龍乃宮津子
くじら

競ひきそふ一番もりをはつ鯨 錦車
汐ふくもげに三熊野や大くぢら 冬央
※ 「三熊野」は熊野三社のこと。(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)

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たい

よし野何花のお江戸のさくら鯛 冠車女
かいつにのり釣くらしけな秋の日を 亀幸

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すずき

張翰に手際見せたしつりすずき 升来
すずしさをあらひ鱸の手がらかな 寉媛女
※ 「張翰」は、中国の晋代の文人。「蓴羹 鱸膾」という言葉で知られる。故郷の味「蓴羹鱸膾」を思い出し、官を辞職して帰郷したというエピソードから、故郷を思う抑えがたい気持ちを意味する。蓴=じゅんさい、羹=あつもの、鱸膾=すずきのなます。

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ひらめ かれい

是も亦しろきを後そ春ひらめ 蜃水
鎌倉の春やかれいもほし月夜 素麿

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ぼら

暑にまけぬかたちいさまし鯔の反 如水
はま荻に伊勢鯉すずしあさ日影 其聲
※ 「伊勢鯉」は、鯔のこと。
※ 「はま荻」は浜辺に生えている荻のこと。「伊勢の浜荻」は万葉集で多く詠まれた題材のひとつ。

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かつお

江戸気そや人にかつをの初風味 梅●
着舩のいきほひたしかはつかつを 梅秀女

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ほうぼう

魴鮄や上り兜の鰓の張 亀長
はうぼふの頬骨高き寒さ哉 五柳
※ 「上り兜」は、五月の節句に飾る紙で作った兜のこと。上兜。
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伊勢えび

伊勢武者もみな緋威のかざり海老 文榮
海老冷まし只二筋の美髯● 亀年
※ 「緋威」は、甲冑などに用いる 緋色(深紅色)に染めた革や組紐のこと。

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まとだい 小だい

二枚すえて花なれあはせ鏡鯛 涼山
吸ものさよりや鯛の児さくら 素琴女
愛らしや青葉に花の姫小だひ 琴志女
※ 「鏡鯛」は、まとうだいのこと。
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とらふぐ

大磯やふくても乕は手と刺もの 呉龍
虎河豚のさまや鯰の夫とも 素玉
※ 「乕」は、虎のこと。

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いなだ あいなめ

来るや秋いなにはあらで伊那だ舩 素隣
満と干の汐あいなめや秋の釣 江永
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赤うお

緋魚の目もみぢのこれやひまの月 玉鳴
釣や春恵比寿の針にあかをまて 額英

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赤えい

下陰に赤えひかほや花に酒 霞外
鯛は桜赤鱏も亦花の時 一鼎

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たこ いいだこ

茹揚し章魚やあかきも花八つ手 沂水
いひたこやものはかしらのおもきをぞ 杏英
芋くひの僧正もこれ蛸の紫衣 素全翁
飯たこや折から雛のまふけもの 春律
壺に這入まてしい●●やいひあはせ 女 賀重
※ 「僧正」は、僧官のひとつ。僧綱(仏教の僧尼を統轄して大寺院を管理する役職)の最上位。

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あわび

岩に蚫這ふや汐干のさざれ石 素嶽
はまぐりや花の敷しく汐干● 月麿
掌中の●や蜆をふくさ味噌 千枝尼
蛤のふきや揚けむいかのぼり 篤志麿
海底の珠も蚫も照月夜 酔舎
色貝や中に蜆のすみ絵とも 雅涼
※ 「ふくさ味噌」は、赤味噌と白味噌を合わせて作る味噌汁のこと。茶の湯で使う袱紗が合せ仕立てになっていることから、二種類の味噌を合わせることを袱紗味噌という。

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白魚 うなぎ 泥鰌

白魚よなれも濁りにそまぬ物 其葉
舩すずしこや泥中のはすはもの 得麿
水に絵もしら魚白し浅黄● 亀麿
見る人も師走空なしうなぎ釣 蒼鯉
名月や泥鰌の躍る池の面 素蓬
永き日の泥に侘てやうき鰻 左幸

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あかにし たいらぎ さざえ

貝の中にみるくひは花の口紅粉も 候得共
赤辛螺や汐干の浦にほのぼのと 文川
角ほとは春もさざえの苦み哉 潘山
あかにしや峯入ころの●●ひ 素原
たいらぎや●の中に立烏帽子 素丘
栄螺栄螺角出せ棒出せ春日向 麹人

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なまず

瓢箪の酒ひやしつつなまづ釣 己禮
春暖のつらや鯰の髭坊主 寛之
動く鯰に苔雨館のかなめ石 初陽
花見笑ふ大口明てなまづ迄 渭水
花の影に●ものろりと大鱠 六外
ぬるみ見ゆ池にぬらくらうく鯰 遥瀬
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たい あまだい しまだい

