは住宅街の激坂。平地に甘やかされた身には厳しく、道半ばで早くも帰路を憂う事態に。

ヒイヒイ言いながらもなんとかギャラリーに辿り着いた私が目にしたのは、ガラス越しの美しい切子たちでした。

とくに惹かれたのが、小さくて丸っこいぐい呑み。「ともきりこ」の定番ぐい呑みには無いフォルム、色は黄がメインで部分的にピンクと水色が混じっています。
ギャラリーにはオープンと同時に入れてもらいました。

出展作品はなんと101点
ちいさなギャラリーですが、そのぶん作品がギュッと詰まっており、特に窓際に展示された作品たちは自然光を透かしてカットの美しさを存分に発揮していました。

一番乗りの特権でいろいろ見ましたが、やはり最も心惹かれたのが窓際の丸ぐい呑み。素体は偶然の産物なので、今後おなじものは作れないとのことです。正直そういうの大好物。


丸ぐい呑みの支払いを終え、オーナーからお茶とやたら美味しいチョコレートをご馳走になったあと、改めて作品を観賞。グレーのペンダントは過去の展示で見たことがない色合いであることに気付きました。
「グレーのミラーガラスに透明ガラスを被せてるんです」
確かによく見ると、カットの入っていない部分が鏡面反射しています。このかんじ、20年以上前に買った、カットを入れたガラスを鏡に被せた指輪と似てる……!
指輪の鏡面が錆びてしまって以降、「カットされたガラス」と「鏡」の組み合わせを密かに追い求めていました。グレーミラーのペンダントは、錆リスクの低さも鑑みるとまさに理想オブ理想。しかしこれ買うと今年は三越でガラスペン買えない……ぶっちゃけ他も苦しくなる……ええいままよ!!

――物欲には勝てなかったよ……将来的にはこのデザインで通常ミラー+ホログラムのペンダントが欲しい……。
懐に強烈な北風を吹き付けながら帰宅しましたが、最寄り駅を降りた時点で頭を占めていたのは、「はやく丸ぐい呑みでお酒呑みたい!」の一点。とはいえ流石に贅沢はできません。1/4カットのキャベツだけ買って、怪しげな日本酒と怪しげな塩昆布を動員してきたわけです。

塩昆布キャベツが入ってるのも「ともきりこ」の小鉢
ぽってりとして生地の厚いぐい呑みは掌にしっくりと収まります。器の重みも口当たりも心地良い。幸か不幸か胃腸チキンレースには余裕で勝利してしまったため、塩昆布キャベツがなくなるまで呑んでぺろんぺろんになったのでした。
きのうのうちに記事を書かなかったのは、チキンレースに勝っても負けても文章書ける状態にならないと判断したからですテヘペロ。

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