【生月島捕鯨】勇魚取絵詞(6)生月御崎浦 大納屋圖
生月御崎浦 大納屋圖


大納屋入口の瓦屋は、表間口七間、奥行十二間也。漁猟休止の間もそのまゝ立置て用ふ。其奥に奥行十二間半の苫葺の假屋を建續、漁□休止の間も打毀也。又、其奥に油倉有。
さて、此大納屋に、背皮、丸切、頭、棚、觜、尾羽毛、握、舌、背の赤身、開、たたけり、など、種/\を取納てとかくする也。皮は細小に切て、油に煮、尾羽毛はテイラ、肉は赤身など号、塩漬にしたるを食料の為に商舩の附属て、諸国に班賣也。
※ 「開、たたけり」は、『日本科学古典全書』では「開、たけり」と翻刻しています。「たけり」は陰茎のこと。
〔参考〕かい

『日本科学古典全書 第11巻 第3部』
かひ
男鯨のかひの図也。陰茎、常には穴の奥に入て見えず。穴の辺を「かひ」と云也。口の長さ一尺五寸許上に臍下に肛門あり。
かひ
女鯨のかひの図也。則、陰門の事を云。左右に乳あり。臍、肛門は男に同じ。陰門の形、人間に異ならず。實の事を「ひな」と云。その奥に輪骨と云骨有。

此外の油に成べきをば、悉油に煮、骨をば骨納屋に送り、又、丸切の中、皮身の間、下腹、脇腹等にある筋どもをば、筋納屋に送り、掻□製せて、商舩に附属やる也。

大納屋の入口の右方に、大別當二人(一人をば斤量取といふ)。帷役二人、若衆廿五人、魚切十四人(此内二人を沖番といふ)、綱指(定日雇の者の中より兼役す、沖番の指図を受、濱にて鯨に綱を付通す也)、太鼓番二人(若衆の中より勤役す、不寝番也)、釜番二人(魚切の者兼役す)、探番(魚切より兼役して間太郎を改)、食焚二人、茶廻二人、支配人五人、日雇者を加へて、都計二百許人、閑暇なきやうに働しむる也。
※ 「間太郎」は、近里から浜辺に来て鯨肉を盗む者のこと。
参考:【生月島捕鯨】勇魚取絵詞(6)生月御崎浦 納屋場脊美鯨切觧圖(note)


苫葺屋の右方の壁下に小切場有。七、八十許人並居て、各切桶を前に居、其上に小縄して油皮を懸、それを取細切てして桶に入る也。傍に砥石を置、時々左手にて包丁を硎、小切場の向の壁下の地面也。
一段低処に竹簀がきし、魚棚と号て、諸の皮肉等を切捌也。


其次に竃十七有。後の方は、竃丈に高く通路を作り、石階を登ば、例の十七の竃に各大煉釜を居たり。それに、小切せし油皮を入て、油を煮取也。釜の前側の竃に各のあたりに土塀を塗て、竃火の釜中の油に移つかざる防備とし、その土塀の内面に樋を通し、釜の油を汲入て、油倉に居たる十五、六口の大壷の中に流しやる也。
此外、事おほかれど、わずらはしさに筆を省く。
※ 参考:『日本科学古典全書 第11巻 第3部(生月御崎浦 大納屋圖)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
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