【女大学宝箱】(28)庚申待(かうしんまち)

庚申待の事は、人の身に三尸とて悪き虫ありて、かうしんの夜にねれば、そのむし天にのぼりて、その人のことを訴るによりて、癆●といふ病をうくるによりて、その夜はねずして守るもの也といへり。
※ 「三尸」は、人の体の中に棲んでいて、庚申の夜、その人が寝ると体から出てきて天に昇り、その罪悪を訴えるという三匹の虫のこと。参考:『大日本国語辞典 巻2(三尸)』(国立国会図書館デジタルコレクション)

もし、いぬる事あらば、此哥をとなふべし。
「しやむしは いぬや 去ねや わが床を
ねたれど ねぬぞ ねゝど ねたれそ 」
※ 「いぬる事」は、寝ること。
※ 「此哥」は、この歌。
※ 「しやむし」は、虫を罵っていう言葉。参考:『大日本国語辞典 巻2(しゃむし)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 参考:『日本性的風俗辭典』『貞操帯秘聞 : 民俗随筆』(国立国会図書館デジタルコレクション)

むかしより、三尸虫のことをいへども、婦人はつねに家にゐて、夫舅姑につかへて、心をほしゐまゝにすることなく、取むすほられて、病でやすし。故に、庚申には諷舞して気をめぐらすなるべし。
※ 「取むすほられて」 参考:『作陽誌 東作誌3巻 東作誌. 第1-3,5巻 新訂』(国立国会図書館デジタルコレクション)


婦人の心はおろかなるものなるを、雑書を見て、男女の相生をかんがへ、ひのえむまをいみ、日をゑらび、ものいまひすること、みなおやのをしへなく、道をしらしめざる故也。
いはんや、後世をねがひて、財宝をなげうち、人倫の道をしらず。巫、山伏にたのみて、さいわいをいのる、みなぐちのいたりなり。
北野天神の御哥に
心だに まことの道に かなひなば
いのらずとても 神やまもらん
よく/\此哥をゑい吟して、さとるべし。
今生だによくおさめば、後生とてもきづかひなく、子孫繁昌してめでたかるべし。
※ 「ひのえむまをいみ」は、丙午を忌み。
※ 「ものいまひ」は、物忌まい。物忌みのこと。
※ 「ぐちのいたり」は、愚痴の至り。
※ 「御哥」は、御歌。
※ 「ゑい吟」は、詠吟。
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