【絵本野山草】(30) 菫(すみれ)/ゑびね草/九りん草/覆盆子(いちご)


すみれ草 又 三国草
大すみれ 菫菜 箭頭草
「富貴すみれ」とも「かくれみの」ともいふ。葉のかたち、花つるのごとくにて、きれふかく、葉やはらかに小葉也。莖紫色、花白く、すみれのごとき花さく。此せうにて、花葉かはりたるもの三種有。
葉、ほそながきものあり。丸葉あり。まろきを「つぼすみれ」といふ。花にむらさき、白あり。みな「地丁」也。又、外に「三国草」とよぶ草有。所々にて名のかはる草もあれば、別の「三ごく草」といふ草、いづれを云がいぶかし。花三月より八九月迄咲。

ゑびね草 山磁石
花数多し。「大ゑびね」といふは、花の色、本黄。「大々りん」「あるまんゑびね」は、はなの色「大ゑびね」に同じ。大りん、大南京も又、花のいろ同じ。
「金むらさき」といふは、花びら、こい柿紅、つやあり。はなのうち、舌ともに本黄也。「茶金」といふは、花びら青葉にして、舌ともに同じ。いろすこしうすし。「出ふねえびね」はよごれしろに、うすむらさきのかすりあり。舌もおなじ。

「葉ゑびね」は、黄に青きうつり有。花のそと中黄、うち舌ともに白し。「紅かばゑびね」有。花びら、うつり白にすこしあかみ有。紫のえびねは、こい紫の打ぬきにして、花びら舌共に同じ。「色鹿子ゑびね」は、白に紅のほし入、「白えびね」は花びら、舌ともに、よごれしろなり。花びら青白く、舌白きを「ごすでゑびね」といふ。
花びら青紫にして、した白く紅の色さすを「紅ゑびね」といふ。また、「雪白」「本紅」有。「夏ゑびね」あり。「秋えびね」あり。「夏ゑびね」は、黄に青きうつりあり。四五月にさく。「秋ゑびね」は七八月にさく。はなの色、薄ざくら色、舌も同じ。花葉ともにかはらずさく。旬にちがいあり。
※ 「あるまんゑびね」の「る」は、誤読しているかもしれません。
※ 「仏揄草」の「揄」は「榆」のようにも思えるのですが、目次の字が「揄」に見えることから「仏揄草」と読みました。
九りん草 旌節花
花のかたち、さくら草のごとくにて、葩あつく、しのだちまはりさく。しの立ふとく立のび、だん/\に咲。いろ数あり。白、紅、あるひは、ゆきしろげんじ、又、うす色、咲わけあり。地紅にして、花びらふち白きを「げんし九輪草」といふ。三四月はな有。

※ 「咲わけ」は、ひとつの株の草や木に、色の違う花が咲くこと。咲分

いちご 覆盆子
花、梅のはなのごとき小りん。黄いろ有。雪白有。本草家に実を「覆盆子」といひ、葉を「■■」と云。「冬いちご」とも「寒いちご」共いふ。
(■■は、艹+米+凵・艹+塁)
※ 「本草家」は、本草学に詳しい人のこと。

筆者注 ●は解読できなかった文字、□はパソコンで表示できない漢字を意味しています。
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