雪に日の色あり富士の沖つ鯛 素永
あまだひや鯛よりよろつうすさくら 可笑
縞鯛や市に春めく熨斗目こし 磯川 素行
袴着や白衣姿の沖つたい 春舩
荒海やうきしま鯛も春の風 春瓜
八丈もよきしまからのさくらたひ 大橋亀泉

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さば あじ

海碧りにいよいよ青し釣の鯖 婆百
はんたいに涼しやさば青海波 何来
蓼酢かけて青葉してけり夕鯵も 朶外
夕ばえや鯖の杢めも夏衣 金馬
夕あぢや松魚に並ぶ江戸の鰭 素后
日は西に鯵の照よる波すずし 岩槻五計
※ 「夕鯵」は夏の季語。

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しょうさいふぐ いか しばえび いしもち

其気あり虵は四五寸のしやうさいも 舟子
秋寒みきすも青みし水の色 海簾
すか鳳巾と見るやひいかの群る磯 久虹
しやうさいや女の子ても痩たより 可充
芝海老や袴着ころも齢ひ腰 素兆
いしもちも身軽くはねて海すずし 島原 素文
ぎちと漕や納涼がてらの網小舟 亀水
※ 「しやうさい」は、ショウサイフグ(潮際河豚、潮前河豚)のこと。

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かに

穴かしこ汐干に見えぬいその蟹 神橋 亀泉
葭や花かにや短かきあしのふし 素仙
ふくきゆる涼し芦辺の蠏の泡 寉声
汐干して思はずかにや遠歩行 烏山
花鋏むこころも見えつ芦に蟹 素潮
兼てしるやかにも初汐来つき宵 素百

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いか さより

藤と見むうす紫の烏賊の足 志連
なにあみも時よし御●なぎさより 操舟
春風やときめく烏賊にいかのぼり 夷逸
甲は鷺と化す春や烏賊の鳶からす 斗溟
●にさよりゆるす遅日や●和ゆゑ 女 沾紫
いかの墨ふくや磯部のしぐれ雲 鎌倉 英富
※ 「遅日」は、春の日のこと。(日がのびて、なかなか暮れない春の一日)
※ 「しぐれ雲」は、時雨を降らす雲のこと。冬の季語。
※ 「いかのぼり」は、凧のこと。春の季語。

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こはだ いわし このしろ

鯛の上にたつ席もありこはだずし 稲舟
鯵何この七浦はいわし網 萬宇
このしろや酢で責て喰ふ夏料理 松雅
鰯引堂守も●よ医者とのを 星高
鮓うりや漬てこのしろとも呼べる 静二
すし桶やこはだの上におきの石 岩槻 寉郎
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あゆ

鮎くみの名所とも知らで老にけり 呉卿
玉川の珠とる蜑や年魚に網 分香
取る贈る気の早つや市の鮎 僊里
負へきも海なき国も川に鮎 廉富
渋あゆやかいして笹は春のから 泉居
水に精のぼり石に音有鮎 百我
※ 「年魚」は、鮎のこと。

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たなご かわはぜ てながえび

●引て板子料理やたなご汁 素周
百二百ものかははぜの釣功者 泰梁
先つ魦を釣のいろはや筑地川 柏舟
行燈にすすしたるこの網土産 下谷 素行
角力なら四つにわたらむ手長海老 梅史
川海せの手や伸すらん水の月 和水
※ 「板子」は、船の底に敷くあげ板(踏立板)のこと。
※ 「魦」は、ハゼ科の淡水魚のこと。
※ 「築地川」は、隅田川の支流。
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しゃこえび やどかり 赤貝 蛤 あさり

見よ海老に其侭しやこの顔見せは 可●
赤貝や 蛤ふみのまふけもの 史山
家ひとつやつては拾ふ寄居虫かな 巨山
貝拾ふ春や汐ふき満るまで 素遊
身は貝に片手業ひそむ寄巨虫や 亀山
縮緬にゆふぜん染やあさり貝 井我
※ 「寄居虫」は、やどかりのこと。

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あんこう

安武加宇や此寒中の腹へ水 従一
華臍魚も嚢中水なし買た時 素克
鮟鱇や料理の時に釣の魚 東林
親にあんかうや心の羹を 花慶
あんかうや人あたたむる身のふとり 李暁
鮟鱇や茶人は道具好きなもの 秋●
※ 「華臍魚」は、あんこうのこと。
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かめ

ちとせつまむ亀もや池のたからふね 栗堂
萬年の種まく時そはなし亀 寛麗
※ 「はなし亀」は、放生会で池や川に亀を放すこと。放亀。
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こい

瀧と見て鯉ははねるよし川柳 亀文
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筆者注 ●は解読できなかった文字を意味しています。
新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖
