『開化の笑顔』川柳(9)〽口銭のあつき日なたの氷賈り


〽 口銭の あつき日なたの 氷賈り
〽 今解そふに 呼歩行 氷うり
※ 「氷賈り」は、氷売り。
※ 「口銭」は、売買・取引の手数料のこと。
※ 「こうせんのあつき」は、口銭の厚き(手数料が高い)と光線の暑きの掛け言葉と思われます。

〽 文明の夏 タアフルの夕すゞみ
〽 なまよひを ミシンにかける 蚊のはり
※ 「タアフル」は、テーブルのことと思われます。参考:『日本大辞書 全 六版(てえぶる)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「なまよい」は、生酔。ぐでんぐでんに酔っぱらっていること。
※ 「はり」は、針。酔っぱらいの男を蚊が刺す様子をミシンに見立てています。

〽 旧弊も 有ツて おがらも賈るなり
〽 新暦と古暦 聖霊 日に迷い
※ 「おがら」は、皮をはいだ麻の茎、麻幹(苧殻)のこと。盂蘭盆の門火をたくときなどに用いられます。
※ 「賈るなり」は、売るなり。
※ 「聖霊」は、聖霊会(盂蘭盆)のこと。陰暦七月十五日。参考:『大日本国語辞典 巻1(盂蘭盆)』『大日本国語辞典 巻2(聖霊会)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
明治五年、日本は新暦に変わりました。(明治5年11月9日に「太陰暦ヲ廃シ太陽暦ヲ行フ附詔書」が発せられ、その年の12月2日が大晦日、12月3日が明治6年元旦になりました)
参考:『太陰暦ヲ廃シ太陽暦ヲ行フ附詔書』(国立公文書館デジタルアーカイブ)
挿絵には、お盆の日を新暦で確認するご先祖様の姿や、おがらを売る男の様子が描かれています。

〽 ぎうやの亡者 牛頭鬼は こはくなし
〽 宝雨 稲一■に 金の露 (■は冂+口+面、または、冂+啚)
※ 「ぎうや」は、牛屋。ここでは牛肉を売る店を指していると思われます。参考:『大日本国語辞典 巻1(牛屋)』(国立公文書館デジタルアーカイブ)
※ 「牛頭鬼」は、地獄の獄卒(地獄で死者を責める鬼)のひとつ。
※ 「こはくなし」は、怖くなし。
※ 「一■(■は冂+口+面)」は、一円と思われます。あたり全体の意。
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