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ガラスペン継戦能力比較 序説

 さて、この細長い箱の山はなんだと思われるだろうか?

これで全部ではない

 正解は越○○菓! ……ではなく、記事の通り全てガラスペンである。

 この写真は数か月前に収納の見直し・整理を行った時に撮影したものである。が、写っているのが全てではない。撮影時点で比較的使用頻度が高いガラスペンが別の場所に置かれている。

――というわけで、私のコレクションは国内作家もののガラスペンである。箱から出して並べられるレベルの本数ではないのでその辺はご容赦願いたい。

 恐らく「著作がない・有名店の店員若しくはメーカーの偉い人ではない・イラストやカリグラフィーのアーティストではない・ガラス工芸作家ではない」ド素人としてはトップクラスの所蔵数ではないかと思う。

 なお海外製品やムック本の付録等については一部例外を除いて蒐集対象からは外している(セリアのガラスペンはちょっと欲しかったけども再販ぶん入手に成功。セリアは初心者にかなりおすすめ)。

 私がガラスペンを集め続ける理由、それはガラスペンの継戦能力、即ちどのぐらい書けるかを調査・レビューする為だ。

 ガラスペン継戦能力比較のレギュレーションは以下の通りである。


グラフィーロ方眼ノートの升目に正の字を書く
インクに浸すのはペン先の半分まで
・ インクをつけたらいったんペンレストに置き少し待つ
使用インクは色彩雫の月夜
線幅は最も細い状態を意識
・ キッチンペーパーや綿棒でインクを吸い取る等のインクフローの調整はしない

引用元:Togetter「ガラスペン継戦能力比較まとめ」

ガラスペン継戦能力比較開始以前

購入のきっかけ

 過去にも土産物屋でたまたまガラスペンを買ったことはあったが、明確な意思を持って初めてガラスペンを購入したのは2017年の2月である。

 当時の私の肌感覚としては、哲磋工房による美しい造形のガラスペンがSNS上で好評を博し、helicoがキャップ付きガラスペンで話題、川西硝子は以前からデパートの催事で高価格帯のペンを販売(2023年現在に比べると落ち着いてはいた)、評判の良いガラスペンについて調べると佐瀬工業所やガラス工房焱がヒットし、楽天市場で検索すれば池原敬の繊細なペンレスト付きガラスペンが出てくる、Kemmy's Laboはイベント販売中心でその場で字幅調整をしてくれる、といった具合である。

 とはいえ私はガラスペンの発展や流通の歴史に詳しい訳ではないし積極的に調べているわけではない(特に文具系YouTuberの影響に関しては全くと言って良いほど把握していない)ので、あくまで「個人の感想」だと考えて頂きたい。

 そもそも何故ガラスペンを買おうと思ったのか。それはサトウヒロシ氏の「万年筆画」を知ったからである。

 万年筆画は当然ながら画材として万年筆インクを使用する。だが、多くの色を扱おうとすればするほど万年筆の管理が大変になる。であればつけペンを用いて色を変えようと思ったら筆洗すれば良いのである。

 ほぼ同時期に万年筆画・哲磋工房・helicoを知ったが為に、万年筆インクで絵を描く為の道具としてガラスペンを欲したのだ(後の継戦能力比較にグラフィーロ紙を使用しているのもサトウヒロシ氏からの影響が大きい)。

 購入候補のガラスペンは幾つか存在したが、結局(誕生日プレゼントにかこつけて)短期間にそれぞれ筆記感覚が異なる四本のガラスペンを入手し、その結果ここで私がトイデジブーム時代に患った「病」が頭をもたげてしまった。

 即ち、条件を揃えての性能比較検証である。

初期の性能比較

 上記ツイートは私がTwitter(現X)に投稿した比較検証だ。筆記量を客観的に示そうとして「正」の字を採用しているが、罫線無しの装飾入りノートに書いている為、些か文字数の正確性に欠ける。

 その春に更に数本のガラスペンを購入、これらを比較検証する際に上記の問題点を解消するべく升目の入ったノートを導入した。条件を揃える為に最初の四本も比較検証をやり直している。

 現在のガラスペン継戦能力比較との大きな違いはペン先につけるインク量のレギュレーションで、当時はペン先の根本までインクを付けていた。

 2017年はこの投稿の後も幾らかガラスペンを購入しているが、寧ろインク沼側にドップリ浸かってしまい、ガラスペンの性能よりもインクの色合いや水での伸ばしやすさの検証に意識がいっていた。

 ガラスペンはインク見本を作る、ちょっとした二次創作イラストを描く、日記を書くといった用途で使用していた(無論、現在でも概ね非公開で続けている)。

オンライン販売イベントの隆盛による蒐集の再燃

 現在のガラスペン人気は、Tono&Lims主催の「オンライン宇宙遊泳」を始めとしたコロナ禍でのオンラインイベントを抜きにしては語れないと個人的には考えている。

 私が初めてTono&Limsのイベントに触れたのは、2019年末の宇宙遊泳クリパである。哲磋工房が新タイプのペン先のガラスペンを販売するというので万難を排して購入した。

 この後コロナ禍によって様々な催しが中止される一方で、オンライン販売が最初に盛り上がったのも2020年の春だったように思う。

 ガラス工房aunがBASEで直販していた、しかもタイミングによっては一点物まであったと言ったら驚かれるかもしれない。

 もちろんTono&Limsもコロナ禍で中止になった宇宙遊泳東京の代替イベントとしてオンライン宇宙遊泳を開催、参加予定だった文具店や作家によるインク・ガラスペンの販売は人気を博した。

 当時開催された他のオンラインイベントではGlass Gallery BOHEMIAN主催の「スイッチバックチャレンジ」「レティチェロチャレンジ」を挙げたい。

 このイベントはコロナ禍で作品発表の機会を喪ったボロシリケイトガラス作家を応援するためのもので、メインはペンダントだがガラスペンも若干数出展された。人気どころではglasskaoriaによる猫のガラスペンがあった。

 私自身、宇宙遊泳東京のチケットを取っていただけにオンライン販売に心を奪われた。この時期に購入したガラスペン群は私のコレクションの中でも特に希少性が高い品々を含む。

 そしてこの時上がったテンションに押し流されるようにして、私は改めて所有するガラスペンの比較調査に乗り出したのだ。


ガラスペン継戦能力比較の本格化

レギュレーションの再設定

 ガラスペンの性能比較を再始動するにあたり、まずは実施条件の見直しを行った。

 方眼ノートの升目に正の字を書く、という測定手段はそのままだが、インクと紙は自分が最も使用するものに固定した。

 また、ペンによっては毛細管現象で一気にインクが溝を上がっていくので、その見極めの為にインクをつけるのはペン先の根本までではなく半分までとし、書き始める前に少し時間を置く事とした。

「違いがある」面白さ、「違いが無い」凄さ

 こうして「ガラスペン継戦能力比較」と名を改めて始めた性能比較レビューだが、この時点までに集めたガラスペンだけでもそれぞれの「違い」を感じて非常に面白かった。

 主に調査するのは筆記量(=継戦能力)だが、それ以外にも注目すべき点は多い。

 例えば、文字を書くときの筆触。レビューでは「紙当たり」と称しているが、これが千差万別である。紙に吸いつくような感覚のペンもあれば、程よい抵抗感のあるペン、カリカリを感じるペンもある。サリサリと音が出たり出なかったり、鉛筆やボールペンの筆触に近かったり。どのような筆触が好ましいかは人によって違うだろう。

 但し、紙の繊維を千切るような筆触はペン先最先端に鋭利な角があるか、最悪破損している可能性がある。

ペン先破損の例

 次に、文字が書ける筆記角度。最近のレビューでは「筆記仰角」と記す事もある。これも紙とペン軸が構成する角度が45°の時に最も紙当たりが良いように調整されていたり、逆にほぼ垂直の時は滑らかに書けたりとペンによって異なる。これも人によって癖が違うので合う合わないが出てくる。

 他にもガラスペン単体の評価として、すべてのインクを使い切る前にインクが乾いてしまうかどうか、流水で洗い流した際に簡単にインクが落ちるか、一文字目が潰れてしまうかどうか、等がある。

 レビューは全てTwitter(現X)に投稿しており文字数を極限まで切り詰めているし、レビューを続けていくうちに増えた観点もあるので全レビューに全観点を記載している訳ではないが、毎回画像をつけているので、インクフローに関わるところは読み取れるのではと思う。

 また、同じ工房のガラスペンを複数レビューすると、個体差が出やすいところと出にくいところが判ってくる。どのガラスペンを購入してもほぼ同じ品質が期待できる、というのは手作りのガラスペンにとっては非常に凄いことであり、買い手にとってはありがたい事である。一方で発表本数が増えるにつれてペン先の品質が向上する工房もある。

 こうして私はガラスペン継戦能力比較にのめり込み、グラフィーロ方眼ノートはそろそろ2冊目も終了する頃合いである。

 未だレビューしていないガラスペンもあるし、修理・調整後のレビューも載せているのでまともに数えてはいないが確実に150は超えていると思われる(少なくともランマガ特別号及び「はじめてのガラスペン」に掲載された作家は殆ど網羅している)。

 ただ、流石にこの三年で勢いよく買いすぎたので、現在はやや購入自粛ぎみだ。いつまで保つかは不明だが。

全レビューを読むには

 こうして投稿してきたレビューは、当初モーメントに纏めていたが、Twitter(現X)からその機能が無くなったので、今はTogetterに集約している。

 自分にとってのガラスペンの評価基準がまずペン先であるため、江戸切子のガラスペンのように「軸が美しいが、ペン先がどこ製かはっきりしており、尚且つそこのペン先の品質が安定している」ものは買っていなかったり、ペン先品質が気に入って何本も購入していたりと選定基準は傍目には曖昧だが、所詮は個人の壁打ちレビューなのでご容赦頂きたい。

 自分の投稿が少しでも楽しんで頂けたら幸いである。


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